※火影になったばかりの柱間と、千手の女がセックスしてるだけ
※両想いだけど柱間が酷い人なのかいい人なのか分からない

▽ ▲ ▽



 黒く塗りつぶされた瞳が劣情に潤んでいる。
「んっ、あ、ふぁ、んぅう……」
「いい声ぞ……」
「あん、ふあぁ、あっ」
 足が痛い。柱間の頑強な腰の上に跨り続けると股関節が変な方向に広がって、腰と足が痛くなる。いつも痛くなるけどいつもやめさせては貰えない。
 やりたくてやっているし、凄く気持ちいいから、やめさせてほしいわけじゃない。でも、痛くないかとか、痛いなら体勢を変えようとか、シオンだけを労わる言葉が欲しかった。心を覆う薄い粘膜が、締められた扉に挟まって引っ張られるようにしてしくしく痛むのを、いつも抱えてセックスする。
「ん、はぁ、っ……」
 柱間は、上唇に下唇をくっつけるようにしてぐっと口を噤んで、気持ちよさそうに目をつむって、熱のこもった息を吐いた。いつも力強くきりりとしている眉は真横に伸びている。
 感じ入っている柱間を見るとお腹の真ん中が熱く濡れた。今も十分濡れているのに、尽きることのない泉のように愛液がトロトロと流れ出てくる。それが彼の太い陰茎に絡まって、ぐちゅう、と音を立てた。
「はっ……とろとろだな」
 瞼が僅かに開いて黒い瞳がこちらを射抜くと、それだけでまた子宮が疼いた。さっきまでの交合で、とっくに流れ落ちて彼の陰部に溜まっていた冷たい液体の上に、新しい温かいそれが流れ落ちて陰毛を濡らす。
「柱間が気持ちよさそうだから、可愛くて……わたしまで濡れちゃった、ふふ……」
 ペロリ、と舌を舐めて、黒い瞳がくっきりと見開かれた。
 食物だ。これは食物を見る男の眼だ。
 ぐん、と二の腕が引かれて、彼の身体に倒れこむと肉厚の舌が口の中を蹂躙する。平たくて大きな手が頭の後ろを押さえつける。陰茎が膣の中で斜めに突っ張って、ぶるんと外に飛び出しそうになったが、柱間が腰の角度を変えて小刻みに突き上げ始めたのでいいところにすっぽりと収まった。
 当たってる。じんじんするいいところを固いものがコツコツ突き上げる。耐えきれず喉の奥で嬌声が漏れて身をよじった。唇を舐めあい、口の中を食み合いながら彼の口が笑みを浮かべるのが分かった。彼の手が首の後ろからするりと背中を滑り降り、尻を掴んで更に押し付ける。
 ぬちぬち、ずくずくと、結合部から響く嫌らしいと、口の中をにゅるにゅる吸い上げる水音が重なって顔が真っ赤になる。またお腹の中が熱くなる。
「んふぅ、ンン、あっふ、ああっ」
「はっ……あぁ…」
「はしらま、柱間様、……あん、そこぉ!」
 目をぎゅっと瞑ると涙が滲み、睫毛の隙間から零れ落ちる。波のように襲ってくる快感が心臓を狂ったように叩きつける。身体中がかっかと燃え上がり、自然と背中を逸らしてぎゅうう、と力を込める。
 互いに息を荒らげていたが、シオンの方が達するのが早かった。引きつったような声をあげて身体を強張らせて、柱間の厚い胸板に顔をくっつけて白い矮躯を震わせる。気を達している最中も彼の巨大なものが膣の奥を叩き続けて、苦しくて逃げを打つが、それを両手で抱え込まれてびくりとも動かない。
「ひぃ、あっ!あぅ、あぁあ゛…!」
「しばし待て、オレも……」
「ふっあっ、あぁ!ひぃ!」
 真っ白い波が何度も押し寄せて、彼の身体をひっかいてもがき逃げようとするが、追い詰めるように律動が速くなった。そしてすうぅ……と引いていく途中で中にあった太いそれが膨張し、ドクン、ドクンと拍動した。
 肩で息をしながら、ドクドクと熱い血潮が心臓の場所から遠ざかっていく。固く瞑っていた目を開くと、柱間が僅かに眉間を寄せて、引き結んだ口を時折開けてはふーふーと息を吐いていた。彼が達している瞬間を見ると、ああ、わたしで満足してくれているのだと実感して、胸の中がいっぱいになる。充足感で満たされる。もっともっと彼を喜ばせたいと、犬のように尻尾を振ってしまう自分を、少し切なく思いながら、受け止めるしかないと思う。
「シオン……まだ、」
「あっ、うぅん、んっ、」
 萎えた陰茎がぷちゃぷちゃ音を立てて膣の中をかき混ぜたが、すぐに引き抜かれる。そして、思い立ったように体の位置を反転させて、シオンの身体を仰向けに寝転がしその上に伸し掛かる。
 彼の身体が大きな熊のように影になっている。黒い、艶やかな髪が、シオンの耳の脇を簾のように流れ落ちて、視界を覆っている。鼻息荒く首筋を舐めまわすのを受けて、もう一度勃たせるために陰茎に手を伸ばし、玉を揉みながら刺激すると、そこはすぐに固くなり始める。膝裏をぐいとひっくり返して乱暴に脚を広げられて、一気に中まで突き刺された。
「柱間、まだいったばかりだから、優しくして、優しくして」
「してるぞ」
 体重をかけて挿入を繰り返すと、とん、とん、と亀頭が奥を突き刺して腹部が痛んだ。圧迫感が、鈍い生理痛みたいな刺激を伴って、子宮を押しつぶす。抜き差しのたびに、ぬぅ、ぬ、ぬちゃ、と粘ついた音がする。
 ずん、と揺すぶられるごとに、ひ、と息を吸う……ず、ず、ず、ふっ、ひ、ひ…。息を吸うばかりの呼吸を繰り返していたら、柱間が顎を掴んで無理矢理視線を合わせた。
「ぬ、どうした……よくないか?」
「ひっ、あ、ふ、ふ」
「声を出せ、シオン」
 こえをだせ。
 この人に服従したいという欲求と、もっと優しくしてほしいという切望がないまぜになって胸の中で痺れた。破裂しそうに高まった鼓動で息苦しい。だが声を出せと言う、声を聴きたいという要求に応えたくて、あ、あん、と鼻から抜けるような声を出せば膣の中で一段とそれが硬くなった。
「奥は、柱間様、もうすこし、あっひぃ、ふぅ」
「緩いな……これはこれでいいが」
 緩いと言われて腹に力を込めたが、その前に親指が下に降りて、中から垂れ流される愛液を指に絡めて陰核をゆるゆるつまむ。摘まんで、こねて、押しつぶして、柱間のがさつな指が小豆より小さいそれを捏ね繰り回すと、痺れるような快感が腰をぐぐぐっと引っ張り上げた。喉をそり上げ、奥歯を噛みしめる。
「ん、良い具合ぞ……あ、はぁっ、…」
 良さそうに感じ入って、柱間は目を瞑った。はっ、はっ、と小刻みに息をしながら腰を打ち付ける。血色の良い、健康的に日焼けした肌が上気して、汗を流しながら熱く熱く火照っている。
 この温かい腕の中に抱かれれば、きっとこの上ない幸せを感じるだろうと思っていた。
 この人に抱かれる人は、わたしだけじゃないと知っていたけれど、セックスのときだけはきっと、唯一人の、わたしのための柱間様になるのだと思っていた。里でも、弟でも、友でもなく、わたしだけを愛してくれたらと――……
 白い血潮が息をつく間もなく打ち付けて、か細い悲鳴のような声が上がる。膣の中がぴくぴく痙攣して、身体から力が抜ける間も柱間は送出を辞めない。
「ひぁあ、あっ、柱間様、はしらまさま、あっや、」
「は……、はっ…………」
「あ、ひぃ、ふっ…!やめて、あ、もう、やめて、あぅう、」
「いい、凄く気持ちいいぞ、シオン……まだだ」
「ふっ、ひ、あっあ、あ…あ……!」
「まだぞ、まだ……」
 先ほど出された白いものが、愛液と混ざってじゅぷじゅぷと零れ落ちる。身体が強張り、また気を達して痙攣して、それでも激しい挿入は終わらずに、もがいて逃げようとする身体を上体で押しつぶすようにして。呼吸が乱れて、ひいひい肩で息をしながら、彼の律動が衝撃になって押し寄せるのを耐え続けると、しばらくしてやっと低く唸り声が聞こえて、肩口に顔をうずめて動きが止まった。



「おまえ、最中に呼び方が変わるな。柱間様、なんて懐かしい呼び名を」
 喉の奥で含み笑いが聞こえた。シーツの中にくるまって、ぬるい時間をたゆたっている。左肩に柱間の筋肉質な腕がひっついて、冷えた汗でじんわりと湿っぽい。
「つい、昔の癖が出ちゃうのよ」
 柱間と初めて心を通わせたとき――通っていると本当に確信できたことはないが――もう様をつける必要はない、と言われたときを思い出して薄っすら笑った。
「懐かしいの。だが、あれ……」
 背後で、くるり、と身体が反転して長い腕がシーツの上から胴を回った。
「……凄くそそる。嬉しいぞ」
 低い声で、耳の裏に響く。
 やめてよ、またしたくなっちゃう。シオンは口元に笑みを滲ませてふと瞼を伏せて、腹の上を撫でる柱間の手に自分の手を重ねた。
 壁にかかっている縦時計を見る。もう時間が来ている。
「柱間様なんて、みんなに呼ばれてるわ」
「まあな。俺を名指しで呼ぶのは、今の木の葉にお前だけぞ!」
 ははは、と竹を割ったような笑い声とともに、しんとした切ない間があった。彼を”柱間”と呼んだ男がついこの間居なくなったことは知っている。
 彼の戦績を物語るような、擦られ傷つき鍛えられた厚い皮に覆われた掌が、皮膚の上をなぞるとそれだけで背筋が震えた。ん……と、声が出そうになるのを堪えて、何ともないフリをして、彼が腹の上から腕を這いあがって顎を掬うのを黙って無視する。
「もう終わりよ」
「分かっている……」
 彼がぐっと上体を引き寄せた、と思ったら、耳の裏をねっとりと舌が舐め上げた。じゅわっと膣の中が熱く濡れて、子宮が下に降りてくる。あれだけやって、もう中はカラカラだっていうのに、この身体にも呆れたものだと冷めた意識が己を俯瞰する。
「シオン……また来てくれるな」
「ん、ええ、来るわ」
「好きぞ、シオン……こっちを向いてくれ」
 この人はこの言葉を何人にかけているのだろうと思いながら、躊躇いがちに身体を反転させた。願わくばわたしの顔が、ものほしそうな目をしていなければいいと思いながら、雄の顔で舌なめずりをしている柱間と布団の上で向かい合うと、彼は食いつくように口を合わせる。
 くちゅ、と音を立てて肉厚の舌がシオンの口の中を満たし、唾を絡ませてじゅるじゅる吸い上げると、顔に熱が集まった。もう終わりなのに、と時計を気にしたとき、会陰の中に指が潜り込んだ。
「は、柱間……やめて、」
「ははは、また濡れておるぞ」
 中からしとどに零れ落ちる愛液が淫らな音を立てて、固有の匂いが鼻を突いた。
 もう今日はできないのに、もう一度高ぶらせるようなことをわざとしてくるのは、一度や二度じゃない。それを拒否できないのも、この人に触られるならなんだっていいと思う、自分の本音があるからだ。
「やめてよ、もうできないのに、ふっ……あ、んぅ、」
「このまま帰れ。それでまた来てくれ……おまえを抱きたい。オレは忙しいんぞ、なかなかそっちには行けん」
 御櫃の漆の如き真っ黒い瞳で力強く見つめられて、掠れた声で囁かれたら頷くしかない。そうこうしているうちに、彼の指は四本も入り込んで勝手気ままに蠢いて快感を誘っている。シオンは彼の大きな二の腕に腕を回して腰を擦り付けながら、儚げな表情を作って”もう一度したい”と誘うが、柱間は残虐な笑みを浮かべるだけで「また今度ぞ」と与えてくれなかった。
 そっちには行けん、って、一度も来てくれたことないのに。
 子宮が切なくなって、また少し濡れた。

 私を抱いて、私だけを愛して。
 あなたの愛とやさしさを、今だけは偏らせて。


選べよ、然らずんば捨ててくれ

他にも女を呼んでいるのか、それとも唯一人を愛しているのか、抱いているのか、柱間さんはちょっとその辺分からないですが確信をもって言えることは柱間を束縛することは誰にもできないってことですね……ミト様どこ行ったんじゃ…

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