「っ……頭が痛い。この魔法は反動が大きいな」

愛しい愛しい俺のクライスを手に入れるために、未来視をしてみたけれど、あまり幸せな未来じゃなかった。
勿論、俺はクライスを手に入れることができるなら、手段なんてどうでも良いし、可哀想なクライスもとても可愛い。
だけど、できるだけ俺のそばにいてくれるなら、幸せそうに笑っていて欲しいと思う。お人形は最後の手段で良い。

俺の持っている独自魔法の中でも、もっとも扱いが難しい『未来視』
反動が酷いし、俺の人生の中でもわずか数度しか使えないという、とても使い勝手の悪い魔法だ。
そのうちの一度を初めて使ってみた。

「兄さんになってみて、クライスを手に入れるのはやっぱり止めだな」

昨日、愛しいクライスにとても酷いことを言われた。愛しているのは兄さんで、俺は一生好きになってくれないらしい。
どうにか、俺を好きになってくれる未来を探してみたけど、無理のようだ。
どうあっても兄さんのことが好きで、俺では駄目らしい。

他の未来も見てみたいけど、一度には無理だし、未来視できる回数は限られている。

これから先も必要だろうし、あまり無駄使いは出来ない。

「そうだな……もう、変に策を練る必要もないか……ただ、クライスを欲しがれば良い」

それが一番良いかも知れない。変に策を寝れば練るほどクライスにとっては酷だろう。
兄さんだと暗示をかけるのも良い方法だと思ったのだけど、これは結局俺が耐え切れなくなるようだし。クライスも騙されていたという衝撃と、一度は幸せになれたはずなのに、どんでん返しでよりショックを受けるようだ。

だったら初めから俺に抱かれるほうがクライスにとっても良いだろう。

未来視の中で、いくら俺だったとしても兄さんに擬態してクライスを抱いたという映像が頭から離れない。あの頃はとても幸せそうだったクライス。

早く頭の中からあの映像を取り去りたい。そのためにはクライスに慰めてもらわないと。


「クライス……俺ね、昨日ずっと眠れなかったんだ」

酷い映像。例え、未来視の中の出来事とはいえ、俺以外にクライスが触れることなんて許せない。
普通だったら、愛する人の幸せを祈って諦めるんだろうけど、俺はそんなに諦めのよい人間じゃない。だって俺が諦めて、クライスが俺以外の人間と幸せそうなところを黙って眺めているのか? そんなことできない。

だったらこうやって無理矢理でも手に入れるしかない。

「俺のものになってくれて、俺に抱かれてくれたら、兄さんに抱かれるクライスの夢はもう見ないと思うんだ。ね、だから俺に抱かれて?」

嫌だって抵抗するクライス。でもこれがクライスにとってたぶん一番優しい現実なんだよ? 諦めて俺と幸せになってよ。


俺には分かるよ。クライスは俺を嫌っても、受け入れざる得ない。だって相手は俺なんだから。

逃げ道なんかどこにもないよ。逃げようとすれば、死のうとすれば、俺が使える限りの未来視で止めてみせる。

クライスはいずれ俺の子を産むんだよ。名前ももう分かっている。アンジェって言うんだ。

他にもクライス似の子ができるまで、たくさん子どもを作ろうね。



END

はい…クライス様が一位の記念なのに。ユーリたんの独壇場でした。
そしてSWEET DREAMに続くみたいな・・・・あれ?本編に続いているよこれ。
この話ユーリたんの行動しだいで実際にありえた未来でした。なんだか、ホラーになってきている、と思った今日この頃のユーリたんとクライス様でした。

おまけ

「これが……俺の投票一位記念なのか? どう考えても幸せなの、お前だけじゃないか?」

「え? クライスも幸せだよ。だって、俺が素直にクライスを強姦してよかったって思えるだろ? もう一つの未来を見えて(^▽^) 俺、良い夫だろう?」

「いや……そんな天真爛漫に、強姦したことを褒めてみたいな顔をされても……もうなんか、もう一つの未来見せられて、俺はホラーを見ているような気分になったんだが…(_ _|||)」

「不幸なクライスもとっても可愛くって、堪らなかったんだけど。だけど、やっぱりクライスは俺に怒って、しばきながら俺に抱かれるほうが好き」

「お前はマゾでもあったのか……」

「ねえねえ、どっちの未来が良かった? 可哀想で不幸な色っぽいクライスか、今の俺に一杯愛されて幸せなクライスと」

「お前、今の俺が幸せだとでも思っているのか?」

「たぶん、どんな未来視した中のクライスの中で、一番幸せだと思うよ」

「未来視……どうしてお前なんかにそんな魔法ばっかりあるんだ? もと常識的な人にそういう魔法は与えられるべきだと思うんだが。だいたいほかの俺も見たのか?」

「ううん。こうして俺の奥さんに無事なってくれたんだから、もう必要ないかなと思ってみてないよ」

「……(どうせ見てもろくな俺はいないんだろうな)」

「ねえ、俺と結婚してよかっただろ?」

「なんか、こう、下(の自分)を見れば切りがないな……というのが、正直な感想だな…… (−_−) というのか、上の俺って存在するんだろうか……」

「今のクライスが一番幸せなクライスだよ。だって、俺みたいにクライスを世界一愛する夫がいて、可愛い子ども二人に恵まれて、言う事ないだろう? それとも変態な兄さんの妻のエル君みたいに土下座されてエッチさせてくださいとお願いされたり、息子二人と一緒に母乳を欲しがったり、エッチがしたくて国中巻き込んだり……俺がそんな夫になっても良かったの?」

「……それは……もう良い。お前に執着されたときからもう俺の運命は決まっていたんだと思っていたから……はあ、俺、エルやエミリオよりも不憫な人間だとみんなに思われているんだぞ」

「それはおかしいね。クライスがきっと羨ましいだけだよ。こんなに愛する夫がいて羨ましくてしょうがないんだ」

「お前、それだけ自我自賛するなら、もっと良い夫になるように努力しないか?」

「ええ? これ以上、良い夫にどうやってなって良いか分からない」

「妊娠産後に制御魔法かけるのを止めてくれ……お前未来視でお人形な俺を作るのが嫌だったから、あの未来のようにするの止めたんだろう? だったら、妊娠のため俺を人形状態にするのは止めような」

「あれは俺のご褒美だよ。期間限定だから、良いじゃないか」

「……やっぱり、今も俺は並レベルくらいだと思う」

「それって幸せってことだよね(^▽^)」

「お前の頭が幸せなんだな……」




- 86 -
  back  一言あれば↓からどうぞ。









×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -