▽ミスタとアバッキオ 普段お兄ちゃんぽいミスタがアバッキオ先輩の前だと急に後輩ぽくなる。アバッキオに任せちゃお〜って楽しようとするミスタに「甘えんなよ」って喝入れる先輩。でもほんとは誰かに頼られるのが嬉しいんでしょ知ってる知ってるブチャラティはちゃあんと知ってる。
▽アバブ まっくろなコートがやけに温そうに見えた。はじめはただそれだけだったはずなのに。別に、こんな風にくっついてやろうだとか、抱きしめられてやろうだとか思ってやしなかったのに。「寒いな」こういうとき、あっためてやろうかって言ってやるのが正解なんだろうなあ。
▽ファニディエ 隣で眠る男に、手に入らない物があるだろうか。いくつか考えてみたが特に思い当たらない。無性に腹が立って目元の皺を伸ばすように引っ張ってやった。眉間にぐっと溝が生まれる。たぶん、きっと、この静かな夜すらもこの人の物なのだ。やっぱり腹が立つ。
▽フーナラ 「随分冷えてきましたね」言えば振り向くナランチャの鼻の頭はほんのり赤かった。ず、と鼻を啜ってから「うん」と眉を下げるので咄嗟に彼の手を取ってしまう。「はやく帰ろう」すると彼は不明瞭な言葉の後、照れくさそうに俯いた。恥ずかしいのはぼくだっておんなじだ。
▽ミスタとトリッシュ 漠然と、の話になるが。ふとした時に大事にしてやらなきゃなあと思う。してやると言えば語弊があるか。してやりたい。気丈に振る舞う彼女の強がりな肩を抱き寄せて、何も怖いことはないと教えたい。誰かに頼ってしまったって、その美しさは失われやしないのだ。