裁判シリーズ | ナノ

冤罪 6(完結)


「それに俺は童貞だったんだ。童貞の俺が会長の魅力に抵抗しろっていうほうが無理だろ?」

「お前のどこが!童貞だ!嘘つくのもいい加減にしろ!」

それだけは違うだろ。百歩譲って俺が跨って抵抗できなかったといっても、こいつが童貞のはずはない。

「ひでえな。人の童貞奪っておいて、嘘つき呼ばわりかよ。いいぜ、学園中の生徒に聞けよ。自分が俺の童貞奪ったんだけど、本当はどうかって?一人づつ聞いて回ってみろよ」

「……」

そんなこと聞いてまわったらただの変態だ。この裁判でただでさえ変態っぽいのに、この上恥を晒せと?

「強姦した上、童貞まで奪うとは。これは更に罪状に加算されえますね。陪臣の皆さん。これを踏まえて、票を投じてください」

ちょっと待て。たしかに強姦罪で相手が処女だった場合、強姦致傷罪となり更に罪状が重くなるとは、過去の判例であることはあるが、相手が童貞だったからって何で更に罪を合算されないといけないんだ。

そもそもこいつになんのダメージが有ったんだ?俺のほうがダメージ大だろ。

童貞だっていうんだったら、童貞捨てれて万々歳だろ!

もう言い訳するのも疲れた。勝手に有罪判決でも何でもしてくれ。


俺の人生は終わった。

家からも放り出されてるんだ。

学園中に委員長に乗っかって、腰振って感じまくっていた淫乱とか言われるんだ。

そもそも判事、委員長の味方過ぎないか?


「好きにしてくれ……」

「評議に入る前に……会長も反省しているようですし、1つ提案があります。ここで会長に無罪であれ、有罪であれ、判決が下されれば、会長はリコールの対象となります。今まで会長は生徒のために献身的な模範生でした。できれば会長のために、原告側には和解を勧めます」

いきなり和解?今までずっと委員長側の判事が?

和解すれば、判決はされず、裁判はなかったことにできる。

でもここまでした委員長側が和解を受け入れるはずない。

「会長が俺の和解案をすべて受け入れるのなら、和解を飲む」

「条件を会長に言ってください」

「まず、俺は童貞を奪われてショックだった。何故なら、俺は童貞を捧げた相手と結婚するつもりだったからだ。だから会長には責任を取って結婚して貰う。ここにサインしてもらって、二十歳になったら養子縁組を行うこと。そして嫁としてセックスを拒否せず、俺に尽くすこと。それで俺もなかったことにしよう」

「おいおいおい……お前の童貞はそれほど価値のあるものか?」

「初めての相手と結婚することが、俺の幼いころからの夢だ」

どこの乙女だよ!

突っ込みどころ満載だな!

処女を奪ったから責任とって結婚してね、なら可愛いけど、童貞を奪ったから責任とって嫁になれ、って全然可愛くないから。

いやだ、そんな和解案。絶対飲みたくない!



だけど、このまま評議にもつれこんだら、俺は無罪を勝ち取れるか?50:50くらいか?

いや、ビデオがあるから30:70くらいになるかも。それに仮に無罪評決をえても、理事会で問題にされる可能性は十分ある。


「くそ!和解誓約書もってこい!なんでもサインしてやる!…その代わり、口外一切禁止にしろ!」

俺はもう内容も見ないでサインしまくった。もうどんな内容だってどうだって良い。


こうして俺の裁判はなかったことになったが、委員長の嫁になるはめになった。



*委員長がお酒に薬をもって、既成事実を持ちました。そのまま恋人になろうとしましたが、しかし会長はなかったふりを貫き通したので、第2案の裁判となったわけで・・・
*委員長は判事の弱みを知っているため、判事は委員長寄り

裁判をもう一度開かれるのが見たいと言ってくれた方へのリクでした


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