俺はドキドキしていた!

な、なんとあのイブちゃんが俺と結婚してくれる事になったんだ。

どういうわけか、魔獣退治に参加していた100人は全員結婚するように副隊長に命令されて、特にイブちゃんは絶対に結婚するように言われてしまった。

「ぼ、僕……実は好きな方がいるんですが、自分からは自信がなくて告白できません……」

イブちゃんは副隊長のことが好きなのかと思っていたが、どうやら違うようだった。副隊長は親友のロアルドにプロポーズして、引っ張られていってしまった。イブちゃんはショックを受けているかと思ったが、別に副隊長のことは何とも思っていなかったそうだ。

なら、とイブちゃんを好きだった男たちが皆イブちゃんへの一斉プロポーズをしだした。
ずらっと一列に並び、お願いしますと頭を下げた一同の中で、なんと選んでくれたのは俺だったのだ!

「僕、ずっと貴方のことが好きでした……この部隊に配属してもらったのも、貴方がいたからなんです。ちょっと裏のコネを使っちゃったんです」

恥ずかし気に笑うイブちゃんは可愛すぎる!

「お、俺もずっとイブちゃんのことが好きだった! その可愛い目に、綺麗な金髪……本当に俺なんかと結婚してくれたなんて」

「僕、もてないよ……」

イブちゃんがもてないって! さっき、何十人も求婚に並んだ列はなんだったって言うんだ!

「だから、僕……アーロンが僕を好きになってくれるって自信がずっとなくって……見ているだけだったんだっ」

な、なんて可愛いんだろう!
こんなに可愛いのに、自信がないって!
ああ、イブちゃんは可愛いけど、魔力は低いもんな。俺は気にしないけど、こんな可愛くっても名門の家の跡取りとかだったら、魔力が低いからと敬遠するかもしれない。昔、それで嫌な思いでもしたのかもしれない。

「そんなこと言わないでくれ! 俺だって、貧乏貴族の次男坊に過ぎないし! イブちゃんに苦労させるかもしれないけどっ! でも大事にするから!」

「嬉しいっ! 僕もさっそく婚姻届にサインをするからアーロンもサインして?」

イブちゃんは率先して書いてくれた。でも、実は夫が左側にサインをして、妻が右側にサインをするのが決まりなんだよな。
でもイブちゃんは間違えて左側に書いてしまっていた。可愛い間違いだなあ。訂正しなくても、典礼省が魔力の大きいほうを夫として登録してくれるから、こんなに喜んでいるイブちゃんに水を指すような真似はしたくなかったので黙っていた。

「官舎で初めての夜だと……他にも結婚した人が一杯いるし、他の場所で過ごさない?」

「そうだな…」

せっかくの初夜を官舎でなんて味気ないし、他にも初夜を迎える面々で煩いかもしれない。ムードがなさすぎる。
しかし、俺も官舎住まいなので他に家も持っていないし、実家で過ごすなんて嫌だ。

「僕の家では駄目? 誰もいない家なんだ」

「勿論嫌だなんて言わない」

イブちゃんの家族にもまだ挨拶していない。そういえばイブちゃんの家はどんな家なんだろう。魔力が低いから、下級貴族かな?

「じゃあ、移動しよっか」

イブちゃんは俺の手を握り締めると、次の瞬間余りにも豪華な部屋に移動していた。
シャンデリアに豪華な天蓋ベッド。金糸を織り込んだ、俺の給料一年分はしそうなソファ。他にも俺の生涯年収が飛んで行きそうな、見たこともないような金のかかった部屋に移転してきていた。

「え? 何だ、この王侯貴族が住むような部屋……」

「アーロン、好きっ」

イブちゃんは俺に抱きつくと、ベッドに行こう?と誘ってきた。なんて大胆なんだ。
こんなに可愛くって夜は淫乱な奥様とかか?
な、なんて俺は幸せなんだろう!

イブちゃんの小さな身体全体で抱きついてきてくれる。

「アーロン……僕、アーロンとずっとこうしたかった。アーロンのこの綺麗な黒髪に触れたかった……アーロンを抱きしめたかった」

「イブちゃんっ…俺もだ!」

「……でもね、僕アーロンに内緒にしていた事があるんだ……アーロンに本当のことを言ったら、アーロン許してくれないかもしれない」

イブちゃんは可愛い顔を泣きそうに歪めて、僕はずっとアーロンに嘘をついてきたんだと言った。

「イブちゃんっ……俺は何を聞いても嫌いになんかならない!」

「僕の……体のことでも?」

身体?

ま、まさかっ……イブちゃんはこんなに可愛いんだ。
ひょっとしたらよからぬ輩に……純潔を奪われてしまったと告白したいのかもしれない。
勿論この国ではお互いに純潔のまま結婚するのが望ましい……しかし、イブちゃんがもう処女ではなかったとしても、それはイブちゃんの責任じゃない!

「俺はっ! どんなことがあってもイブちゃんを愛し続ける! 絶対に嫌いになったりしない!」

「本当?……アーロンありがとう」

イブちゃんは涙を流しながら俺に感謝の言葉をつづった。

「僕ね……僕を見て……」

イブちゃんは服を脱ぎ始めた。まさか……陵辱された際に、傷でもつけられたのだろうか。イブちゃんは医者に見せることもせずに内緒にして傷が残ってしまったのかも知れな……


「え?………」

「これが本当の僕なの……」

服を脱いだイブちゃんは、華奢な肢体をしていて……しかし、見る見るうちにムキムキになっていった。すべらかなシルクのような肌は、なみなみとした剛毛が生えていき……可愛い顔だけはそのままだったが、身体はムッキムキになり、胸毛からすね毛までもりもりになっていたし、唯一変わりなかったはずの可愛い顔にまでうっすらと髭が生えてきていた。

しかもささやかなまでにしか感じられなかった魔力は副隊長と張るほどの膨大な魔力を感じさせた。

「え?え? い、イブちゃん?? ど、どういうことなんだ???」

「ゴメンネ、隠していて……僕ね僕ね……こんな可愛い顔に生まれちゃったんだけど、好みのタイプはがっしりしていて、凛々しくて男らしい人だったんだ。けどね、そんな人は皆僕のお嫁さんにはなりたくないって言うんだ。可愛い奥さんなら欲しいけど、僕みたいな可愛い顔をしたマッチョを旦那にしたくないんだって……お見合いを両親にすすめられても僕が可愛い顔をしすぎていてタイプじゃないって断わられちゃうし……僕だってアーロンじゃないと嫌だったから断られても傷つかなかったけど、けど、けど……僕みたいなの、夫にってもてないんだ。特にアーロンは可愛い子をお嫁さんにしたいって言っていたし……僕なんかがストレートにお嫁さんにきてくださいって言っても、きっとうんって言ってくれないと思った。だから、魔力を抑えるように擬態をしてひ弱なイブを装ったんだ。辺境伯家のイブは持てなくっても、小さくて可愛いイブはもてた……」

いや、確かに格好いい男を嫁にしたいと思ってもイブちゃんみたいな可愛い顔の男はもてない???
いや、どうなんだろう? っていうか、可愛い顔に似合わないマッチョな体系と、この剛毛が駄目な理由じゃないのか??
お嫁さんには駄目だろうけど、旦那にだったら良いっていう可愛い子もいるだろう。
あ、でもイブちゃんは可愛い子嫌だから駄目なのか?
あれ? 辺境伯???

な、なんか、もう脳内がパンクしそうだった。

「だからね、ごめんね。僕アーロンをお嫁さんにしたんだ。ちゃんとサインもしてくれたし、もう隠し事もないからいいよね? アーロンの処女を僕に下さい!」

「ちょ、ちょっと待ってくれ、お、俺が妻なのか??!!」

「そうだよ、アーロンは未来の辺境伯夫人だよ」

明らかになったイブちゃんの魔力はどうみても俺よりも高い。法則に従えば俺が妻になるんだろうが……

「へ、辺境伯夫人っ? あ、有り得ない……」

俺はこれでも部内でそれなりの魔力の持ち主で、将来出世が約束されていたはずだった。婿養子に来ないかって声もたくさんあったが、イブちゃん一筋で生きてきたので考えた事もなかった。
出世は出世だろうが、辺境伯夫人なんて……

「ごめんなさい……色々隠していたのは謝るけど、もう結婚しちゃったんだから大人しく僕に抱かれて欲しいんだ」

離婚できない。そう一度結婚したら離婚できない。そう思われている!

けど、1つだけ抜け穴があるのを知られていない。けど俺は知っている。身内に離婚をしたカップルがいたからだ。

けどこれには厳しい条件がある。

1、結婚後一ヶ月以内である事
2、性行為をしていないこと(魔法で性交渉をしたかどうか分かるので嘘はつけない)
3、お互いに円満離婚である事(片方が拒絶したら駄目)
4、結婚後性の不意一致が発覚した場合に限る

この全てを満たしていないと駄目なのだ。
どうしてこういう隠れ離婚条件が発生したかと言うと、基本的にわが国は離婚もできなければ婚前交渉もしない。
従って結婚して初めて初夜が行われるわけだが、いざ初夜!となった時に、たとえば夫になった男が妻を抱こうとして、初めて気がつくことがあるとする。実は自分って夫には向いていないんじゃあ……実は抱かれたかったかも……つまり妻属性だった。
逆の場合もあるだろう。いざ初夜で妻として抱かれようとした場合、あれ? 何か違う。自分って抱きたかったのかも……つまり夫属性。
けれど立場を逆転しようものも、妻や夫になるのを決めるのは全てが魔力。どんなに愛していたとしても、魔力の低いほうが高いほうを抱く事はできない。本能で恐怖を感じて体が反応しなくなってしまうのだ。
夫が妻属性だと判明したときは、もうこれ以上の夫婦関係は不可能になってしまう。

ただ、例えば妻が夫属性だと判明した場合、夫は普通に妻を抱けるのだ。妻が嫌がっても魔力でどうこうできてしまうので、夫が優しい人でしょうがないから離婚をしようと言ってくれなければ、離婚は出来ない。無理強いされてしまえば純潔じゃなくなるので、もうどうやっても離婚は不可能になる。かなり厳しい離婚条件なため、なかなか離婚できるカップルはいない。
俺の友人夫婦はこの条件に全て当てはまり円満離婚をできたが、離婚できる事を余り広めたくないのか、ほとんど知らない人が多いだろう。

俺とイブちゃんってこの離婚条件にイブちゃんさえ頷いてくれれば出来るはずなんだけど……

「イブちゃん……離婚を考えてほ」

「駄目! 絶対に離婚なんかしない! 酷いよ! アーロンは僕を愛してくれるって言ったのに、僕がマッチョで毛深くて魔力が高いことが分かったら離婚しようなんて、そんな些細な事で愛は変わってしまうの?」

そんな些細な事なのだろうか……? 些細じゃないから隠しておいたんだろ? もてないから。
でも泣くイブちゃんは可愛い(髭さえなければ)
今だって俺イブちゃんを愛している。けど、俺イブちゃんに抱かれるって言うのは……

「二度と離婚なんて口に出せないように、アーロンの処女を今から奪うんだから!」

「せ、せめてもうちょっと心の整理がつくまで待ってくれないか?!」

「駄目! だって心の整理がついたって僕が離婚する気ないんだから、アーロンはどうせ僕の奥さんになって僕に抱かれるんだから、結局同じ事じゃないか! だったら僕のここもうこんなんだから、覚悟なんか決めていたら余計怖気づくでしょう? そんな怖い思いさせたくないから、ね?」

ね、って何? い、イブちゃんっ……イブちゃんって可愛いの顔だけ?!
イブちゃんに触らされたあそこ……超でかいんですけど!?

「む、無理!! だって俺、奥さんになる気なんかこれぽっちもなかったんだっ! 性の不一致は不幸な夫婦生活になるって言うだろう!?」

「大丈夫だよ、アーロン……慣れれば抱かれるのきっと気持ちよくなるよ。あ、そうだ。僕ね、念のために公爵家から闇で花嫁の媚薬を買っておいたんだ。これを使えばアーロンも気持ちよく僕に抱かれてくれるよね?……どうしても僕の奥さんになりたくないんだったら、ずっと媚薬を使えば僕に抱かれる以外何も考えられなくなるよ?」

ひ、ひいいいいいいいいいいい。…あんなものは誘拐に使うんであって、間違っても自国民に使い物じゃないはずだ!!!!

イブちゃんは本気だ。本気で俺と離婚してくれる気は全くなさそうだし、ここで嫌がったら、花嫁の媚薬で無茶苦茶にする気だ!

……どうせ離婚できないんだったら、魔力の量からしてどうやってもイブちゃんが夫になってしまう。これはどうやっても避けられない現実なんだ。だったら、一番ダメージの少ない方法で抱かれる……しか、ない。

我慢しろ、俺! 相手はあんなに恋焦がれたイブちゃんじゃないか!

抱くか抱かれるかの些細な……そう、些細な問題じゃないか!

「い、イブちゃん……ごめん、俺ちょっと混乱していたみたいだ。だっていきなり夫だと思っていたのが妻になっちゃっただろ? でも、結局は愛するイブちゃんなんだから、こんな些細な事で離婚しようと思った俺が間違っていた。ごめん……」

「分かってくれたの? アーロン! 嬉しい!」

些細な問題じゃ、決してない!!! 決してないけど……こうするしか俺は自分の身を守る方法を思いつかなかった。

鍛え上げたマッチョな身体が俺を抱きしめる。ふさふさな胸毛が当たる……

イブちゃんの顔に似合わなく大きすぎる、あそこが……駄目だ! 見るな! 目をつぶってやり過ごせ!

「アーロン、恥ずかしいんだね。大丈夫だよ! とってもアーロンは綺麗だっ……ドキドキしちゃうっ、今からアーロンの処女をもらっちゃうかと思うと」

俺の一生誰にも捧げるはずもないと思っていた処女が……イブちゃんに奪われる……いてええええええええええええええええ、む、無理っ

「い、イブちゃん、む、無理っ……イブちゃんのでか過ぎる」

裂けるだろうが! イブちゃんも指で慣らそうとしてくれていたが、指とちんこの比率が違いすぎるから!

「アーロンごめんね!……僕の一族って顔に似合わないで大きいって有名なんだ。どうしよう……そうだ!慣れるまでこの花嫁の媚薬を潤滑剤代わりに使おうか!」

い、イブちゃん!俺はそれを使われたくなくて大人しく抱かれる事を選んだのに、使っちゃったら本末転倒だろう!

文句を言う前に、イブちゃんは顔に似あわないグロテスクなちんこに花嫁の媚薬を塗り捲ると……

「もう大丈夫だよ、アーロン」

「うわあああああああああっっ」


*****

翌日……急な結婚だったため(計50組の夫婦が出来上がってしまい、初夜明けでも有給は却下された)色んな、新婚カップルが出勤していた。

「おい、あれ誰だよ」
「顔はイブちゃんだよな?……でも身長20cmくらい高くなっているし、なんか凄い良い身体(マッチョ)になっていないか?」
「魔力もすげえ……」

俺と腕を組んで出勤したイブちゃんは、皆から畏怖の表情で眺められていた。確かにこの顔でこの身体で、可愛い奥さんじゃなくて鍛えぬいた騎士を嫁にしたいのなら、イブちゃんはもてないだろう。

「……アーロン? お前……」

搾り取られましたという表情の友人ロアルドに会ってしまった。ロアルドは俺とイブちゃんを見て明らかにどっちが夫が一目で分かってしまったらしい。

「聞かないでくれ……お前が羨ましい」

ロアルドは副隊長を妻にしたのだ。はっきりと妻になると言っていたので間違いはないだろう。

「羨ましいのか? 初夜のベッドでは散々殴られて、主導権は全部メリアージュ様で、俺は……寝ていただけだぞ?」

「俺なんか、あんなに可憐だと思っていたイブちゃんが、実は変装?で、マッチョででかいちんこ持っていて、一晩中それで突かれまくったんだぞ!……今でも棒が入っているみたいだ……どっちが不幸だと思う?」

ロアルドなんか上司のカッコいい奥様に奉仕されまくって、何が不幸なんだ?

「じゃあ、お前は副隊長相手に勃起できる自信があるのか!? 俺は、ずっと勃起しないといけないいけないと、呪文のように……」

副隊長相手に……いや、俺のほうが副隊長より魔力低いからそんなふうに思ったことないけど……けど、ハードル高すぎる。もし俺がイブちゃんに抱かれるか副隊長を抱くか、選択を迫られたら……

「イブちゃんが夫で良かったかもしれない」

「でも、俺イブちゃんに抱かれたくはないから……メリアージュ様が奥様できっと良かったんだ」

お互い、いまいち納得できないまでもお互いの伴侶でよかったと思えたのは、良かったのだろうか……

END

はい、皆様、イブちゃんはイアンのママ!という意見が大半でしたが・・・正解は
イアンのパパでした!!!!
だから斜め上を見ようといったのです(爆)

おまけ★
「イブ、お前が明日から副隊長だ(筆頭分隊長に任せようと思ったら妊娠していたので断わられた)」

「ええ〜〜〜!!! 僕、アーロンと新婚旅行に行きたいのに……」

「今まで、平部員に配置させてやったんだから、恩を返せ」

「メリアージュ、そのまま副隊長すればいいじゃん」

(二人は同期で実は友人です。イブは年齢さえも誤魔化してフレッシュな新人のふりをしていました)

「ロアルドの両親に子どもを作ると約束したので当分子作りに専念したいし、実家から勘当されたから、俺が部隊にいてはロアルドもやりにくくなるだろうからな」

「え? 勘当されちゃったの?……許可取ってなかったの?」

「仕方ないさ……伯爵家に嫁入りに行きたいだなんて誰も許してはくれないだろうからな」

メリアージュは公爵家の三男で、嫁に行くとしても王家か一族のものか、侯爵家くらいまでだろう。伯爵家みたいな格下過ぎる家では許してもらえるわけはない。

「あんなにご両親、メリアージュのこと可愛がっていたもんね……兄君の公爵夫妻も自分の子どものように思ってらっしゃったのに」

「だからこそ、裏切った俺は憎さ100倍なんだろう。でも、どうしても俺はロアルドと結婚したかったから、両親や兄上たちに嫌われても仕方がない」

「きっと今頃勘当した事後悔しているよ」

****

「どうしてメリアージュのことを勘当なんかしたんですか!? 父上!  メリアージュが可哀想でしょう!(´; ω;`)」BYアンリの父

「ああ言えば、メリアージュが帰ってくると思ったのだ! 離婚手続きだって、私が陛下に言って、結婚なんてなかったことにしてやるといったのに(´;ω;`)」

「今からでも絶縁を撤回して来てください! 魔力が(公爵家にしては)低いせいで肩身狭い思いをして来たというのに、勘当までされたら伯爵家で虐められるに決まっています!」

そんなはずないとは誰も突っ込まない……

「いや、体面というものがある! あんな格下の伯爵家に勝手に嫁に行ったメリアージュを許すようでは……う、うっメリアージュ・゚・(ノД`)」

****
実家の両親や兄を心配の渦に巻き込んでいるメリアージュ様は

「裸になれ!」

「は、はい!」

「貴様、今日またイブを見ていたな! 結婚して夫になった猫かぶりの男なんかに一体何時まで見惚れていれば気が済むんだ!」

「ひ、ち、違いますっ! ま、マッチョだったんだなあと、びっくりして見ていただけです!」

「なら貴様はマッチョが実は好きだったのか! 許さん! こうなったらイブよりも先に子作りを完了しないととても気持ちが収まらんっ! 搾り取ってやるから覚悟をしろ」

とても生き生きと夫を虐待しておりました。




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