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「お前さ、そういうことは俺に直接言えっての。わざわざあいつを連れてくることなかっただろ」
「っ、鷹斗と二人になるとどうしても緊張するから……優斗がいてくれたら話せると思ったんだもん」
「だったらせめて他の奴にしろよ。今さらやっぱ優斗が好きだって言うつもりじゃないかって、これでも結構焦ったんだぜ」
「そんなこと言うわけないじゃんっ! もしかして私がまだ優斗を引きずってると思ってるの?」
「別に、そういうわけじゃねーけど……」
不機嫌だった鷹斗の声に、一瞬寂しさのようなものが入り混じる。
「俺ばっかお前のこと好きなんじゃねーかって、たまに不安なんだよ……」
「え……」
「お前が俺を好いてくれてんのは分かる。けど、それ以上に俺は……本当どうしようもねーくらいお前しか見えてねぇっつーか……傍にいるとすぐに触れたいって思っちまう。こんなんじゃいつか嫌われるよなってわかってても抑え切れねーんだよ」
そして、少しだけ頬を赤らめた鷹斗が俯き加減にぽつりと呟いた。
「すげー好きなんだ……お前のこと」
「っ……」
急に胸が熱くなってくる。
その真っ直ぐな視線から、声色から、鷹斗の熱が伝わって。
つまらないことで彼を不安にさせてしまうなんて馬鹿みたいだ。
鷹斗は、そんな私さえも全部ひっくるめて想ってくれているのだから……。
「鷹斗、帰ろう」
荷物を肩に掛けて立ち上がり、鷹斗の腕を取る。
つられて立ち上がった鷹斗は怪訝そうな顔をしている。
「は? 俺はまだ話が……」
「いいから帰ろう!」
戸惑う鷹斗をぐいぐいと引っ張るように店を出て、急いで帰路につく。
向かうその先は―――。
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