★注意★
これは、キャラ人気投票クライス様1位、ユーリたん2位をお祝いして書いたSSです。
ようするにIF話です。
従って、普段のカップリングとは違います。こんなのハートシリーズじゃない!
クライス様の夫はユーリたんだけよ!というかたは読まないようにお願いします。
でもユーリファンには満足行く結果になるかと思うので本当はそれほど、大丈夫かと思わないでもないですが・・・・念のため、注意報です。









「永遠の愛を誓います」

そう隊長の誓いの言葉を聞いて、俺はこの瞬間が幻のように感じられた。
隊長のことは好きだった。けど、この思いが成就することなんてないと思っていたし、望んでもいなかった。
誰にも話すつもりはなかった。けれど、彼の弟が俺のことを好きだといい、仕方なく事情を話した。

その結果、隊長に俺の思いが伝わってしまい、初めはユーリを恨んだが、隊長はなら自分と結婚するかと言ってきた。
始めは断ったが、隊長もいずれ結婚しないといけないし、俺となら気心も知れていて結婚してもいいと思ったと言ってくれ……愛されているわけではないかもしれないが、俺を尊敬していてお互いに尊重しあえる夫婦になれると思ったと言われ、もう断ることは出来なかった。
だって俺もずっと隊長のことが好きだったし、その隊長が初めて結婚してもいいと思ったと言ってくれたのだ。

そのうち、隊長も俺のことを好きになってくれるかもしれない……そう思って、彼の手をとった。

少しの懸念があるとすれば、彼の弟のユーリだ。隊長のことを好きだと言った後も諦めないと言い続けたが、隊長と結婚すると決まった後、ユーリを見ていない。披露宴の後、久しぶりにユーリの姿を見たが、パーティーの間中つまらなそうな顔をしていたのを見かけた。

親戚になるのだし、仲良くしたいとは思っていたが、それも難しいかもしれない。

ユーリのことも気になったが、それよりも今の俺の中で最も気にかかっているのは、あと数時間後に迫った、いわゆる初夜のことだ。

勿論、この国の慣例に従って、俺は隊長とキスもしたことがない。今夜が初めてになる。

でも、今夜それがあるとは限らない。結婚しても隊長は半分義務のように思っているところがあるので、そういうことをしようと思わないかもしれない。隊長を見ていると性欲とは無縁の世界で生きているような気がしてならないからだ。
しかし義務があるからこそ、完遂しようとするかもしれない。

隊長と俺となら、当然妻になるのは俺のほうだ。隊長が公爵家の跡取りというだけではなく、純粋に魔力量の少ないほうが隷属的な関係上、妻として扱われることが一般的なのだ。魔力量の多いほうが身ごもれないこともないが、酷く難しいと聞いている。したがって、俺が隊長に抱かれることになる……と考えるだけでもはやどうしていいか分からない。

むしろ今日はないほうが良いのかもしれないと、そんなことを思いながら、今夜から二人の寝室になるベッドで隊長を待っていた。

いまだ夢見心地でいると、隊長が寝室に入ってきた。その姿を見れずに俯いていると、そっと両手で顔を上げられ、クライスと呼ばれた。その声があまりにも今までと違って、目線をあわせないようにしていたのに、直視してしまった。

こんな情熱的な目で隊長が俺のことを見てくるなんて。一瞬その目は誰かに似ていると思った。隊長の弟と同じ眼をしていると思ったが、兄弟だ。似ていても当然だと思って、その時は何の疑問も持たなかった。

「あ、あの……」

「可愛いな……クライス。緊張しているのか?」

「……こんなふうになるなんて、想像もしてなかったので…どうしたら良いのか分かりません」

「大丈夫だ…クライス。ただ、私に愛されていれば良い。そうだろう?」

「はい」

俺は知識はあってもこんなときどうしたら良いか分からない。こういうときは旦那様に身を任せていればいいと教わってきたが、教わらなくてもそれ以外しようがなかった。

抱きしめられた体が熱い。だけどそれは彼も一緒だった。隊長も同じように、いやそれ以上に熱かった。押し当てられた物が酷く熱く感じられ、羞恥にきっと顔を染めていただろう。

隊長が俺に欲情してくれているなんて、信じられなかった。けれど、優しくすると最初に言ってくれたのと反対に、物凄く荒々しく求められた。

俺は当然初めてだった。
隊長は慣れるまで痛いかもしれないから、薬を使ったほうが良いか聞いてきたが、俺は要らないと答えた。媚薬なんかを使って、自分を制御できず恥ずかしい姿を見せてしまうことを恐れたし、例え痛かったとしても正気で隊長を感じたかった。

だから痛くても耐えた。荒々しい抱き方だったけど、それだけ隊長も俺を欲しがってくれたと思うと、逆に嬉しかった。
2回目からはとてもゆっくり、優しく抱いてくれた。

「クライス……私の子どもを産んでくれるか?」

「はい……でも、俺とじゃ、なかなか出来にくいかもしれないから……申し訳ないですけど」

隊長のほうが遥かに魔力は高いが、俺もかなり高いほうだ。一般的に魔力が強いもの同士は妊娠しにくいし、魔力が高いと妊娠もしずらいという。

「構わない。時間がかかっても、その分こうやってクライスを抱けるんだから、出来ないなら出来ない間楽しめば良い……クライスの子どもは欲しいけれど、焦る必要はない」

「はい…」

俺は、はい、以外の言葉言えないのだろうか。元々上司で仕事のことでは何でも言えたのに。こんなお互い裸で抱き合っていると、恥ずかしくて、気の利いた事がいえない。

「恥ずかしがっているのか?……初々しくて可愛いな……私のクライス」

結婚したらお互い尊敬しあう夫婦にはなれると思っていた。けど、こんな甘い、俺を可愛いなんていう隊長は想像もできなくて、戸惑ってしまう。

本当に俺なんかをそう思ってくれるんだろうか。あんなの恋愛にも結婚にも興味がなかった隊長の変化が激しすぎて、俺はついて行けるんだろうか。


新婚旅行をかねて公爵家の領地を数ヶ所回り、休暇が終わると部隊を配置換えされていた。
同じ部隊内で夫婦で所属はできない決まりがあるので、俺が配置換えされるのは当然なのだが、配属先が第4部隊だった。
第三部隊の隊長が因縁のあるユーリであり、第三と第四はよく合同訓練をするので、必然的に一緒に仕事をすることが多くなってしまう。
しかし同じ部隊ではないので、気まずいからと言って変えてもらうわけにもいかないし、そもそもユーリが俺のことを好きだったのは誰にも内緒だ。隊長も知らないはずだ。

あまり言いたくはない。疑われるとは思わないが、普段ユーリは宿舎で暮らしているらしいが同じ城にいるときもある。とはいっても、広大な公爵家の城なので会うことはない。それでも、真剣に求婚された相手と同じ城の中にいることはあまり外聞がいい話ではない。だからなるべくならユーリと関わりたくはなかった。





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