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「なあ、重いんだけど」
「女の子にそういうこと言っちゃいけないんですよ」
「おんなのこ、ねえ」

いかにも呆れ返ったような返事が飛んできた。
一人掛けのソファに座る佐川の前身頃を背もたれにしてから、かれこれ三十分は経っていたと思う。初めはその体のなかでアイスを食べていたが、最終的には暇を持て余していた。経済誌に忙しい佐川には、それが目に余ったのかもしれない。

「羽毛みたいに軽いんならとっとと飛んで行けよ」
「いやですー」
「足痺れてきたんだよ」
「触って良いですか、どこですか」

太ももかな?足先かな?
少しばかり姿勢をにじらせても佐川の方が早かった。ぐるっと腹回りを滑った左腕で動けない。とどめに私の右脇腹の贅肉を抓った。痛いし恥ずかしい。本当に、人の嫌がることをよく知っていると思う。

「それは反則です」
「さっきからなんなんだよ」
「別に?」
「腹立つなあ」
「えーひどい……。あ、痛っい」

そういうつもりではなかったんだけど。文字通りなんの装飾もなく佐川の体温を感じていたかっただけなのだけど。あえていうなら少しはイチャつきらしいことを楽しみたかったんだけど。齧られた耳の軟骨が痛む。それから、あの。

「佐川さん、当たってます」
「当ててんだよ」
「それおっさんが使うテクニックじゃないですからね……!」
「うるせえ」




真島・佐川・尾田でランダム 160522




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