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「―――え、同窓会?」
大学からの帰り道。
「へぇ、中学の友達に会えるなんてきっと懐かしくて楽しいだろうな。行っておいでよ。あ……そうだ。ちょっと待って、美羽」
幼馴染で1つ年上のお兄ちゃん・湊くんが立ち止まって、私の名前を呼んだ。
「どうしたの?」
「はい、これ。ちょっと早いけど、美羽に誕生日プレゼント」
「えっ、私に?」
「いつ渡すか迷って持ってたんだけどね。明日同窓会に行くなら、使えるかもしれないと思って。今渡すことにするよ」
「嬉しい! 開けてもいい?」
「うん。どうぞ」
綺麗にラッピングされた箱を開けると、小さな星の可愛らしいネックレスが光っていた。
「うわぁ……可愛い! 私、星のモチーフって大好き」
「知ってるよ。美羽は昔から星の形をした物ばっかり集めてたからね。それも、気に入ってもらえた?」
「うん、ワンピースにすごく似合いそう! ありがとう、湊くん。大事にするね」
にっこり笑うと、湊くんも嬉しそうに微笑み返してくれる。
そんな二人の間を割って入るかのように、後ろから乱暴で低い声が飛んでくる。
「どけ。こんな道のど真ん中で突っ立って、邪魔なんだよ」
「あ……、昴くん!」
振り向いた先にいたのは、湊くんの弟で私の1つ年下の……昴くんだ。
昔はよく一緒に遊んだりもしたけど、今ではすっかりひねくれて、可愛い面影などこれっぽっちもない。
「今ね、湊くんから誕生日プレゼントもらったの」
「へぇ。だから何だよ。俺にも何かよこせっていう物乞いか? だったら、ちゃんとそれらしくねだってみろ。上手く言えたら考えてやるぜ?」
そう言って突然私を抱き寄せると、顎をぐいっと持ち上げ、唇が触れてしまいそうになるほどに顔を近づける。
「っ……、昴くん!?」
湊くんの目の前だと言うのに、焦る私を見て悪びれる様子もなくニヤリと笑っている。
「昴。美羽が困ってる」
「うるせーな。このままこいつにキスしてもいいのか?」
「ちょっ……、昴くんってば!」
両手で何とか押しやり距離を取る。
気にしているのかしていないのか、湊くんは態度を変えることなく歩き出す。
「ほら、美羽、帰ろう」
「あっ、うん」
180センチは軽く超えるスラッと伸びた背に、爽やかな黒髪で、透き通るような茶色の瞳がとても印象的な優しい湊くん。
そして、程良く鍛えられたその身体が凛々しく、ブラウンアッシュの髪を無造作に流し、どこから見ても整った顔をしている意地悪な昴くん。
そんな対照的な二人の兄弟。
私は気付かれないように、ちらっと彼の方向へ視線をやった。
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