奈々美ちゃんが可愛いお話

 何故か俺は今奈々美ちゃんの前で正座している。奈々美ちゃんのベッドの上で。そして奈々美ちゃんも、俺の前で正座している。こんなに緊張したのは人生で初めてかもしれない。俺の手にはピンク色の小さなパッケージ。男としてのエチケットだ。

「……あの」
「……はい」
「それって、いつも持ってるんですか」
「奈々美ちゃんと再会してからは常に」
「……」
「恥ずかしながら、今まで本気でそういうことをしたいと思った子がいなかったから。奈々美ちゃん以外」
「……」

 俺も男だから、意味もなくムラムラしたり好みの子を見るとそういうことをしてもいいかもしれないと思ったことがある。だが、結局は理性で抑えられたのだ。手を出したら厄介なことになると思うと性衝動も瞬く間に萎んでいった。
 オカズにして抜いたのは奈々美ちゃんだけだ。

「……あの」
「……はい」
「……お願いします」

 奈々美ちゃんはそう言って頭を下げた。何だか少し悪いことをしている気分になる。ちなみに俺たちの間に金銭は発生していない。

「……こちらこそ」

 あれ、セックスの前ってこんな感じだったっけ。更に構えてしまうのだが。もうこの前のような失敗はできないと言うのに。

「幸人、さん」
「……っ」
「好きです」

 こんなに可愛い人がこの世にいていいのだろうか。俺はそのうち、奈々美ちゃんの可愛さに爆発してしまう気がする。

「俺も、好きだ」

 奈々美ちゃんの肩を抱き寄せた。温もりも、香りも、柔らかさも。全部焦がれて焦がれてやっと、手に入れたものだ。大切にする。絶対に。
 見上げてくる奈々美ちゃんの唇に性急にキスをする。さっきまで正座をしてかしこまっていたのに、もう獣みたいだ。

「んっ、ふ、」

 深く口付けたから、奈々美ちゃんの鼻から抜けるような色っぽい声。それでもやめられない。こんなに求めていたのだと思い知る。
 この前はお腹にまでしか触れていない。それに見ていない。今日はじっくり見て全部愛したい。鼻血が出る前に。いや、もし鼻血が出ても。今日は止まれない。
 一度キスをやめて奈々美ちゃんの服を脱がせる。奈々美ちゃんの体は、俺が長年妄想していたよりもっともっと素晴らしいものだった。
 ヤバい、俺、本当に、語彙力が死滅する。言葉にならない。感動と、興奮で。

「好きだ」

 こんな陳腐な言葉しか吐けない自分が嫌になる。俺の心の中を全部奈々美ちゃんに見せられたらいいのに。あ、やっぱり嫌われるからやめよう。
 背中に手を回して下着のホックを外す。奈々美ちゃんは恥ずかしそうにしながらも俺に体を預けてくれた。服越しにしか触ったことのなかった柔らかい感触が俺の興奮をマックスにする。はぁ、と熱い息が漏れた。

「んっ、」

 俺の手にしっとりと馴染む滑らかな肌を堪能しながら胸を揉む。胸の突起は既に存在を主張している。見たい。触りたい。舐めたい。俺の中にある全部の欲望が爆発しそうだ。

「あっ、ん……」

 腰を抱きながら、胸の突起に舌を這わせる。くるくると周りをなぞっていたら、更にそれはぷっくりと勃ち上がった。奈々美ちゃんの体は俺の愛撫に敏感に反応する。可愛い声が聞きたくて、俺は中心に吸い付いた。

「ひぁ、んんっ」

 ああ、本当に可愛い。
prevbacknext
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -