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01






夢でも見ているのかと思った。
気付いたら身に覚えのない砂漠にある廃街のような場所にいて
目の前にいるその巨大な生き物は
今まで見たこともないような奇怪な姿をしていた。

一体ここはどこで、この生き物は何なのか。
周りを見ても誰もいない。
先程まで愛を確かめ合っていたベッドも、
飲みかけだったワイングラスも、
今日買ったばかりの新しい服や靴のはいった箱も、
全部が嘘のように消えて真っ青な空の下、私はその怪物に見下ろされていた。







「ちょっともう、嘘でしょう..」





考える隙もなく奇声を上げながらその大きな手が振り下ろされる。
何をどうするにしてもまずは"この人"をどうにかしなければならないのね。



するりとその隙間を抜け瓦礫を伝い建物に登る。
どうやらコレは私を食べようとしているようで大きな口を上げながらまた手を伸ばしてきた。
冗談じゃないわ、今日はせっかく夜ディナーデートに行く約束してたのに。
せっかく新しいドレスも買ったのに。
次第にふつふつと湧き上がる怒り。
先程まで快晴だった空は暗く曇って行く。
激しく降り始めた雨は地面を黒く染める。



「早く船に戻りたいのよ、だから許してちょうだい」




手を天に翳せば耳をつんざくような音と共に激しい地響きを上げながら貫いた雷で巨人の体は一瞬で黒灰と化した。



「やだ...何匹いるのよ」



これは落雷だけじゃなく竜巻を起こした方が早そう。
そう思い両手を合わせる。
小さく呪文を口にすればどこからともなく大きな竜巻が砂を巻き込み雨を巻き込み巨大なハリケーンになり巨人達を巻き込んで行った。
一掃したのを確認すると空はみるみるうちに雲の狭間から光が差し込む。
その一筋が彼女に降り注いだ時、
瓦礫の向こうから飛ぶように駆ける男と目が合った。









これが、私とあなたの出会い。







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