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▼ a new friend

俺は柴田次郎。

何度も言うが、運命の人を一途に想い続けている25歳だ。


その運命の人・水原香奈さんとは今、『とりあえず彼氏』という形で前向きお試し期間中だ。

つまり「今日仕事終わったらお茶して帰りませんか」と誘ったりしても問題のない贅沢な身分。


そして今日も、俺は香奈さんと仕事帰りにカフェに行く約束をしているのだ。

(ほんとはディナーに誘ったのだが、香奈さんに「作り置きのシチューがあるからやだ」と一刀両断された)


こんな日は、仕事にも俄然やる気が出る。

いつもよりいい仕事ができそうだ!



****



「取材?……ああ、来週のイベントの件ですか」

「そうなのよ。課長が取材受けてる間、カメラマンの方に当日のスケジュール説明しといてくれる?」

「はい、わかりました」


来週、うちの会社主催で、子どもたちのちょっとしたスポーツ大会が開かれる。

それを地元誌が取り上げてくれるらしく、今日はその事前取材と打ち合わせらしい。


イベントを企画した部署の社員は皆忙しいらしく出払っていて、当日ボランティアとして駆り出されるだけの俺に急遽お鉢が回ってきたようだ。

もちろん当日の段取りなどは把握しているから構わないけれど。


俺はとりあえず資料をかき集めて、応接室に向かった。



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