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頭上で聞き覚えのない目覚ましの音が鳴り、ふと目を開けると、目の前には綺麗な顔ですやすやと眠るナマエがいた。


ああ、夢じゃねェんだ、おれはマジでナマエと..


ナマエの華奢な身体をぎゅ、と抱き締め、額にキスをした。



昨夜は無理させちまったからゆっくりさせてやりてェところだが、遅刻したらマルコにどやされちまう。



でもこの貴重な寝顔、ずっと見ててェ.....幸せだ..







「...ん、おはよ、エース」


「ああ、おはよう...ナマエ」



小さく欠伸をするナマエは最高に可愛くて、思わずその白い首筋に顔を埋めてしまった。


「...、ん...エース、ダメよ..起きないと..」


「ああ...そうだな、悪ィ」



名残惜しいがナマエを抱きとめる手を離し、交代でシャワーを浴びた。

ナマエがシャワーを浴びている間にキッチンを覗かせてもらったが、調理用具から食料から、なにからなにまでからっぽだった。
冷蔵庫には酒とチーズと化粧品のパックのようなものが冷やしてあるだけだった。


まあ、確かにナマエからは家庭的な匂いはしない。
きっと料理は壊滅的に下手なんだろう。なんでも完璧にこなしそうなナマエが料理に苦戦している姿を想像すると可愛くて、勝手に頬が緩んだ。





「エース、どうしたの?」


「ん?ああ、ナマエ料理出来ねェんだなって」


「そうなのよ。だからいつも外食」


「おれこう見えて食うだけじゃなくて料理も得意なんだぜ?」


「あら、本当?じゃあ今度なにか作ってよ」


「ああいいぜ!今度色々持ってきてやる」




こんなんじゃ卵焼きも作れねェ。
そう言えば、ナマエは髪を乾かしながら微笑んだ。


お互いスーツを着て支度をして、8時を過ぎた頃に部屋を出て、下のカフェで軽く朝食を済ませた。






「おーっすサッチ!」


「よお。
なんだよ朝から機嫌いいな」


「え?そ、そうか?いやー普通だろ!」


「気持ち悪ィ、なんだよ!」



眉を顰めておれを見るサッチ。
本当は今すぐにでも自慢したいところだが、ナマエが言うに理由はよくわかんねェがビジネスとプライベートはわけたい、とかなんとかでこの関係はまだ秘密らしい。


ガラスの向こうにはさっきまでおれの腕の中にいたナマエがパソコンと格闘している。
無造作に纏められた髪から覗く白いうなじ。そこは想像以上に甘くていい香りがした。

ああ、あんな身体を昨日抱いていたなんて。
ナマエを抱けるのはもうおれだけなんて信じられるかよ。
思い出しただけでにやけちまう





「本当きもい....なにお前」


「うるせえな...なんだよその目」


「またナマエちゃん見てんのかよ。....いやー今日も綺麗だなあ」



ナマエを覗き見してへらっと鼻の下を伸ばすサッチ。
あー言いたい。
言いたい言いたい
ナマエはおれの女だって世界中の皆に自慢したい。昨日めちゃくちゃに抱いたんだぞって自慢したい。




「そういや、そろそろ社員旅行じゃね?今年はどこ行くんだろうな」


「社員旅行?ああ、そういやそーだな」


「去年は...熱海だったか」


「その前は伊豆」


「ったくジーさんくせぇよな..」



「うるせえよいお前ら。
ちなみに今年は白浜に二泊三日だよい」


「白浜ァ?」


「また近場かよ!修学旅行以下だな」


「文句ある奴は来るなよい。
....ま、ナマエの水着姿は見れなくなるがな」


「「みっ....水着..!」」



そうだった、ナマエも行くんだ。しかもビーチ!水着!!
これは行かない訳にはいかない。
なんだかんだ皆はいるが初旅行になる訳だし....



「行くに決まってんだろ!!
いつだ?」


「来週の連休だよい」


「っし!
やる気出た!!」


「本当に単純なやつらだよい...」









「そういえば、来週は社員旅行ね」


ロビンのその一言に、ランチを食べていたナミとナマエが思い出したように箸を止めた。


「そういえばそうね。
でも白浜でしょ?色気もへったくれもありゃしない!」


「白浜?始めて行くわ、楽しそうじゃない」


「ナマエがレッドフォース社にいたときはどんな所行ってたのよ?もしかして国外とか?」


「そうね、ハワイやグアム、バリも行ったわ」


「いいわね〜!あーあ、なんでうちは国内?しかも超近場」


「いいじゃない。せっかくなんだから楽しみましょうよ」


「まあ...そうね!じゃあ水着買いに行きましょ!」



ナミのその提案で、三人は早速週末に水着を買いに行くことにした。




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