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「ナマエ〜!」



「ごめんなさい、お待たせ」




少し高いけど途轍もなく美味しいフレンチのお店。
ナミとロビンと合流して、
スペシャルディナーコースに赤ワインを嗜む。

女子会と言えども話の内容はいつもと特に変わらない。気に入らない上司の悪口とか、かっこいい社員の話とか、普通の会話だ。



ナマエはそんな話に相槌を打ちつつも、気まずいまま家に残してきたエースが少し気掛かりだった。





「ねえ、そう言えばナマエはエースとどうなの?もう少しで半年位じゃない。結婚とか考えてるの?」


「えっ 結婚は、流石にまだいいわ」



「ふぅん。
ま、エースは旦那にしたいタイプじゃないわよね」



「そうかしら?私よりずっと家事できるわよ」



「ナミはなにより稼いできてくれる男性がいいのよね」



「ええ、その通り!
平社員なんかじゃなくて、部長とか....社長!
社長なら最高ね」



「あ、ドンキホーテ社のドフラミンゴなら知り合いよ。紹介しましょうか?」



「嫌よ!いくら社長でもあんな裏で何やってんだかわからない悪の塊みたいな人は御断り!」



「ふふふ、
普通に越したことないわ」



「ロビンあんたそれは嫌味?自分が社長夫人だからって。 あ、そう言えば、 あの人は?レッドフォースの社長」



「!
シャンクス、紹介しましょうか?」



「馬鹿!私じゃないわよ、あんたの話よ」



「私 は、べつに。
エースがいるから、」



「本当のところ、どうなの?」






ナミは少しだけ声のトーンを落とし、ワインを一口飲んでから真剣な目をナマエに向ける。





「どう って」



「社員旅行のあの日、会ったんでしょう?シャンクス社長と」



「......ええ」



「どう思った?」



「平気よ、絶対エースには言わないわ」





ナミとロビンがいつになく真剣な顔でナマエを見つめる。
ナマエは手元のワイングラスから視線を離さないまま、小さく呟いた。





「まだ、愛してる わ」




「そう.....
そのこと、エースは」




「気付いてる。わかった上で、私といてくれるの。
でも、やっぱり彼も苦しんでるわ」



「まあ、そりゃ、そうよねぇ」



「酷いことするわ」





ロビンが放った言葉に、ナマエとナミはぽかんとする。



「え、ロビン、なにが」



「あなたは自分に忠実で都合のいいエースを手放したくない。でも今になって再開したシャンクスを突き放す気もない。
簡潔に言えばそう言うことでしょう?」


「な、」



「ええ、確かに そういうことになるわね」



「でもそれでは彼ら二人共が報われないわ。
どちらかにしなければ」



「ええ.....そうよね」



「ナマエ、あたし達はどうなっても、あんたを応援するわよ」



「ええ.....ありがとう」







その後、しばらく飲んでからその日は解散した。
ナマエはナミとロビンと別れ、タクシーを探しに大通りに出た。
そこで、携帯が鳴っているのに気がついた。





画面には、登録されてはないが、
よく見慣れた文字列。





「 」





暫くその画面を見つめたままでいるが、
着信音は消えない。







「は い」



「今どこにいる?」



「バイパス沿いの、あのファミリーマートの前、」



「すぐ行く」




なにも言うことができないまま、電話は切れた。

二人でよく待ち合わせ場所にしていたこのファミリーマート。
本当に5分かからず、目の前には見慣れた黒塗りの高級車が停まった。


出てきたのは、仕事帰りなのか、ネクタイを外したスーツ姿の シャンクスで。
その姿が、昔の待ち合わせの時とリンクする。







「なんでよ 」



「...ナマエ」



「なにしに来たのよ」



「....酔ってるのか?顔が赤い」



「もう、これ以上混乱させるの 止めてちょうだい」



「ナマエ、兎に角ゆっくり話がしたい。
乗ってくれ」



助手席のドアが開けられ、シャンクスに荷物を取られ、強引に車に乗せられる。




発進した車は、真っ直ぐに
シャンクスの家への道を辿った。




もう、引き返せなない、長い長い道を。








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