【寒天問屋】


※銀二貫あらすじ



『銀二貫』

始末・才覚・神信心(しまつ・さいかく・かみしんじん):商人は節約と知性と信仰で成り立っているという意。

あらすじ:武士の子である鶴乃輔。脱藩する際に父親は殺され、仇討ちで自分も殺されそうになったところを、寒天問屋井川屋の主人・和助に銀二貫で買われ、松吉と名づけられる。これは大火事で焼けた天満天神宮に寄進するためのものだった。銀二貫を貯めるため、暖簾を守るため、寒天を広めるため、ロリコン心で菓子屋の嬢さんに近づくため(そんな下世話な話とちゃいます)松吉は一生懸命奉公するのだった。


※以下ネタバレ含みますのでお気をつけて。毎度のことながら、ネット情報と記憶に頼ってます。原作を確認してから随時変更しますが、打つほうは片手間の域を抜けませんので、表現の不自由さは見逃してやってください。

管理人は時代劇フリークですが、映像のみの剣劇派なので未だに単語がよくわかりません。大体しか理解してませんので、以下の情報はあまり信用なさらず。間違いがあっても阿呆やなとスルーして戴けると助かります。


☆特殊な言葉と読み方


*大坂(おおさか)→大阪表記が統一したのは近年。

*上方(かみがた)→大阪・京都地方のこと(例・上方落語)。

*商人(あきんど)→商いをしている人。

*ご寮(りょう)さん→たぶん商人の奥方的な意味?

*嬢(いと)さん→商人の娘

*天草(てんぐさ)→寒天をつくる材料

*仇討ち買い(あだうちがい)→仇討ちをお金払うから勘弁してねとすること

*貫(かん)→重さの単位。3.75キログラム。1000匁(もんめ)。一貫は1000文。江戸時代で960文。

*銀二貫(ぎんにかん)→銀を二貫分。金に換算すると馬鹿高い(金銭価値は原作者が言及)。

*始末(しまつ)→お金を節約すること

*寄進(きしん)→お金を神社等に納めること

*天満(てんま)→大坂の地名。

*天満天神宮(てんまてんじんぐう)→大阪天満宮。天神信仰。商売の神様のいる大坂の神社。発音はて↓ん↑ま↓。

*天神(てんじん)さん→天満の神様。

*船渡御(ふなとぎょ)→祭事の際に行われる儀式。

*旦那(だんな)→親旦那、大旦那、若旦那等。店の主人のこと。

*番頭(ばんとう)→主人の下。金勘定ができないと絶対なれない。算盤命。

*手代(てだい)→丁稚の上。

*丁稚(でっち)→店に入ると、まずここから始める。

*丁稚奉公(でっちぼうこう)→子供が出稼ぎに出されること。

*奉公人(ほうこうにん)→店の主に仕える人たち。

*嬰児(えいじ)→みどりご。産まれたばかりの赤ん坊。

*仰山(ぎょうさん)→たくさん。ようさん。

*色事(いろごと)→恋愛。

*算盤(そろばん)→金勘定の道具。

*衆道(しゅどう)→ホモ。男色(だんしょく/古語読みで「なんしょく」)。

*問屋(とんや)→商品を売ってる店に品物を卸す店。卸問屋(おろしどんや)。卸売り業。

*高利貸し(こうりがし)→金貸し。

*贔屓(ひいき)→気に入った人だけ目をかけること。

*鬼籍(きせき)→寺が死者の名前など記しておく帳簿。

*お銚子(ちょうし)と湯呑み→徳利(とっくり)やお猪口(ちょこ)は江戸時代にはない。

*噺(はなし)→噂や評判も含むおはなし。

*掛詞(かけことば)→二つの意味を持つ言葉。

*暖簾(のれん)→店にかかってる布を表すことと、店の屋号そのものをさす。

*屋号(やごう)→店の名前。

*厠(かわや)→トイレ。はばかり。

*摩羅(まら)→男根(だんこん)。逸物(いちもつ)。ぺニス。得手吉(えてきち)。市松(いちまつ)。

*尺八(しゃくはち)→横笛。フェラチオの和語。

*春(はる)→色事。エロをさす。

*春画(しゅんが)→喜多川歌麿を初めとするエロ画。当時は枕絵同様このような誇称は浸透していなかった。1722年に表向きは禁止されたが需要が高く、上方では1800年辺りまで売られ江戸に移行した。上流階級にしか手が届かない。

*花魁(おいらん)→春を売る女性。映画『吉原炎上』に詳しい。

*吉原(よしわら)→花魁の町。

*陰間(かげま)→花魁の男版。客も男。

*陰間茶屋(かげまじゃや)→のラブホ的な何か。

*心太(ところてん)→天草などを溶かし、型に流して冷やしかためたもの。奈良時代には既にトコロテンと呼ばれていた。これが乾いて偶然できたものが寒天。

*トコロテン→男同士の性交で後ろのみ使って逝くさま。

*閨(ねや)→夫婦の寝室の意。

*髷(まげ)→髪を結って頭頂で折り返した部分。

*月代(さかやき)→そりおとした部分。

*三下り半(みくだりはん)→江戸時代に夫から妻に与える離縁状。

*下種(げす)→身分が低いこと。または品性が下劣であること。

*褌(ふんどし)→陰茎を隠すためつける布。下帯。当時はつけたりつけなかったりしたと聞いた覚えがあるため着脱は適当。

*割烹着(かっぽうぎ)→炊事の際に着るものだが当時はこのようにいったか定かでない。

*法被(はっぴ)→職人などが着物の上に着る短衣。

*頬被り(ほっかむり)→顔を隠す布。

*曙(あけぼの)→明け方。朝ぼらけ。

*泪(なみだ)→涙。透明な液体。

*物見(ものみ)→見物。

*櫓(やぐら)→見物のため木材を使って作った建物。

*陰嚢(ふぐり)→いんのう。金たま。

*いらち→関西弁でせっかち。

*へてから→それから。そっから? は「そこから」に近い。

*郭(くるわ)→遊郭(ゆうかく)。遊女の集まる地域。

*塵(ちり)→ほこり。ごみ。

*目蓋(まぶた)→瞼とも書く。

*めんこい→可愛い。

*別嬪(べっぴん)→美しい。

*躯(からだ)→体。躰。身体とも書く。

*白粉(おしろい)→化粧の粉。鉛が含まれよく死んでいた。庶民が使うのは紅くらい。

*衿(えり)→着物の襟。首回り。

*淀川(よどがわ)→大坂を縦に流れる川。河川交流が日本一多い。大川(旧淀川)などを始めとし地域によって名前が変わる。

*船場(せんば)→大坂の地名にして商人最大の町。

*衣笠(きぬがさ)→絹をはった柄(え)の長い傘。

*襖(ふすま)→唐紙(からかみ)のついた和室の建材。

*しんどい→関西弁で、疲れて苦しい気持ちであること。つらい。

*いちびり→関西弁でいたずらっ子的な意味。発音は(たぶん)い→ち→び↑り↓。(いちびる→ふざける)

*拗ねボン(すねぼん)→拗ねている坊っちゃん的な意味。発音は(おそらく)す→ね→ぼ↑ん↓。

*浄瑠璃(じょうるり)→三味線など使った語りもの。

*惚気(のろけ)→のろけること。またその話。

*金剛力士(こんごうりきし)→仁王(におう)さん。

*境内(けいだい)→神社などの敷地のなか。

*提灯(ちょうちん)→照明道具。

*煙管(きせる)→キセル煙草。刻み煙草を吸うための道具。パイプ煙草。庶民の手には入らない。

*云う(ゆう)→言う。方言は全て平仮名にすると非常に読みづらいので、たまにこの記述にしてます。

*居る(おる)→いる。同上。

*貰うた(もろうた)→もらった。同上。

*買うた(こうた)→買った。同上。

*男衆(おとこし)→おとこしゅ。

*女衆(おなごし)→女子衆とも書く。

*密男(まおとこ)→間男。

*付け文(つけぶみ)→恋文。

*袂(たもと)→着物の袋状になった部分。

*香奠(こうでん)→香典の旧読み。


☆登場人物


▼井川屋(寒天問屋)

◎和助(主人)

旦(だん)さん。初登場時60歳。82歳で死去。かなり温厚。主人公をお侍から銀二貫で仇討ち買いした。天神さまに寄進するためのものだったため、これを稼ぎなおすのに井川屋はかなりの苦労をする。


◎善次郎(番頭)

初登場時45歳。百姓の子として産まれ、七歳で口べらしに奉公に出される(ネット情報だとうまれが摂津か河内かさだかでない)。13の歳まで奉公先で可愛がられていたが、火事で主人も嬢さんも店ごと失う。二年間京都伏見の寒天場で死ぬ気で働いているときに和助と出会う。以降、和助に古女房と呼ばれるまで遣えることになる。もちろん算盤の稽古に厳しい。


◎お里

善次郎の喧嘩友達その1。井川屋の女衆。つっこみ担当。出戻りだが子宝に恵まれず離縁されたのが真相の模様。


◎松吉(主人公)

元お侍の息子。銀二貫で和助に仇討ち買いされた。幼名・鶴乃輔(つるのすけ)。

奉公する場合には大抵名前を変えられるのだが、だいたい元の名前に吉か、松竹梅のどれか(落語を見ると丁稚の名前は松吉が大半)。松の字が松七と被るが、これは以前奉公していた『鶴吉』が使い物にならなかったため。

その後すぐ、松吉自身も使い物にならないとして、天草を育てる修行に出される。匂いにやられて、その後数年は寒天が食べられなくなる。父の形見である刀を和助に預けた。色事に鈍感。旧真帆屋の嬢さん一筋。


◎梅吉

お咲に岡惚れしていたがフラれた。かなりいい子。


◎松七・竹吉

貧乏神に取りつかれた井川屋を捨て、銭も米も持って逃げた。後に老舗の菓子屋に拾われ、和助と善次郎に頭を下げる。


▼真帆屋(まほのや)…菓子屋


◎嘉平

ある店の若旦那の下で働いていたが、取引していた井川屋の寒天を、勝手に産地偽装→和助とお里が乗り込むと嘉平のせいになる→和助にねぎらわれ改心→元々そりの合わなかった店を辞め自分の店を出した。

火事で真帆を庇って死去。その際、真帆屋も無くなった。それまでにないような寒天で菓子をつくる夢を持っていたが、後に松吉がこの意思を継ぐことになる。


◎真帆

幼い頃は気立てもよく祖父や父の面倒を一人で見ながら、店の手伝いをしていた。

火事で首まで火傷を負う(原作では顔半分含む)。


▼松葉屋(まつばや)…乾物商


◎藤三郎

善次郎の喧嘩友達その2。寒天の仕入れ先の井川屋と、どちらが大店かで張り合うことをこの世の喜びとしている(かどうかは知らない)。

井川屋の産地偽装問題で、贔屓すんのやったら取引なぞせんわと怒鳴りこんできた。誤解とわかるとすぐ仲直り。かなりの高慢きちだが直情型タイプ。初登場時69歳。


◎お咲

藤三郎の孫娘。松吉に惚れていたが後にフラれ、宣言通りお婿さんを貰い出産。きっぷのいい子。原作にはいない人物。


▼山城屋(やましろや)…乾物商

井川屋から寒天を仕入れている。松葉屋に比べると小商いだが、仕事は丁寧。前者と同じく産地偽装問題のとき、松吉に嫌味をいった。

後に子供のいない自分たちのため、梅吉を跡継ぎとして養子にほしいとすがる。一度は断られたが夫婦はすっかりその気になり嫁まで用意。


▼美濃志摩屋(寒天場)

◎主人

還暦になる歳に京都伏見で火事があり、被災者がつめかけ店を閉める決断をした。

◎その息子

井川屋に半兵衛との取引をやめるよう脅しをかけてきたが、逆に美濃志摩屋との取引を打ち切る決断を和助はした。

◎半兵衛(はんべえ)

美濃志摩屋で働いているとき、松吉と出会った。井川屋の見舞金銀一貫を得た美濃志摩屋だが、店を閉めることになり半兵衛は故郷の原村に帰る。

美濃志摩屋の主人が死んでからは主人の息子の嫌がらせにより丹波産の天草を仕入れられなくなり再度窮地に立たされる。

その後は井川屋の銀二貫の投資を得て、商売も軌道にのることとなった。



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