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09



「ナマエ、馬の乗り心地はどうだい?」

「乗馬自体慣れないから少し違和感があるけど...そうね、この子はとってもお利口だし快適よ」

「よかった!長旅になるから腰と足にくるだろうから今夜はよくマッサージをした方がいいよ」





壁外調査へ向け出発した一団。
ナマエは与えられた馬に跨り皆と共に大地を駆け出した。


直ぐに数匹の巨人と出会したりしたが、特に大きな収穫もなく日が暮れた。
手頃な場所でキャンプを作り、食事が作られている間にナマエは軽く負傷した兵士達の傷を癒していった。


「そんな傷、唾つけときゃ治る」

「リヴァイ...
折角私がいるのに唾を付ける意味はないわ。
はい、これで大丈夫よ。」

「そもそも、お前ら治療して欲しくてわざと怪我したんじゃねぇだろうな」

「そ、そんなことは...」

「もう。辞めなさいよ。
ほら、あなたもかすり傷があるわ。」

「蚊に刺されただけだ、!」


ナマエはリヴァイの口の端にできた傷にそっと口付けた。
みるみるうちに消えていく傷。
唇を離してリヴァイを見据えれば不機嫌そうに眉を潜めていた。


「唇にした訳じゃないでしょう。怒らないでよ」

「....直ぐ飯が出来る、風呂はねェからな。汗を流したけりゃ森に入って直ぐに湖がある。女兵士を連れて行け」

「わかったわ」




いくつかの焚き火を作りそれを吸う人ずつ囲む。
多くはないが持ってきた酒もここでは唯一の娯楽といえる。
一人、また一人とテントに消えていき、
ナマエもハンジや兵士達に挨拶をして焚き火を後にした。
松明に火を灯し、寝る前に体を清めるべく森に足を進めた。

ほんの2.3分で見えてきたそこは小さな滝もある美しい湖だった。



衣服を脱ぎ、湖に足を踏み入れる。
慣れない乗馬に疲れた体に冷たい水が心地いい。
まず服を洗い、そのあと泳ぐように体を清めていった。月明かりしか光のないその世界は
どこか懐かしい気持ちになった。


「彼等はどうしてるかしら....」


きっとローは諦めずに私を捜索しているだろう、
もしかしたらキッドやエースを疑いいらぬ戦いを巻き起こしてる可能性もある。
ロスロリアンは未だ無事なんだろうか、闇の力が既に世界を呑んでいたら...





「女兵士を連れて行けと言っただろうが」


ふと陸から聞こえる聞き慣れた声。
そこにはリヴァイがいて湖で泳ぐナマエを見下ろしていた。


「わざわざ来てくれたの?優しいのね」

「違ぇ、おれも汗を流しにきただけだ」

「そう、じゃあ一緒にどうぞ」


ナマエは気にもとめず月を眺めながらゆらゆらと水面を漂う。
リヴァイは半ば諦めながら服を脱ぎ湖に飛び込んだ。


「気持ちいいでしょう。
人魚になった気分だわ」

「ちんたらしてると巨人の餌になる。
洗ったらさっさと出ろ」

「もう....ローだったら
おまえには人魚も嫉妬する。とか言ってくれるのに」

「...ロー?」

「ああ、そうよ!あなたの声、誰かに似てると思ったらローよ!ローの声にそっくり」

「..元の世界の男か」

「恋人って訳じゃないんだけどね。
とっても男前で背が高くて不器用だけど優しいの」

「背が低くて悪かったな」

「気にしてるの?ふふ、ごめんなさい」


ナマエはゆらゆらと水面を泳ぎ、
リヴァイの近くに寄った。


「おれはもう出る。おまえも早く戻れ」

「ーを呼んで..」

「..あ?」

「名前を呼んで、」


ナマエはそっとリヴァイに抱き着き、
その肩に顎を乗せそう言った。


「...離れろ」

「名前を呼んでくれたら、離れてあげるわ」


リヴァイの胸板にはナマエの乳房がぴったりとあたっている。
それどころか反応してしまった自身が水の中でナマエの太ももに触れている。


「.....ナマエ」

「そう、...その声よ
もっと言って」

「ナマエ、ナマエ....ナマエ。
チッ、意味がわからねぇ、もう気が済んだだろ」

「ええ....ありがとう。
ローに呼ばれてるみたいで懐かしくて、」

「....明日からは巨人の巣窟に差し掛かる。
恐らく今日のように穏やかには済まねぇ。早く寝て備えろ」

「ええ...そうするわ。」

「....それと、もし見つけたのが俺じゃなけりゃば今頃犯されて壁外調査どころじゃなかっただろうな。兵士達は女にも飢えてる。それを忘れるな」



リヴァイはそう言ってきっちり服を着ると
ナマエが着替え終わるのを待ち
無愛想ながらしっかりテントまで送り届けた。






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