再会


正直言うと怖かった
貴方が居なくなることが怖かった
また会えるかな?会えなくなったらどうしよう

アクロマさん



チャンピオンになったあと
私は真っ先に彼を探した

ヤグルマの森で出会ったチェレンさんに
それとなくプラズマ団のことを聞いてみた
チェレンさんは少し怪訝な顔をしたけれど
17番水道付近に黒い船があることをこっそり教えてくれた
何か察してくれたのかもしれない

そこからの道が長かった
海流の流れも厳しいし
野性のポケモンも手強くて
私もポケモン達も疲れていた

だけど、引き返せなかった
どうしても会いたかった


P2ラボを横切って
海岸に見覚えのある船
高鳴る鼓動と震える体

そう、この先の部屋
右のワープゾーン

祈るような気持ちで一歩



「此処まで来るとは、貴女も物好きというか」

ああ

その声もその眼も


「アクロマさんっ」

気付いたら私は泣いていました

「メイさん」

「メイさん、泣かないで」

穏やかな声で、優しい手が
私の頭を撫でた


アクロマさん
私チャンピオンになりましたよ
レシラムとも友達になれましたよ
色々話たいんです
アクロマさんアクロマさん

「っ、会いたかったです、」
やっと一言言えた。涙でぐちゃぐちゃの私は
きっと凄く不細工なんだ

でもアクロマさんは穏やかな顔をして
私の手を引いて椅子に座らせてくれた



「落ち着きました?」
アクロマさんの淹れてくれたコーヒーを飲んで
やっと泣き止んだ私の顔をみてアクロマさんがいった

恥ずかしさで顔が熱くなる


「貴女には本当驚きますよ」
「…ごめんなさい」

「イッシュの新しいチャンピオンが解散したとはいえ
元プラズマ団アジトのこんな所まで来るなんて」

「え、アクロマさん知ってたの?」
私がチャンピオンなこと
びっくりしてアクロマさんの顔を見る
やっぱりそこには余裕の表情

「知ってます。メイさんのことはなんでも」

「なんでも…?」


「貴女がチャンピオンになったこと伝説のポケモンに認められたことも
私を探していたことも…


私と関わるのは、もうよしなさい」

諭す声
彼からの拒絶に怯えて震える

「い、いやです」
上擦った声また少し涙が出た


「アクロマさん、私は貴女に会いたかった
傍において下さい、邪魔しませんから…
お願いします」

拒絶しないで下さい
私の前から消えないで下さい

アクロマさん


「仕方ありませんね、どうなってもしりませんよ?」

きっとアクロマさんは解っているだろう
幼い私の気持ちも解ってしまっているんだろう


アクロマさんはそっと私の手を握りしめてくれました

「貴方の強さを見せて下さい」

「はいっ」


貴方の優しさに溺れてもいいですか?





2012/ 8/10 /Web

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -