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モビーディックの社員食堂はいつもと変わらず賑わっていたが、ナマエとエースが入った途端一段とざわつきが大きくなった。


エースは手を振るオレンジを見つけ、そちらに向かう。


「ロビンもいんのか」


「ええ。是非お知り合いになりたくて」


「貴女が噂のナマエさんね!よろしく、私ナミよ」

「ニコ・ロビンよ。よろしくね」


「ナミにロビンね。どうぞよろしく。あ、ナマエでいいわよ」


エースの存在をすっかり忘れ、
楽しそうに話す女三人。
エースはそんな話に耳を傾けながら頼んできた定食三つを胃袋に詰め込んだ。



「じゃあ今夜ね、決まり!楽しみ〜!」


「ん?なにが今夜なんだ?」


「あ、いたのエース。今夜ナマエの歓迎会よ」


「ずっといたけどな。
へェ〜、お前らだけで?」


「まさか!みんな呼ぶわよ〜、ね?ロビン」


「そうね、うちの署内も彼女の事で持ちきりだから。部長もうるさくって」


「お前んとこの部長ってまさか...」


「ええ、トラファルガー部長よ」


その名前にエースは顔をさっと青くさせた。
モビーディック内のレディースキラーとして有名な彼を知らない者はいない。


「いや、トラファルガーを呼ぶのは辞めようぜ、な?」


「なんであんたが決めるのよ。
ていうかあんた呼ぶなんて言ったっけ?」


「な!お前...」


「よかったらエースも来てちょうだい?営業部の皆とは特に関わりが濃くなるんだから、仲良くしましょう?」


「お、おう...!」



結局かなりの大所帯になりそうなのでロビンが気を利かせて行き着けらしい料亭を貸し切りにする電話をしていた。








「ナマエ、終わったか?」


「マルコ...ええ、とりあえずね」


「この後バラティエだろ?」


「そうみたい。あなたも来てくれるの?」


「まあ、歓迎会だしな。行くよい」


どうやら営業部署の皆はほぼ参加してくれるらしく、モビーディックの目の前にあるバラティエまでは皆で歩いて行くことにした。






十数人がバラティエに着く頃には既に中は騒がしく、もうだいたいのメンバーが揃っているようだった。


「あ、主役の登場よ!」

もう既に出来上がっているナミがそう言えば、
店内の視線が入り口に集中する。


「あら、お待たせしてしまった?」


にこりと笑えば、思わず耳を塞ぎたくなるほどに一気に湧き上がる男達の声。

ナマエはナミに、料亭の上座で酒を飲む各部署の部長達の元へ案内された。




ナマエはオーラの違うそこに怯みもせず、
にこりと笑み会釈をした。


「へェ....お前が噂の女か」

まず口を開いたのは藍色の髪をした目の下の隈が印象的な男。

藍に紅に金に黒

カラフルな髪の色に目がチカチカする。





「ナマエです。部長方、どうぞよろしくお願いします」




所作からから笑みまで、
なにもかもが美しく品のある彼女に部長一同は至極楽しそうに笑みを浮かべた。

ナマエは上座を基盤にしつつも、
下っ端社員を含めあちこちの席を周り交流を深めた。




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