乱数の迷宮にて
やだなぁ、面倒だなぁ。
そういった感情を口に出すが、内心そんなことは全く思ってもいない。
こういった機会でしか活躍することが出来ないので、嘘はむしろこの状況を待ち望んでいた伏がある。
だが、元より言葉の上では嘘をつくことしか出来ない質であり、口をついてでるのは面倒だとかやる気がないだとかいったネガティブな言葉ばかりである。
嘘は深く考えることをせず、涅槃に言われた通りにカメラルームに向かって走って行く。
所々道を忘れてしまい、同じ場所をぐるぐると巡ってしまったり、無駄な行動を繰り返してしまう。
記憶力の低さが露呈しているだろうことを自覚し、嘘はへらへらと笑った。
悔しいがあまり長く道を覚えられないので仕方がない。
なるべく最短距離を目指そうとすればするほど勝手に道が閉ざされていくような心地すらする。
嘘は笑いながら道を走る。
息が切れることはほとんどない。
室内用のスリッパがなんだか邪魔に感じられて、脱ごうとするが、付近に落ちたガラス片に気付いて思いとどまる。
邪魔なスリッパをそのまま履いて、嘘はカメラルームを目指す。
記憶にない場所ばかりだが、嘘はなんとなく見たことのある場所を避けて手探りで目的地に近付いていく。
どこまで行くのか、迷宮のような研究所は頭のあまりよろしくない人間には優しくない。
ここだろうかと当てた部屋を見れば、ただの研究室であったり、外ればかり引く。
嘘は運もあまりよろしくはなかった。
カメラルームまではどうにも時間がかかる。

続く
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