親子対面






「初めまして、ナル君。お父さんですよ〜」

 やたらニコニコとしながら、四代目火影は息子を抱き締めた。
 状況を飲み込めていないナルトは、えっ?えっ?とたじろぎながら、四代目を見上げる。

「えっ?マジで?四代目がオレの父ちゃん‥だってば……?」
「はい、マジですよ〜。正真正銘父ちゃんです。似てるって云われなかったの?誰にも」
「えっ?‥あ、エロ仙人には云われたかも…カカシ先生は別に…なんも云ってなかったってばよ」
「そう、それ!!自来也先生もカカシも酷いよね。オレが父親だって云っといてくれても良さそうなのに。感動の親子対面になるはずだったのに…ねぇ?ナールト」
「えっ…と…」
「それにそれに。カカシなんてオレがいない隙に、ちゃっかりナルトに手を出しやがってるし…今度逢ったら半殺しにしないと…」

 後半は呟くように小さい声だったのだけれど、ナルトは耳聡く聞き取り、こめかみに青筋を立てた。

「…父ちゃん」

 不機嫌な声で突然現れた父親を呼ぶ。

「なぁに?」

 呼ばれた四代目は、父ちゃんと云ってくれた事に上機嫌になっていた。

「父ちゃんがカカシ先生を半殺しにするってーなら…オレってば今から父ちゃんボコるけどいいってば?」

 パキポキっと指を鳴らして、ナルトは父親に挑むような目を向ける。

「オレってば、カカシセンセのコト、すんげぇ愛してっからさ…。センセにヒドいコトするってーんなら、例え父ちゃんでも許さねーってばよ?容赦しねー」

 カカシが聞いたら嬉しさのあまりに卒倒…若しくは嬉し死にするであろう大胆な科白を、ナルトは意図もあっさりきっぱりと云ってのけた。
 その言葉が本気だと判らせる為に、ナルトはチャクラも少し練り込む。
 息子のあんまりな態度に、父・四代目火影は息子と同じ綺麗な蒼い眸を本気で潤ませた。

「ナル君…ナル君はパパよりカカシの方が好きなんだね…パパ悲しくて泣いちゃう…」
 ヨヨヨ、と泣き崩れれば、ナルトは少し慌てたようだ。

「えっ!!いや、その…センっ…カカシセンセの事は愛してっけどさ…。オレ、父ちゃんのこともちゃんと好きだってばよ?四代目の息子だったなんて嬉しすぎだし…それにオレ、ずっと憧れてたからさ‥」

 云いながら照れたのか、ナルトは顔を赤らめてへへへっと笑う。

「ナルト……ありがとう。ナルトはいい子だね‥さすがはオレの息子だよ」

 ニコリと微笑めば、ナルトもつられて笑顔になる。

「今のオレがあるのは、カカシセンセがいつも傍にいてくれっからだってばよ…センセ、オレのコトすげー大事にしてくれるし…」

 早く逢いてーってばよ…と、今は離れている恋人を想って、ナルトはますます頬を赤く染めた。

 そのナルトの初々しい姿を目の当たりにして。


父・四代目はにこやかな笑顔を保ちながら、青筋を密かに立て、今は姿の見えない愛弟子の(憎たらしい)容貌を思い浮かべた。


 そして心の中で低く呟く。

「純粋無垢なうちの可愛いナル君を誑かしやがって…カカシめ…いつか殺す…絶対に殺す!!」

と誓う(呪う)
四代目火影様でした





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