裁判シリーズ | ナノ

有罪 1


ここ生徒裁判所では、あまりに馬鹿馬鹿しい法廷論争が演じられていた。


僕はしがない書記官で、前代未聞というか、上司にあたる判事が可哀想になる、何でこんな裁判を開いたんですかと、真剣に問いただしたいくらいです。

しかしここは生徒裁判所。あまりにも馬鹿馬鹿しい裁判でも、被告と原告が生徒会長と風紀委員長なら、滑稽すぎても白黒つけなければならないのです。

今回、原告が被告でもあり、被告が原告でもあるという、訳の分からない裁判なのです。


はじまりは


「だから、俺はこいつに毎日毎日ストーカーされて、頭がおかしくなりそうなんだ!こいつを退学させろ!」


委員長にストーカーされている会長の訴えから始まりました。


「朝は風紀の権限で勝手に人の部屋に入り込んで、俺の隣で寝ているし!盗撮盗聴は当たり前、人のパンツも盗む!ゴミも漁って風呂にも勝手に入ってくるし、いい加減俺の精神状態は限界だ!」


会長が訴えていることは事実とすればしごく全うな訴えで、それが真実だと言うことはここにいる法廷の誰もが知っています。

委員長のストーカーっぷりはあまりにも有名だからです。


本来、学園内でストーカー、いわゆる迷惑行為を取り締まるのは風紀の役目ですが、そのトップがやらかしているので、会長も裁判に持ち込むしか方法が無かったのでしょう。

会長の気持ちはよく分かります。


ですが、委員長が逆に訴えたのは『誘惑罪』

会長を、その罪で逆告訴したのです。


「この会長を見ろ!このキュっとしまった尻を。腰を!後ろから犯して欲しいといわんばかりの、締まり具合を!あのエロい顔を!俺のものをくわせ込ませたくなるあの口を!」


意味が分かりません。言っていることが無茶苦茶すぎます。


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