のどか戦線
「どうする?」
三月は口を動かしながらもごもごと言う。
だらりと垂れたエプロンの紐が少し間抜けだ。
「とっとと行くぞばかちん」
ぽかっと軽く三月の頭を叩き、算哲は腕を引っ張った。
特に痛そうな顔もせず、三月は引かれるままにふらふらと前に歩みを進める。
「おなかすいてない」
ぼそぼそと呟く様子は普段とあまり変わらない。
先ほど大量の瓦礫を食った後だから仕方ないが、最初に走り出した組からはかなり引き離されている。
周囲に人は居ない。
が、人が交戦した後の崩れた壁や、瓦礫は歩く時に面倒だ。
算哲は視点を切り替えて周囲を見渡す。
下に降りられそうな穴が空いている。
先ほど自分たちが降りてきた穴より少し小さいが、降りられないほどではない。
「三月、いくぞ。と算哲は語る」
面倒な口調で語る算哲を眠そうな灰色の目で見て、三月はついていく。
下の階層は金属と金属のぶつかる音がしており、算哲は少しの躊躇いの後、下に飛び降りた。

続く
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