自分でもよくわかってはいなかった。しいて言えば、一刻も早く顔をみたいなと思ったくらいなもので。そのせいなのか、気がついたらいつもより早足で教会へと足を運んでいたのだ。
するりと部屋に入れば、いつものようにそこに神父様がいて、それだけで今まで飲み込んでいたらしい息をやっと吐き出せたのだ。
こっちを見ている彼の顔が一瞬驚いたように見えたが、そんなのはどうでもいい。今度は不思議と彼の顔を近くで見たい気持ちになって、そのために近づいた。いつもより顔が近いけれど、これはこれでなかなか。
数秒、いや数分くらい?じーっとそのきらきらしてる目を角度を変えて覗き込んでみたり。相変わらず肌白いなと眺めてみたり。神父様まつげ長いなとか。唇にかぶりついたら怒るかなとか。あれ、これ神父様ドン引きしてるんじゃね、とか。このほっぺたばちーんって両手で挟んでみたいかもとか。神父様の髪の毛をわしゃわしゃってしてみたいなとか。そんなこと考えながら眺めていたらそれくらい経っていた。あ、やっぱりその目は引いてるでしょ。私にはわかっちゃうぞ。
なんて考えているうちに、顔を見るまで落ち着かなかった気持ちがどこかにいっていることに気がつく。一体なんだったんだろうなと思い返しつつ。するとすんなり出てきたのは、さみしかったとかセンチメンタルだとかそんな言葉で。いやいや、まさかこの私が?ないない。つかきもいだろ。
…しかし、目の前でもうこいつどかしていいかな的な顔をしている神父様を見ると、やっぱり、さっきまで、”会いたくてしょうがなかったんだ” と。
いやー、ないわー。つか、まじでかー。
すとんと腑に落ちてしまったそれに、ぶ、とつい吹き出す。いつのまにこんなことになったんだろうかと自分に呆れつつ。あまりのアホらしさに、もはや笑うしかなかった。あー、馬鹿らしい。ほらみろ、急に笑い出したから、神父様がため息ついちゃったじゃないか。でもこんなの恥ずかしくて言えるわけないし?なんでもなーい。そうそう、なんでもない。
って、神父様なんかいいたげだね、どうしたの。ちょっと困った感じの顔。あー、相変わらず、そのほっぺた突っつきたい感じしてるよね。っていうか、うん、なんだ。ぎゅっとしてちゅーしてやりたい感じ。ああ、うん。そう。ぎゅっとしてちゅーしたいんだよ。こういうのなんて言えばいいかな。んふふ、冗談。私ちゃんと知ってますから。この胸がぎゅってなる感じの。そうそう、       ……ね。


「神父様、ほっぺにちゅーしていい?」
「…………」


その顔も可愛いよ!もう大好き!


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愛おしい。愛してる。幸せ。好き。大好き。言い表せないほどのそんな感じ。
たまにはってことでベタ甘。一個前のやつの逆側的な。

mae//tugi
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