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2017/11/24 |
山田｢ひどいよ須田さん。約束破るなんて｣ 須田｢あのね。僕もさ、一応潰れかけでも店切り盛りしてるんだよね｣ 山田｢誰か来てたみたいだけど。南国の大トカゲみたいな扮装のひと｣ 須田｢ああ、雑貨店の浪矢さん？ あのひとすごいひとだよ。うちみたいな駄菓子屋と違ってね、すごいことやってんだよ。悩み相談とか｣ 山田｢悩みごと？あるの？須田さんに！？｣ 須田｢たくさんあるよ。気になる女性のこととか、腐れ縁の花屋の店主とか｣ 山田｢そのひとには話すんだ｣ﾌｰﾝ… 須田｢話しはしないよ。手紙のやり取りだけだよ｣ 山田｢今日来てたじゃん｣ 須田｢今日は仕事の用事だよ。アキちゃんがくじ引きの大人買いを頻繁にするようになってさ。あれ大量生産じゃないから、手配してもらえるよう発注頼んでたんだ｣ 山田｢……｣ﾌｰﾝ 須田｢ずいぶん含むなあ。妬いてる？｣ 山田｢別に。忙しいんだよ。早く帰れよ！｣ 須田｢開店してから一つも売れてないよね。すみません、そこの花ください｣ 山田｢今日は売らないよ。帰ってよ！｣ 須田｢｣ﾌﾌｯ 浪矢｢へぇ。うまくいきましたか。それはよかった｣ 須田｢おかげさまで。やられっぱなしで癪に障ってたから、助かりました｣ 浪矢｢こう、相手より先に押すんですよね。引きすぎると転ぶでしょ、人間って。抱きとめる余裕があれば受けられるけど、手だけ掴んで押してさ。パッとポーズ決めたりなんかして｣ 須田｢なるほど。シャチホコみたいなポーズするんですね｣ 浪矢｢え？｣ 須田｢ん？｣ 浪矢｢うん。いや、よくわからないな｣ﾊﾊﾊ… 須田｢シャチホコですよね。タメになりました｣ﾊｲ 浪矢｢ははは｣ｼｬﾁ…ﾎｺ…? 山田｢で。あのジイサンいつまでいんのさ｣ﾑｩ… 須田｢休暇とってるらしいから、来週には帰るよ｣ 山田｢須田さん。男連れ込んでるって噂たってるぜ。独身が長いと、女日照りで頭沸いてくるんだって。男の八割は潜在的ホモなんだって！｣ 須田｢あんたが妙な噂流してるんだよね。僕、ちゃんと知ってるからね｣ 山田｢おにいさーん！熱燗もうひとつ！｣ 須田｢アキちゃんとこ、ご無沙汰だよ。潤いない生活だな……カヨさんの取り合いしてるときは、平和だったな｣ 山田｢そうでもないよ。こっちは必死だったよ。カヨさんは須田さんのほうが好きだったみたいだし｣ 須田｢そんなことないよ｣ﾌﾌｯ 山田｢ま。最終的には俺が勝ったけどね。アキちゃんにも渡さないんだから｣ 須田｢ふふ……え？｣ 山田｢おにいさーん！枝豆も頼むよー！｣ 浪矢｢ありゃりゃ。今度は押しすぎましたか｣ 須田｢油断するとあっちが引っ張るんですよね。どうしたものか｣ 浪矢｢あのですね。ひとつ提案があります｣ﾆｺｯ 須田｢どんな？｣ 浪矢｢あのね……｣ﾎﾞｿｯ 須田｢はい……｣ﾎﾞｿｯ 浪矢｢｣ﾎﾞｿﾎﾞｿ 須田｢｣ﾎﾞｿﾎﾞｿ 浪矢｢｣…ﾁｭｯ！ 須田｢ぎゃあ！｣ 浪矢｢いや、どんな反応するかと思って｣ｱﾊｯ 須田｢なるほど。これが先手の押しですか｣ 浪矢｢いや、将棋はよくわかんないですね｣ﾊﾊｯ 須田｢僕、負けたのかな｣ 浪矢｢いや。そこはたいした問題じゃないですね｣ﾌﾌｯ 山田｢で。帰ったと？｣ 須田｢うん。アキちゃんのサンドイッチ食べようって約束してたんだけどね。今朝起きたら書き置きとくじ引きの箱だけ残して、そのまま｣ 山田｢……｣ﾌｰﾝ 須田｢気になる？｣ 山田｢別に。友達できてよかったね。韓流ドラマ貸してあげたら｣ﾌﾟｲｯ 須田｢それがさ、お礼の電話に出ないんだよね。向こうもまだダイヤル式だから留守電も残せないし、困っちゃって｣ 山田｢携帯電話契約しに行こうよ。俺も一人じゃ不安だしさ。ね！｣ 須田｢え？ 僕もう携帯電話持ってるよ。アキちゃんと行って、毒キノコのストラップもらった｣ 山田｢え？｣ 須田｢んふ｣ 山田｢ねぇねぇ、須田さん。携帯電話のことだけどさ｣ 須田｢山田さん。聞いてよ｣ 山田｢ど、どうしたの？顔色悪いけど｣ 須田｢浪矢さんが｣ 山田｢うん、アロハトカゲがどうかした？ ……えっ？……えええっ？！｣ 須田｢……｣ 山田｢……｣ 須田｢お別れに来てくれたのかな。年も離れてたし、息子みたいに思ってくれてたし｣ｸﾞｽﾝ 山田｢須田さん……｣ 須田｢なんだか淋しいよ。すごく｣ 山田｢ーー今夜俺のうちでさ、韓流ドラマみる？｣ 須田｢友達じゃないんだろ｣ 山田｢根に持つなあ｣ 須田｢……｣ｸﾞｽｯ 山田｢花と酒持っていくよ。アキちゃんも誘ってみる｣ 須田｢……！うん！｣ﾊﾟｱｯ 山田｢げんきんだな。浪矢さん泣いてるぞ。掃除しといてよ！｣ 須田｢待ってるからね。必ずだよ！｣ 完 BL的にはアキちゃん不在のほうがええかもわかりませんね。BLに女性は全く不必要という人もいるんですが、加減がうまくいけばいるほうがいい気もします。アウトレイジはギリアウトくらいで匂わせてきましたが、あれ以上はたぶん駄目だろうな。 |