夢か現か幻か | ナノ
Futurism
文字サイズ 特大 行間 極広
近年の天人の急速な台頭とともに、江戸の表舞台から姿を消しつつある特権階級=武士。しかしそれは、攘夷浪士によるテロ事件という新たな社会的脅威をも生み出すことになった。続発するテロ事件に、警察庁は浪士組を創設し、これに対抗した。浪士組改め「武装警察真選組」――通称チンピラ警察の誕生である。

「え、なにその聞いたことあるOPが流れそうなナレーション」
「すみれさんが見てたアニメのナレーションをいじってみました」
「あ、そう。でもなんでお前らが主役みたいなナレーションなの」
「旦那は原作の主人公でしょ。この小説は二次創作ですぜ。こっちの主役は俺達真選組でさァ」
「いや、すみれ先生と土方くんだよね、主役。だって大体の話があの二人の視点じゃん」
「山崎も俺も視点の話ありまさァ」
「お前ら二人合わせても片手で足りるだろうが」

ある晴れた日の江戸。赤い布が敷かれた茶屋の縁台で団子を食しながら沖田と坂田は駄弁っていた。内容は至極くだらないものだ。彼らは何を認識しているのかメタ的な話題が混じっているが、大した問題ではない。

「つーかおたくらが特車二課役?後藤隊長役も南雲隊長役もいねーじゃん。ゴリラとニコチンマヨと小娘しかいねーじゃん」
「南雲隊長は第一小隊ですぜ。第一小隊の役回りは見廻組でしょ」
「言うほど引き立て役か連中?」
「俺達はそのつもりで真剣に仕事に取り組んでるって事で。そういや、俺は何役なんですかねィ」
「黙れ太田」
「俺ァあんな熱血じゃありませんぜ」
「似てるだろ。例えば警官でいられることは日本警察の奇跡なところ」

坂田の鋭い指摘もどこ吹く風。沖田は追加の団子を注文している。他人の指摘を受け入れる人間でないと分かっているので坂田はそれ以上何も言わなかった。

「原作主人公としてちょっと心配なんだけどよォ、お前ら『軽い棒ライトスタッフ』だし『あっ軽い人々ザ・ライトスタッフ』ではあるけどよ。最終話までにどうにかなるんだろうな」
「『正しい資質THE RIGHT STUFF』だってきっとありまさァ」
「鏡で自分のツラ見てから言えよ不良警官」
「俺の顔なら今朝見ましたが、肌の調子が絶好調でした」
「ああそう。ま、期待してるぜ正義の味方さん」

坂田はひらりと片手を上げて立ち去ろうとする。しかし「旦那ァ、自分が飲み食いした分の金払ってくだせェ」と沖田に引き戻されたのだった。
prev
140
none

Designed by Slooope.
×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -