「年貢」前編


「お願いします!一回だけで良いのでやらせて下さい!」

そう土下座する男は、この学園の風紀委員長だった。

毎日何回も土下座しに来て、やらせて下さいと叫ぶ男。

ご飯くらい気楽に食べさえて欲しい。

こいつは俺と小等部からの付き合いで、10年以上か。

小等部時に、告白されて7年。はじめは付き合って下さいだったが、ここ2年ぐらいは、せめて一回でも良いのでやらせて下さいに代わっていた。

「いや」

俺はこいつの頭をけってやる。

こいつが委員長のくせに、一番学園の風紀を乱しているだろう。

「せめて、1cm、1cmでいいから入れさせてください!」

そう懇願する男。

隣で会計が1cmくらい入れさせてあげたらとか言ってるが、性欲あふれる高校生男子が1cmで我慢できるわけないだろ。

俺は無視して、ご飯を食べた。



移動教室の準備をしていると、またあいつがやってきた。

またやらせて下さいって土下座。

これ、卒業するまで続くのか?このやらせてあげなよ視線とか、委員長がなんとなくかわいそう視線を、卒業するまで浴び続けなければいけないのだろうか。

大学も同じくらいの偏差値だから、ひょっとしたらこの国の最高学府に進学で、大学でも同じパターン?

「じゃあ、ジャンケンに勝ったらやらせてやるよ。その代わり、お前が負けたら、仕事以外で俺に会いに来るなよ。50%の確率だけどどうする?」



今まで0%の確率が50%に跳ね上がったことに喜んだあいつは、挑戦し。

勝ったのは俺。悪いな、俺動態視力が異常に良いから、ジャンケンに負けたこと一回もないんだよな。だから確率は50%じゃなくて、はじめから0%だったんだよ。


「お前負けたから、会いに来るなよ。視線合わせるなよ。俺のこと見んな。分かったな?」


まあ、約束守るか分かんないけど、守ってくれれば良いことだし。破られれても、今までどおりの生活だし。


そのくらいの軽い気持ちだった。


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