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14日目。洗濯物を取り込む時、翔さんのシャツに思わず止まってしまった。頭に流れ込む淫らな過去。一気に体が熱くなる。
あの時もなかなか翔さんに触れられなくて、我慢できなくて一人でしたんだ。あの時みたいに一人でしてたら翔さんはそのまま流されてくれるんじゃないか。あの時みたいに激しく……
「……っ」
そこまで考えて、淫らな自分に驚いた。翔さんと出会うまで好きでなかったはずのセックス。今の自分にはなくてはならないものになっている。自分の体の中の理性は吹き飛んで、本能しか残ってないみたいに……。
他のことを考えよう。きっと他のことをしていたら忘れられる。そのことを考える暇がないほどに。
20日目。
「なんかお前最近ガリ勉じゃね?」
大学の図書館で勉強していたら滝沢に目撃された。眼鏡をくいっと上げて滝沢を見る。
「何を言っているのですか滝沢くん。学生の本分は勉強ですよ」
「……気持ち悪ぃんだけど。あ、わかった。最近翔さんに抱かれてないんだろ」
ドサドサドサッ
焦りのあまり本を落としてしまった。何故こうも鋭いのだ。
「……分かりやすすぎんだろお前。適当に言っただけなのに」
まさかのカマをかけられた……!思い出させないでほしい。今の私の身体はおかしいから。
25日目。
「すずちゃん……」
家に着くなり後ろからぎゅっと抱き締められる。それだけで体が熱くなるのだから重症だ。お尻に当たる翔さんのそれも熱くて硬い。今ならどれだけでも淫らになれる。
「もう限界……。すずちゃんのそばにいるだけでこうなる」
「翔さん……、でも、できないんです」
「え?」
「生理が、始まっちゃいました……」
長い沈黙が流れる。翔さんは固まっているようだ。
「あ、あの、翔さん……?」
「っ、いや、うん、それなら仕方ないよね。ごめんね俺が言い出したことなのに途中でやめようなんて。最後まで我慢しなきゃね」
珍しく翔さんが饒舌だった。相当ショックだったらしい。後5日でちゃんと生理も終わるのだろうか。それが心配。
27日目。
「翔がまたキノコ生やしてるけど喧嘩でもした?」
悠介さんに言われた。まさか1ヶ月我慢するプレイ中なんです、なんて言えない。曖昧に笑って誤魔化しておいたけれど。翔さんが言い出したことなのにあんなに落ち込むなんて……。もう我慢できないのは私だけじゃないんだと思って少し安心した。
そして、1ヶ月−−
「すずちゃん、生理終わった?」
仕事終わり、翔さんが少し青い顔をして聞いてきた。ふふっと笑ってしまう。
「はい、終わりました」
「じゃあ帰ろう!」
翔さんは私の手を引いて走り出した。まるで楽しい遊び場を見つけた子どもみたいに。
「明日は休みだからずっとしてようね!」
「私は大学が……」
聞いてくれるわけないか……。苦笑しながらももう体の準備はできている。