さて、基本的に既婚者は夜勤は少ない。独身者が夜勤など不規則なシフトを受け持っている。だが全くないというわけにもいかず……
深夜遅く帰ってくる夫は普通は妻を起こさないように、そっと入っていくか、または別室にて妻の負担が無いように寝る。
だがこの男は違った。帰ってくる場所は常に妻だと思っており、平気で妻の就寝中にベッドに入って行き、時には妻の寝込みも襲う。
目が覚めたら全裸の夫が圧し掛かっていることなど、いつものこと……なのだ。
「やあ、奥様ただいま」
「……眠い、ユーリ」
「寝ていて良いよ(^▽^)俺が勝手に子作りをしているから」
「寝ていられるか!」
「じゃあ、起きてエッチしよう♪」
「ただいまクライス。俺の綺麗な奥様、ご機嫌はどうかな?」
「おかえりユーリ」
「おかえりのキスは?」
「……子どもたちが見ている」
「見ていたって良いだろう? 俺を愛しているのならキスして」
「昨日お母さまとお父さまがチューをしていたの」
「……二人とも仲が良いからね……(クライス様まだ精神支配中なんだ)」
精神制御魔法がかかっている最中のクライスは誰かに似ている。勿論本人には自覚が無いし、周りの人間もクライスの兄に会ったことがないので比べる事ができなかったが、そうその惚気具合など兄マリウスにそっくりなのである。
マリウスのようにユーリの胸毛にウットリしているかは、定かではないが……そもそもユーリは辺境伯家の血が濃くないので兄のようにふさふさな胸毛はない。
「アンジェくん! 僕ともヾ( ̄〓 ̄ヾ)ちゅ〜〜〜♪して?」
「嫌だよ」
「(´;ω;`)」
「ルカ……段々パパに似てきて、ママは少し悲しい」
「僕ね! ろくが魔法できるようになったんだ〜お父さまとお母さまのちゅ〜のえいぞうとっておいたの」
「……クライス様、とっても喜ぶと思うよ」
*発狂中
どう考えてもやりたい放題の夫である。
クライスはそれでも義理の兄嫁であるエルウィンとは違ってとても我慢しているのだ。
夫に好き勝手やられても、夫が鬱陶しくへばりついてきても。
他人には熱愛夫婦だと思われても………
我慢に我慢を重ねて、何とか円満な夫婦でいるように見せかけて……夫の暑苦しい愛を我慢して受け止めてきたが
とうとう爆発して家出し、現在監禁中………
- 295 -
← back →