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 枕元の携帯がアラームを鳴り響かせ、乱暴に鷲掴んだそれを耳障りだと言うように止めた。
 しくじった。今日は折角の休みだったんに、アラームの設定外すん忘れてた……。
 表示された文字は5:45。最悪以外の何物でもない、二度寝しよと機嫌の悪い頭に浮かんだまま行動に移そうとして、ふと大量のメールが届いていることに気づいた。そのほとんどがチームメイトである先輩達やクラスメイト達からで、そこまで親しいわけでもない奴からも来とることに俺は驚きを隠せんかった。
 いったい何やのんと思いながら零時を過ぎた直後に送られてきていたスピードバカな先輩のメールを開けば、ああ、と嫌に納得がいく。

 ――そういや今日、誕生日やったわ。

 自身の誕生日を忘れるほどボケてはいないが、夏休み一日目と被ったことと久々のオフという事実で抜けていた。
 届いていたメールの殆どを流し読みしながら、返信面倒やなあなんて思っていればふと彼女のメールを飛ばしてしまい、思わず戻ってもう一度読み返す。
 チームメイトでクラスメイト、異性の親友ともいえるべき彼女とはまだ一年と半年の付き合いではあるが、妙にウマが合うし隣にいても嫌悪感を抱くことはまずない。時々ぶっ飛んだ発言をすることには驚いてまうけど、それももうだいぶ慣れてきた。
 自身が彼女に抱いている感情は親しみであり、安心感だと思う。だがそうではない想いも、少なからず抱いている。だからこうして何度もメールを読み返してしまっているんやろうけど。
 けれど、伝えるべきではない。いまは、まだ。まだ蓋をしてなあかんのや。師範の言葉を借りてしまえば、いまここで余計な煩悩増やしてチームの足引っ張るんはごめんや。
でもいまだけ。いまだけは。

『HAPPYBIRTHDAY!! 財前君、誕生日おめでとう(≧▽≦)』

 この“おめでとう”のたった五文字に、幸福感で満たされても罰は当たらんやろ。



[ Postscript! ]
HAPPYBIRTHDAY財前!
かなり短いけれども…財前が生まれてきたことに心より感謝。




とある少年の独白

Chapter.X Operetta




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