オルトレマーレの星ひとつ
▼39
「極限太陽!」
光る拳が体育館を突き破る。
飛び散る瓦礫と飛ばされる幻覚。
その、正体は
「笹川、サン…」
血みどろの拳をした、笹川サン。
「まどろっこしいのは嫌いでな」
そう言って笑った彼の顔は、毒のせいか青白く、今にも倒れそうだった。
クロームも無事で、安堵の息を吐く。そのとき、後で誰かがやめろと叫ぶ声。その主はスクアーロで、視線の先のモニターでは、XANXUSが凍りついていた。
*
「ツナの勝ちだ」
リボーンがニッと笑う。
どうやらあの氷は死ぬ気の炎と逆の力をもったものらしく、あれが零地点突破の真の姿だとか。
これでクロームがもう戦場にいなくてすむ。
そう、思っていたのに。
「ボスは再び復活する」
そう言ったマーモンが手にしているのは大空を除いた6つのボンゴレリング。
「なぜリングを半分ずつ保管するのか…
そしてボンゴレの正当後継者にしか授与されないのかわかるかい?
それはリング自身にも秘められた力があるからさ。」
8年前、九代目にかけられた零地点突破が溶かされた床には、7つの小さな焦げ跡が残されていたという。
7つの焦げ跡、7つのリング。
その関連は、一つの仮説を立てるには十分すぎる材料である。
7つのリングが揃えば、今XANXUSにかけられている零地点突破が溶ける。
もう歩く気力も残っていない十代目クンはリングを前髪クンにあっさりと取られた。
マーモンと前髪クンにより、溶かされる零地点突破の氷。
XANXUSの指に大空のリングがはめられた途端に、リングから光が溢れる。
が、次の瞬間
「がっ」
まるで、小さなグラスから溢れた水のように、大きすぎる力を持ったXANXUSの体は、全身から血が噴き出した。