人間は考える葦である
悟は重たい荷物を荷台に運び、一息ついた。
真夏の空気はじめじめとしており、どうにも好きになれない。
船舶から運ばれてくる荷物は嫌に多く、これでは本当に大切な荷物がどれかもわからない。
少し覗いた箱の中には砕かれた硝子片だとか、他には千切れたコードだとかのゴミとしか思えないものばかりがぎっちり詰められている。
しかし、捨てる神あれば拾う神ありとも言ったもので、こういったゴミであっても有り難がって研究材料に使う物好きが居るのもまつ事実である。
ゴミであれなんであれこの研究所では輪廻転生のごとく巡るのである。
自分もそういった研究素材の一端であったことを思いだし、悟は歯噛みする。
歯が痛むので適当なところでやめる。
感情表現をあまりしてこなかったため、こういった慣用的な感情表現を見よう見まねで実行してみると、どうにも身体に苦痛がある。
「人間って面倒だな」
ぶつぶつと呟いてみるが、聞いている者は誰一人として居ない。
荷台を閉じて、搬送するべくトラックに乗り込む。
自分よりも先に喜が行ったはずだが、今はどうしているだろうか。
一瞬そういった他人への関心が首をもたげるが、すぐに枯れ落ちる。
悟は逃げるように車を走らせはじめた。

続く
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