しょ、初夜……副隊長から語られた恐るべき言葉に、俺は心配になってしまうことがあった。

それは、俺の息子役に立つのだろうかということである。

そもそも今だに自分が副隊長と結婚してしまったという事実が受け止められていないと言うのに、今から初夜?
俺が副隊長を抱くのか?

勿論俺は初めてである。手順は……まあ、話を聞いて知ってはいるが実戦は当然したことがない。
可愛い奥さん相手なら、お互い初めて同士で四苦八苦しながらやり遂げるという手もあるだろう。

しかし相手のあの副隊長だ。

俺がモタモタしていたら、蹴り飛ばされるだけじゃ済まないだろう。あそこを使い物にならなくされるかもしれない……もっというなら勃起しなかったら、俺が不満なのかと殺されるかもしれない!
充分考えられる事態だ。

どうしよう………副隊長が魅力がないとは言わない。
怜悧な美貌で、凛々しく、貴公子そのものの容貌は、数多の騎士たちの憧れであり、その腕に抱かれたいと思っていた妻希望も大勢いいたのだ。俺もずっと格好いいとしごかれつつ憧れていた。しかし恋愛感情などではない。あの怖い目に睨まれて勃起できる自信がどうやってもなかった。

なのに、副隊長は自分の家(官舎ではなくおそらく副隊長の自宅の城……副隊長の実家ってどんな大貴族ですか?)に俺を連れ込むと風呂! と俺を風呂に押し込めて、出てくると副隊長も他の部屋の風呂を使ったのか、バスローブを身に着けて俺を寝室に放り込んだ。
俺をベッドに放り投げ、仁王立ちする様は威圧感バリバリでやっぱり息子は縮まるばかりだった。

「あ、あのっ……ほ、ほんとに?」

「何がだ?」

「……今からしょ、初夜なんですか?」

「さっきからそう言っているだろうが! 何度も同じことを言わせるな!」

「は、はいっ……申し訳ございませんっ」

こ、怖い……訓練でいびられ続けた記憶がそれ以上の言葉を封じさせられた。
ちょっと時間を置いてくださいとか、心の整理がしたいんですとか、勃起できるか自信がありませんとか言ったらきっと殺される。

副隊長は俺を睨むと、肩を掴み押し倒した。

俺は副隊長に馬乗りにされ、今から犯される乙女のように震えていた。

勃起しなかったら……さっきからそればかりしか考えられない。っていうかこの怖い上司相手に無理だ! だって怖い(( ;゚Д゚))

こ、こうなったら先に自己申告してダメージを最小限にするしかないっ!

「ふ、副隊長……お、俺……き、緊張して……使い物にならないかもしれません!」

すると副隊長は笑った。

「初夜だからな……緊張するのも分かるから、気にするな」

や、優しい??

「俺が全部やってやる……お前は寝ているだけで良い」

な、なんて男らしいっ!
し、しかし夫としての立場が……って、俺は夫で良いんだよな? だって副隊長が奥様になってくれるって……言ったよな?

「ロアルド……」

副隊長が硬直する俺の唇にそっと、その唇を寄せてきた。

硬質な貴公子そのもの顔が近づき、想像できないほど柔らかいものが触れた。

「んっ……」

き、気持ちいいかもしれない……

そのまま副隊長は俺のバスローブを剥ぎ、即物的に俺の息子に手をっ

「だ、駄目ですっ副隊長」

「何時まで貴様は俺のことを副隊長と言うんだっ!」

「す、すいませんっ……な、何て言えばよろしいでしょうか??」

な、何て副隊長のことを呼べばいいんだ? お、奥様? 

「名前で呼べ! 当然だろう」

そ、そうですね。当然ですよね……

「メ、メリアージュ様……」

「そうだ……俺はお前の妻だ。お前は夫として堂々としていろ」

奥様メリアージュ様の前で堂々と? む、無理です……特に俺の息子は……

「お前、この俺を目の前にしてこの様はどういうことだ?」

奥様は俺の息子は触って勃起させようとしますが、だって無理かもしれないってちゃんと申告したじゃないですか!

「そ、その緊張していると……」

「そうだったな……」

奥様は一旦俺の息子から手を離すと、自らも纏ったバスローブを脱ぎ全裸になりました。
その均整の取れた美しい身体……神々しいまでに引き締まっております。

そしてその口が……

「ひっ……メ、メリアージュ様っ」

奥様が俺のをっ……

「ふっ……これで役に立つじゃないか」

奥様は誇らしげにそう言うと、俺の肩に手をかけて乗っかってきて……

「くっ……んっ」

奥様は少し苦し気に眉をひそめますが、俺の息子を一気にその身に納めてしまいました。

「だ、大丈夫なんですかっ! そ、その全く慣らしていないのにっ」

「大丈夫だ。自分で慣らしておいた」

そ、それはお風呂で自分で指とか入れて? あの冷酷非道な副隊長が?

「あ、あの……副隊長、メ、メリアージュ様は、ど、どうして俺なんかと結婚して、つ、妻になろうなんて思ったのでしょうか?」

乗っかられて挿入させられた今聞くことじゃないかもしれないけど、奥様が動かずに乗っかったままでいるので、今まで聞かなかったけれど疑問に思う間もないままこんな体勢になってしまっていたことをつい聞いてしまった。

「貴様……何故だって?」

え? お、怒っている? だって、俺理由聞いていないんですよ。

「そんなもの……貴様が……好きだからに決まっているだろう!!!!」

合体していた最中だと言うのに、殴り飛ばされて床に転がった。

「この俺が、いくらでも嫁に来てくれる相手がいたのに、お前なんかの妻になってやるのに、好きじゃないはずがあるか!」

俺のことが好きだったんですか? 奥様……本当ですか? どう考えても好きな相手にする仕打ちとは思えません。
毎日殴られて、魔法で爆撃され、それが愛なんですか?
シゴキじゃ愛は伝わりません……

「貴様の見合いを潰して、貴様の両親に俺が嫁になるから今後絶対に見合い話しを持ってくるなと話をつけ、虫がつかないように監視をして、ご両親の希望通り分隊長になるまで待とうと思ったのに、貴様ときたらあんなぶりっ子イブなんかばかり見ていて、俺もいい加減堪忍袋の尾が切れた! お前は俺のものだっ! 覚悟しろ!」

初夜に袋叩きにされる夫って……俺くらいじゃないでしょうか?

「絶対に離してやらないからなっ……」

そう微笑む奥様は……非常に妖艶に見えました。

そのまま床で袋にされていた俺は、再び奥様に馬乗りにされて……

「取り合えず、お前の両親に子どもは絶対に作ると約束したから、死ぬ気で俺を孕ませろっ!……なあ、旦那様?」

奥様……何で奥様は俺よりほんの少しだけ魔力が低かったんでしょうか?
どう見ても夫のほうが似合っております……


******
「分隊長、これはどうすれば良いでしょうか?」

「ああ、それはっ ぐはっ!」

分隊長に出世し、奥様は専業主婦になるべく副隊長を辞任した……後。

「お前、何可愛い部下に頼られて、嬉しそうな顔をしているんだ!」

「し、していませんっ……本当ですって! ただの仕事なんです!」

「嘘をつけ! ロアルド、貴様は本当は可愛い嫁を貰いたかったのを知っているぞ! 隙あれば浮気したいとか思っているのだろう!」

「思っていません! 本当です! 奥様一筋です!」

何で奥様は退職したはずなのに、常に俺を見張って、可愛い部下に話しかけられたり視線が合っただけで容赦なく攻撃してくるんだ?
仕方がなく俺の部下は皆ごついマッチョで纏めた……他の部隊の分隊長たちに、お願いです、可愛い部下とマッチョな部下を交換して下さいとお願いした時、皆分かっているさと言う様に、皆優しく交換してくれた。

「知っているか? 結婚した今ならそうだったのか?って思えるけど、副隊長ってさあ、お前を訓練でシバイて殴った後、殴りまくった自分の手に後でキスしていたんだぜ? 何で自分の手にキスしているのかあの頃は不思議だったけど、お前に触れ合えて(殴って)幸せを感じていたんだなあ」

奥様……奥様って凛々しい顔をして意外と乙女だったんですね。ちょっと胸がキュンとしました。
けど、奥様の愛って痛いです。

「貴様……今日も可愛い部下を見ていたな!!!」

「見ていないですっ!」

今日もストーカー奥様に乗っかられて、子作りしています。俺って……乗っかられる以外のエッチを何時させてもらえるんでしょうか?
怖いから言い出せません……一生ベッドの中でも支配されるんでしょうか?



END

V・H(バイオレンスハート)ロベルトパパママでお送りしました!
何時もと違う奥様でしたがいかがでしたでしょうか?(笑)



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