怖い夢を見て、急に人恋しくなった。
カノンとサガ、どちらの部屋か迷って、サガの部屋にした。
カノンも優しいけれど、どこか危険な空気を醸し出してそのままなすがままにされそうになった事もある。
こんな時は、ただ甘えさせてくれるサガの方がいい。
私はサガの部屋の扉をノックした。
「ああ、何だ?構わん入って来い」
私は促されるままに部屋に入って息を呑んだ。
鍛え上げられたサガの上半身が、明け方の薄明かりに無防備に照らし出されていたからだ。
彫刻より美しいその姿を見るのは初めてで、私は頬を染めて見惚れた。
サガは気にした様子もなく、私に静かな声で尋ねた。
「どうした?眠れないか?」
私が無言で立ちすくんでいると、サガはフッと笑った。
「私も眠れなくてな。身体を横にするだけで休まる。こちらへ来い」
手を差し伸べられて、私はふらふらとサガのベッドに座ると、そのまま引き寄せられて抱きしめられた。
「本当はな、お前を想って眠れなかった。しばらくこうしていてくれ」
掠めるようなキスをすると、サガはふわりと笑って私を見つめ、また今度は熱を帯びたようなキスを繰り返した。
その後は、恐ろしい夢も忘れ、私を包み込む温もりの心地よさに眠りに落ちて行った。
意識を手放す瞬間、耳元で囁かれたのは、ギリシャ語の「愛してる」だった。
(文章:haruka イラスト:kako)
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