管理人サイト総合まとめ

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2018/08/01 

初めは『スダさん×アキコさん』でやろうとしていたのである。私のサイトの半分は塩見ファンで成り立っていることを考えると、下手にアキコさんを入れると一部過激な女性ファンのヘイトを買うのではないかと思った。なんにせよファンの年齢層や性別が幅広い方なのである。

それ以上に、私が書いても恋愛のそれとしては面白いものになりそうになかった。一年くらいガラケーやタブレットで打っていたのだが、スマホに移行せざるを得なくなり内容紛失。困ったなと思っていたが、介護も落ち着き余暇ができたのでシナリオ形式で始めた。これは携帯小説としてはかなり嫌われるそれである。私は『盆』と呼ばれるガッツリ余白ありの1000字縛り小説も若い頃やっていたので、まあいいかと思った。盆より短いTwitter同人ができたのはそれから数年後である。

意図的に原作をはねのけた銀二貫と違い、パンスプはドラマと原作の間で書いたので、三角関係は収まりがよかった。ドラマの銀二貫の方は番頭お里のふたりは夫婦でしっくりいくと思うのだが。書き上げる寸前にお里さんが原作由来でないことを知り、番外編を打った。吹きさらしのモノレールで五時間ほど粘ったと思う。直前で「……旦さんのほうではないな」と思い、あのようにおさめた。いまでも時々探してくださる方がいらっしゃるようで嬉しい。

善次郎の独白が続く2ページの話である。

私は大昔、海で溺れた経験があり、別ジャンルで『水禍』という作品を書いていた。これはフリーリクエストで「キャラクターの耳が聴こえないニッチな作品を」というのが来たため、チャレンジしたものだった。さすがに話すのは躊躇われて断りかけたのだが、実は私の父親は片耳が聴こえない。右か左のどちらだったかは忘れた。中学まで耳が聴こえないことも知らされていなかった。書き始めてしばらくすると、「感想こない・人こない」うちのサイトにしては珍しく反響があり、そのうち一人は現役編集者のケロ幕さんであった。他でも特に本好きの方の感想というのはだいたい見分けがつくので、そういう方の支持は何よりも嬉しい。二次というのはどこまでいっても二次的な存在であり続けるため、趣味としても終わりが見えないのである。器用な人は交流と創作を分けて並行できるのだが、私は向いていなかったので余計にしんどい時期だった。

よし続きを!と思ってしばらく、東日本大震災が起きた。これは安易に書けないなと思った。理由づけをしているが書いている最中に「ああ。これは小説だ」となってしまうと書けなくなる。あの独白には祖母が少し。西田さんの生い立ちも意識している。あまりないことなのだが、番頭さんを書いていると文鎮が体のどこかでカンッと鳴ったり、塩見さんの言葉を借りるならその虚構には『実』がある。この場合の『実』は現実感や情感のそれである。物質に音まで入るというのはなかなかない。原作の人物の造形を知った後には書いてないので、またいつか挑戦したい。

パンスプは『先生』の存在もかなり面白い。夏目漱石の『こころ』はBLとしてテッパンの腐女子の癒しらしいので、『先生』はそんな存在であればいいなと思う。「同性だが異性としてどうにかなりたい」のではない。その関係のなかで敬愛している『好き』があるといい。山田さんに関しては書けることがあまりない。「一人称というのは自分だ」という人もたまにいるが、あれを三人称で打ち始めた私の中では神の目線なので、ハサミを持っていることを私自身にまで隠していたとき(何話目だったろうか)、「やられた!」というような気がした。ハサミのハを打つまで山田さんがどのようにおさめるつもりなのか、私も知らなかったのである。

同じような経験は布施会長の「袖が千切れる」だけである。言わせる意思を感じる前に人物が発するのである。これがオリジナルで「ある」という人はプロアマ問わず立派な物書きである。私は自分の作品では一度もない。人間が書けていないのでそこには誰もいないのである。もし「いる」と感じる人がいるなら、それは私の力ではない。その人の感受性が素晴らしいのである。創作は技術だが、受けとる心は天与のものである。どんな批評家にも創り手にも何にも奪われぬ。どんな数字や評価にもである。いずれのものにも奪われぬ。虚構を虚構として意識してしまうのが駄目なわけではない。ただ、もったいないなと感じる。感性は虚構ではないほどのリアルである。

表現の内側から外側へ出ようとする発露のような一瞬が好ましくて、言葉の世界は面白いと思う。すっかりサブカルチャーになってしまった小説という媒体の、不可思議で不確かな現象である。全員悪人に関しては私から見ると日記のようなので、たいして面白くもなかろうと思っていた。別に宴会芸ばかりしているわけではないが。最終章のおかげで少し進むといい。



久しぶりに書きたいだけ長々と日記を書いちゃった。お付き合いありがとう。推敲しきれず、意味のわからない日本語や知りたくもない話があったらすみません。後書きというのはすべての書き手にとって蛇足であるが、便所のラクガキでも書かないと表現力が衰えていく一方なので。懲りずにまた来てね。

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