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突然、家のインターホンが鳴り響く。
画面を覗くとそこには見慣れた姿が映っていた。
「えっ……、亮!?」
慌てて玄関のドアを開けると、いつもの明るい声が飛んでくる。
「よ! 久しぶり」
「亮……! 急にどうしたの? 何か用?」
「何か用? じゃねぇよ。お前が忙しいとか言って、一週間も会ってなかったんだぞ。会いに来て悪いのかよ」
「そんなことないけど……だからって、いきなり家に来ることないじゃない! 先に電話くらいしてくれても……」
「はぁ? 俺がお前ん家来るのって、今さら珍しいことでもないだろ? 幼馴染だし。なのに何でわざわざ連絡する必要あるんだよ。それともお前は俺に会いたくなかったわけ? この一週間、お前にとっては何ともなかったのか?」
少しだけ寂しそうな顔を浮かべる亮に胸が痛んだ。
しかし、それと同時に愛しさも増す。
亮はふっと柔らかい笑みを浮かべて私の腕を引き、優しく抱きしめて囁く。
「お前に会えない時間って、すげー長い……会いたかった」
「亮……」
ごめんね、亮……会いたくなかったわけじゃないの。
でも、この一週間は……。
懐かしく感じる亮の温もりと香りの余韻に包まれたのはほんの束の間。
パッと身体が離れると、すでに亮は靴を脱ぎ始めている。
「ちょっ、亮!? 今日はダメなんだってば……帰って!」
「何? おま……っ、まさか他の男連れ込んでるとか何かやましいことでもあるんじゃ」
「バカ、そんなわけないでしょっ……!」
「だったら別に問題ないだろ。おじさんもいないみたいだし。上がるぞ」
「えっ……! あぁっ!? もう、ほんと勝手なんだから!」
遠慮することもなく、ずかずかとリビングの方へと上がり込む亮。
その強引さに呆れながら、私も慌てて彼の背中を追いかけた。
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