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その日は、いつもと同じ平凡で終わるはずだった。

大学で講義中、半分寝ていたら、あちこちからスマートフォンの緊急速報の音が鳴り響き、俺も慌ててスマートフォンを確認したら、全国各地で暴動が起こっている。屋内に批難をし、屋外に出ないようにとの政府声明が出ていた。
15:25の出来事だった。

みな、その速報に戸惑って、教授も授業を止めようとはせず、数分後……物凄い数のゾンビたちが、教室の窓を物量で壊しながら入ってきた。そして俺は数人のゾンビに噛まれ……死んだ。

という夢を見た。

「夢なんだけど、夢じゃないんだよ! 正親! どうしよう!? 明日、日本中がゾンビの世界になるんだよ!!!」

「まあ、待て。お前の正夢が100発100中なのは今に始まった話じゃないから信じる。例え、ゾンビが現れるとかアホらしい現実であってもな」

「信じてくれるんだな!? 正親!」

誰が聞いたって明日、日本が終わってゾンビの世界になるなんて信じないだろう。でも正親は、子どもの頃からずっと一緒で俺の正夢のことを馬鹿にしないで聞いてくれた。正夢と言っても年に数回しか見ないし、どうでもいい正夢も多い。故意に見ようと思って見れるものじゃないし。

「もう少し詳しく思い出してくれ。明日の何時にゾンビ騒動は起こるのか? どれほどの規模なのか。ゾンビはどんなだ?」

「えっと……速報を見たのが、15:25って表示されていた」

「じゃあ、危険ゾーンを意識して12:00までには避難をしておきたいな。あとは?」

「速報だと全国各地って書いてあった。ゾンビは、とにかく早い! もうダッシュしていたし、噛み付かれたら……多分だけど、重症ですぐ死んだやつらはすぐゾンビになって、人を襲っていた」

俺がどこに逃げようと悩んでいる間に、周りの人はゾンビになっていたし。それで俺もすぐに襲われたんだよな。

「随分感染速度が速いようだな。その話を聞くと空気感染はないのか?……いや、でも可能性はあるな。とにかく、俺は避難の準備をするから」

「え? 俺どうすれば良いの?」

「俺が準備するからお前は待っていろ」

「でも!……不安だよ」

世界がゾンビになるって言うのにタダ待っていろって? 無理でしょ。

「じゃあ、ついて来い。邪魔をするなよ」

正親に黙ってついていくことにした。

避難ってどこにするんだろう?

「ヘリを3台チャーターしろ! 今すぐにだ! それに船もだ!……そうだな。物を運ぶようのと、小回りが利くのと、クルーザーで生活が出来るものをそれぞれ2台ずつ」

部下に電話をしている。正親は大学生ながら事業を起こしている。俺たちって孤児で、お互い同じ施設で育ったんだよね。俺も本当だったら中学で施設を出て自活しないといけなかったのに、正親がお金を稼ぐから一緒に暮らそうといわれて。今のほほんと大学生をしていられるのは全部正親のお陰だ。
ただ正親は、俺の予知夢のお陰で市場相場や先物取引で大もうけが出来たので、俺のお陰だから金は折半だと言ってくれている。
そこまでは悪いので、家賃生活費学費と、それにお小遣いを貰っていた。

「船とかヘリとかって、何に使うの?」

「脱出手段だ。もしゾンビに避難場所が取り囲まれたりした際に、脱出手段を備えておく必要があるだろ? 一台じゃあ故障や不備があった場合怖いからな」

流石正親だ。

「あとは避難場所だが。ゾンビはどのくらいで治まると思うか? 数はどれくらいになりそうだったか?」

「え〜っと……ごめん、俺速報から10分後くらいに死んだとおもうから、あまり詳しいことは分からないけど。校舎の窓を物量でぶち壊したから、100人くらいいた。で、すぐに全員ゾンビになったと思うし……屋内に偶然いたとしても、低層階じゃかなり危ないんじゃないかな? 屋外にいたら助からないと思うし。あっというまに、外はゾンビだらけになって、生き延びようと思ったら頑丈な屋内で上層階にいること。食料が充分にないと、駄目だと思う」


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