「やーっと来た!ナマエ!花火始まってるわよ!」
「ごめんなさい、あら、綺麗ね...」
「おー、綺麗だなあ」
結局あのあとは2人寄り添ったまま、
暫くして街へ出てショッピングしてから夜の花火大会会場で痺れを切らしたナミ達と合流した。
敷かれたビニールシートにみんなで座り込み、花火を肴に屋台で買った酒を飲む。
ふと見れば、いつの間にかハルタとビビはいい雰囲気になっていて寄り添っている。
隣を見れば、純粋に花火に釘付けになり感動しているエース。ぽかんと開いた口からは感動の声が上がる。
「綺麗だな、ナマエ」
「ええ...とっても」
「まあ おまえのほうが百倍綺麗だけどな」
「ふふ、ありがと」
悪戯っぽくそういえば、ゆっくりと顔が近づいてきて満開の花火をバックにシルエットが重なる。
「ヒュー!お熱いねぇ!」
「羨まし過ぎんだよぉ...」
ボニーのひやかしに、サッチの妬み。
みんなが笑う。
ナマエも笑えばエースも笑い、また口付ける。
空に上がり続ける花火に、美味しいお酒、
楽しい仲間たち。
そして隣には可愛らしい恋人。
そんな幸せな女を、遠くから見ていた男の存在に、ナマエは気付くはずもなかった。
あっという間に終わった社員旅行。
色々あったけれど、なんだかんだ楽しんだみんなは帰りのバスの中、旅を思い返し談笑する者、疲れで寝落ちする者、
隣にいるエースもすやすやと眠っている。
ナマエはそのあどけない寝顔を見てくすりと小さく笑うと、思い出したようにポケットから小さな紙切れを取り出した。
いつの間にかはいっていた身に覚えのない紙。
そこにはどこか見覚えのある電話番号。そう、シャンクスのだ。
もう携帯自体に登録されていた番号は消したが、この数字の列はよく覚えてる。
昔はこの数字が表示される度心を躍らせていたから。
しばらくそれを眺めるが、隣でエースが小さく唸ったのでくしゃりとそれをカーディガンのポケットに突っ込んた。
「ふぁ〜よく寝た!」
「夜眠れなくなるわよ?」
「ん、ナマエが隣にいれば寝れる」
バスを降り、みんなと解散し当たり前のようにナマエのマンションに向かう二人。
エースの希望でスーパーに寄り、夕飯の買い出しをしてから帰宅した。
ルームウェアに着替え、荷物を整理するナマエに、早速夕飯作りに取り掛かるエース。
荷物整理を終えたナマエはソファでうとうとしていた。
「ん、」
エースに額にキスをされ目が醒める。
部屋はおいしそうな香りが漂っていた。
「出来たぜ、食べれるか?」
「もちろん、
わあ 今日もおいしそうね!」
「だろ?」
二人でテーブルでエースの手料理を食べる。
そのあとテレビを見ながら少しお酒を飲んで、そのまま二人で眠りにつく。
そして、朝起きれば支度して二人で出勤。
いつも通り。
そう、いつも通り。
これで 、いい。
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