「今だから言うけどよ、ナマエを見たときから、なんでか守らなきゃって思ってたんだよなあ」



 コニーの言葉に、ライナーの眉がぴくりと動いた。裏の裏の裏まで探ったら告白ともとれるそれを、愛だと思うものは誰もいない。なぜならコニーはお馬鹿さんだからだ。



「それ、友達にならなきゃいけないの間違いじゃない?」
「そんな感じだ。なんつーか、貸しがあるっつーか頭が上がらないっつーか」
「もう貸しなんてないから、自由にしていいんだよ。コニーとまた話せてよかった」
「オレがナマエと話すのが自由以外のなんだっつうんだよ。でもそう言うなら、遠慮せず話しかけるぜ。ライナーに遠慮してたからな」



 コニーにも遠慮するということがあったとは。
 驚く私にジュースを押し付けて、コニーは軽やかに座っていた机から飛び降りた。じゃあな、と去っていく姿は学生らしく、もっというと野球部っぽい。坊主だからだと思う。
 せっかくだからともらったジュースを飲んでいると、ベルトルトとアニがやってきた。そういえばふたりと私はまだ友達なんだろうか。



「ナマエのことが嫌いだなんて一度も言ったことない。ライナーの恋人でなければ、ナマエとはもっと仲が良かったと思う」
「アニ……」
「僕も、あのときはいっぱいいっぱいで……ごめんね。ナマエがいい子だっていうのは知ってたんだ。ライナーが惚れるくらいだから。でも、だからこそ不安で……」
「──ふたりとも、私のこと嫌いじゃないの?友達でいてくれるの?」
「それはこっちの台詞だよ。あんなことがあったのに、僕たちのことを友達と思えるの?」
「思えるに決まってるじゃない! だってふたりはずっと私の友達だったんだから!」



 ふたりのあいだに飛び込んで抱きしめる。ライナーがうしろで慌てたような声をだしたが、いまは無視だ。
 友達でいてくれることがこれほど嬉しいなんて、私は思っていた以上にふたりのことが好きみたいだ。



「ふたりとも大好き! ずっと友達でいようね! あのね、遊びにいって、遊園地とか、もっと──もっといっぱい、壁のない世界を探検しよう。アニも調査兵団入り決定!」
「私は憲兵団でいい」
「もう!」



 笑って、同時に涙がでた。どうやら涙もろくなってしまったらしい。
 なぐさめるようにアニの手が頭に乗り、それからライナーのところへ押しやられた。すこし拗ねていたらしいライナーが私を抱きしめて抱え込む。



「……ナマエは俺の恋人だぞ」
「いまさら何言ってるんだい」
「ライナーって昔から独占欲が強いからね。僕がナマエに話しかけなかったのはそのせいもあるし」
「ねえライナー、今度一緒に遊園地に行こう! ジェットコースターに乗って、超大型巨人の体の上を転がされる体験をするの!」
「……それは楽しいのか?」
「ライナーと一緒なら、なんでも」



 これから先、私たちにはどんなものにもなれる可能性が広がっている。なにを選んでもどこへ行ってもなにをしても自由。自由だからこそ迷う。
 ライナーにキスをすれば、金色の目がまぶたで隠された。

 たぶん幸せは金色をしている。だってライナーは、きれいな金色に輝いているみたいなんだもの。



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