可愛い君
「カイト兄、キスしよ。」
可愛い弟が色気づいたのはついさっき。
「・・・せめてリンに言いなさい。」
えーなんでーってブーイングが飛んでくるけど、当たり前。
「じゃあミクに。」
「やだ。カイト兄がいい。」
女兄弟がたくさんいるのに、何故か兄である俺にキスをねだる思春期真っ只中であろうレン。
「俺、男なんだけど。」
「知ってる。」
「男がいいならマスター「口が穢れる。」
「・・・。」
酷い言いようでばっさり否定するレン。でもレンが衆道に目覚めたわけじゃなくて良かった。けど、俺にねだられても困る。
「俺はしたくないなー。」
「俺はしたいなー。」
むむむ。一歩も引かない、って言うかむしろ近付いた。
「いやなら、一緒に風呂入らせてよ。」
そう、ここは脱衣所。お風呂に入ろうとした俺の元にレンが押し入ってきて、今に至る。
普段なら、二つ返事で一緒に入っていただろうけど、そこはかとなく嫌な予感がして、いいよって言えない。
「たまには兄弟水入らずで裸の付き合いしようぜ。」
「・・・何もしないよね。」
「何も、って何すんの?」
真顔で聞き返されて返事に窮する。真顔で素っ気ない顔してるけど、脱衣所でキスをねがる時点で色々気にするに決まってるだろう。
「心配しなくても普通の事しかしないよ。」
にっこり笑顔のレンは可愛いけど、胡散臭さ満載でもある。
キスかお風呂か。
俺はうんうんと散々悩んで、レンにせっつかれてやっと答えを出した。
「じゃあ・・・一緒に入る?」
「やっりぃ!さすがカイト兄!」
手放しで喜ぶレンは無邪気で年相応に見えるし、キスだって思春期特有の何かで年相応の衝動なんだろう。そうだ。きっとそうだ。
「じゃあまず脱がせてやるよ。」
「自分で脱げます!」
やっぱり嫌な予感しかしないんだけど。
ちょっぴり不服そうな顔をしたレンに背を向けてさっさと服を脱いで風呂場へ直行。さっそくシャワーのコックを捻り、お湯加減を調節していると、背中に視線を感じるけど、あえて無視した。
「・・・カイト兄って、細いくせに筋肉あるよなー。」
「成人型だからね。」
「マスターは筋肉ついてないじゃん。」
「・・・俺だってマッチョなわけじゃないだろ。」
振り返ると口をへの字に曲げて腕を組み、しげしげと俺を見詰めるレンの姿。
確かに少年型のレンは筋肉はあまりついていないし華奢だ。それに比べれば俺の方が筋肉がついてるけど、だからなんなんだ。
「あ、腹筋割れてる。ちくしょーズルい。」
ああ、大人の体型に憧れる時期なのかな。それで俺を観察したいとか。
「・・・押し倒せるかな・・・」
ぼそっと零れた呟きは聞かなかった事にしよう。うん。
「ほら、レン。シャワー先使いなよ。」
一応浴槽に逃げよう。
俺は簡単に体を流すと浴槽の縁に手を掛けた。だが俺の思惑を読んでか、すかさずレンの手が俺の肩を掴んで、俺の動きを止める。
「兄さん。」
「な、なに?」
引きつった笑顔で応えると、満面の笑みが近付いてきて、がっしり腕を絡め取り俺を浴槽から引き離した。
「体洗ってやるから座って。」
「いやいいです。」
思わず敬語。思い切り動揺しているぞ、俺。
「遠慮すんなって。」
さっき筋肉がどうとか言っていた割に強い力で無理矢理イスに座らせられて、否が応にも危機感が募る。
「いやほんとに「いいからいいから。」
俺の言葉を遮りながら、さっそくボディソープをカシャカシャ手のひらに数回出して泡立て始めるレンは実にイキイキと楽しそうだ。
レンの手の中で、液状のボディーソープは見る間に気泡化し十分過ぎる程の量に変化してゆく。
満足いくまで泡立てたレンは鼻歌まじりに俺の後ろに回ると、俺の背中に泡をするっとすり付けた。すり付けた?
「ちょ、レン、スポンジは?」
「俺使わない派ー。」
そ、そっか。レンは普段から使わないんだ。
納得しかけた俺の背中を、洗うと言うより撫でさする様に動き出した手のひらに、ぞくりと背筋をくすぐったいような気持ちいいような感覚が走る。
いやこれやっぱりおかしいよね。
「や、やっぱり自分で洗うっ!」
身を捩ってレンから離れようとした俺の肩に細い腕が絡みついてがっちりホールド。
「ダーメ。逃がさない。」
俺、ピンチ。
「レ、レン・・・待って。ちょ、待ってって・・・ぅぁ」
滑りのいいレンの両手がゆっくりと胸元を滑り出した、と思ったら耳たぶをくわえられて体が強張った。
「緊張してんの?」
かわいいな、ってくすくす笑われて頬が熱くなる。
ていうか緊張とかそういう問題じゃないだろ。言い換えそうと口を開いた瞬間、うなじを舐め上げられて、息が詰まる。
「あの、普通の事しかしないって・・・」
「普通じゃん?」
どこが!?これ体を洗う動作じゃないよね!?そう思い切り叫びたいけど、風呂場で叫んだら自分もダメージを受けそうだから小さめの声で抗議。
「レン、放して・・・っ」
腕ごと抱き込まれてるから思うように身動きがとれずに、もじもじと身を捩る事しか出来なくて歯がゆい。鎖骨や胸元を滑る指先やうなじや首筋を撫でる舌先にぞくぞくと言いようのない感触が走り出し、このままじゃヤバイとどこかで警鐘が鳴り出した。
「やめ・・・んっ」
力ずくで振りほどこうとしたその時、レンの指先が胸の飾りを掠めて、ぞくん、と脳まで刺激が伝達。
「カイト兄、固くなってるみたいだね。」
「なっ・・・っあ、もう、レン・・・!」
完全に不埒な手つきで両胸の先端を転がされて、流石に本気で貞操の危機を感じる。これ以上のおふざけには付き合ってられないよ。
「いい加減に、んむっ」
無理矢理ふりほどいて振り返ったら何故か息が出来なくなった。そしてレンがやたら近いです。
「んっ・・・レン・・・」
名前を呼ぼうとしたら舌が入ってきたから俺は固まった。
キスしたくないなら風呂って条件だったのに、キスされてるってどういう事。
「ちょ、ん・・・っ」
びっくりして目を見開いた俺と、逃がさない、と言わんばかりのレンの視線が至近距離で絡む。
せめて絡み付く舌からだけでも逃れようと足掻くけど、レンの舌は生き物ののように絡み付いて上手く脱出できない。
舌先を引きずり出され、噛まれ、舐められ、甘い感覚が脳を浸食し始めた。
「ん・・・・・・あっ」
いつの間にか、目を閉じてすっかりキスを受け入れてしまっていたところに、びり、と強い刺激が襲い掛かる。
何事かと目を見開いても、視界にはレンの瞳が弧を描いているのが映るだけで、他は何も映らない。
「っあ、や!」
離れようとレンの肩を掴んだ瞬間、また襲ってくる刺激。
少し離れた唇から、レンの踊るような囁きがこぼれて俺は息を飲んで固まった。
「ちゃんと感じてんじゃん。」
「な・・・そ、れは・・・」
そう言ってレンの指先がタオルの下の俺をくすぐる。
小さな刺激でも、ダイレクトな刺激に体が甘く疼いた。
そう、さっきの刺激の正体は、下肢にある少し固くなった俺自身から発せられていたらしい。
「キス、良かったんだ?」
「あぅっ」
本格的にしごかれれば嫌でも反応するにきまっている。逃げる間も無く、いつの間にか足の間に移動していたレンの手がタオルを解いて、ボディソープでぬるぬるの手で俺を愛撫しだした。
「ぁ・・・だ、だめっ」
滑りのいい手でくにくにと揉まれると、すぐに局部は充血してしまい、快楽がじんわり這い上がって俺を惑わし始めた。下肢に血液が集まっているはずなのに、のぼせたみたいにくらくらして気持ちいい。
「カイト兄の可愛い声聞いてみたいなー。」
「っ・・・っん・・・」
可愛い声って喘ぎ声だよな。冗談じゃない。流石にそれは抵抗があるし、これしきで喘いでちゃ男が廃る。そう自分に言い聞かせて声をかみ殺し、快楽を受け流そうと目を閉じたら、耳元で楽しそうなレンの声。
「頑張ってるとこ悪いけど、俺、鳴かぬなら鳴かせてみよう派だから燃えるだけだよ。」
燃える、なんて言葉レンの口から聞く事になるとは思ってはいなかったから、聞き違いかと目を開けると、目の前に知らない顔をしたレンの姿。
「レン・・・?」
「我慢出来ないくらいヨくしてあげる。」
「んっ・・・や、だ」
ぐりっと先端を刺激され、びくっと反射的に前かがみになった体が恨めしい。完全に反り返った自身を絶妙な力加減ですりあげる。同性だからか、妙に巧くて困惑。唇をきつく噛み締めて耐えていると、竿だけではなく袋にまで愛撫が及ぶから堪らない。なんとか熱を逃がそうと、息を吐き出そうにも口が開けられないから苦しいだけ。
「カイト兄。その顔、色っぽいぜ。」
「・・・っ!」
「でも、そろそろ鳴いて欲しいかな。」
そう呟いた唇が、俺の固く結ばれた唇に重なる。キス位で鳴くもんかと意固地に噛み締めていた唇が、歯で優しく噛まれてふと緩む。
レンはその隙を逃さなかった。
「んあ・・・ん・・・ゃ・・・」
上唇と下唇が、レンの舌先によって引き離される。当然隙間が出来れば、声も漏れる。
「あ・・・んん・・・は」
恥ずかしい。なのに声が止まらない。羞恥から快楽が一気に温度を上げて、俺を飲み込もうと体内を駆け巡る。
「や・・・イくっ・・・イっちゃ・・・」
気持ちよくてもう声なんてどうでもよくなってきた。
喘ぐ俺の唇を吸う感触と、張り詰めた雄を搾り上げる感触に、とうとう俺は理性を放り投げて、行為に没頭した。
ぞくぞくと駆け巡る痺れ。真っ白な思考と甘く震える声。
総てが絶頂へと繋がってゆく。
「あっ、ああっ・・・んあっ」
裏筋を押しつぶすようにすりあげられて、堪え切れずに白い欲が勢いよく噴き出した。ぴゅくぴゅくと放つ感触がまた気持ちよくて腰が震える。
「ぁ・・・ふ・・・ん」
だけどつかの間の天国はすぐに現実に戻る。
「イっちゃったね。すっげぇ可愛い。」
「ん・・・レン・・・」
「でも、もっと乱れてもらうからな?」
これ以上どう乱れるっていうんだ。現と極楽を行き来する頭は思考を拒否する。
でもレンは止めてくれない。当たり前だけど。
「よっ、と。」
脱力し肩で息をしている俺をイスから引き摺り下ろし、シャワーで汚れや泡を洗い流すレンは上機嫌すぎて怖い。
逃げたくても体は重く言う事をきかないし、せまい浴室じゃ逃げ場もない。
そうこうしているうちに、レンに腕を引っ張られ、そのままズルズルとコーナーに押しやられる俺。その腕のどこにそんな力があるんだと内心恨みながら、一応訊いてみる。
「あの、レンくん?なんで俺こんな隅っこに追いやられてるの?」
「ん?だってこうしないと兄さん逃げるだろ。」
逃げ出さなきゃいけないような事するつもりなんですか。
どうあっても逃げなきゃいけない状態らしい俺はレンの胸をぐいと押し返したが、あっさりといなされて逆に手首を壁に縫い付けられてしまった。
「逃がさないって言ったろ?」
顔を近付けて甘く囁くレンに不覚にもどきりとする。
どぎまぎとする俺の下唇をゆっくりと舌先でなぞるレンの仕草に、少しの好奇心が擽られて下肢がちょっぴり反応した自分に驚いた。
「レン、ダメだよ・・・」
拒絶の言葉は尻すぼみで我ながら説得力がないと思う。
「大丈夫。気持ちよくなるだけだから。」
優しく微笑んで再度口付けてくるレンの唇は甘い。ダメだと思うのに一度高ぶった体は未知なる快楽の予感に淫らに熱を上げる。
床で流れ続けるシャワーの音に混じって口内からちゅくちゅくと濡れた音が響く。
「ん、ふ・・・」
「兄さんはアイスばっか食べてるから甘いね。」
「あっ・・・」
絡んだ舌先がゆっくり離れ、代わりに細い指が侵入して口内をなぶり出した。
「んぅ・・・」
「兄さん、また勃ってる。」
触ってないのにね、と指先で硬くなった俺をツゥッとなぞるレン。
それだけでピクンと更に質量を増した分身は正直だ。貞操の危機だと言うのに目先の快楽に釣られて期待を露わにしている。
そんな俺にレンは嬉しそうに笑いかけて口内の指を引き抜き、俺に見せ付けるように俺の唾液でベタベタの指を舐めてみせた。
「好きだよ。カイト兄。」
「そんな事言われても・・・」
「分かってるって。言いたかっただけ。」
レンはそう応えながら俺の膝裏に片腕を回し、ぐいっと抱え込むように太ももを引っ張った。
ずるっと引き寄せられ目線の高さが逆転する。
「な、何?」
「こうしなきゃイジれないじゃん。」
何を、と訊く前にさっきまで口内をなぶっていた指が有り得ない場所に触れる。
「待っ、いっ・・・」
「カイト兄力抜いた方がいいよ。」
濡れた指が制止を待たずにゆっくり体内に潜り始め、肉を掻き分けていく。
痛いと言うより異物感が凄まじい。
「レン、やだっ」
初めての感覚に恐怖すら覚える。
レンは大丈夫だから、と微笑みかけてくれるけど一向に指が抜かれる気配はない。だけど無理矢理かき回されもしない。
一応、気遣ってくれてるのかな。
「入った。カイト兄、痛い?息吐ける?」
気遣わしげな視線で俺を見るレンに、好きだよ、と言う言葉がうっすら蘇った。
「・・・大丈夫。」
俺は覚悟を決めてゆっくり息を吐いた。
力が抜けて楽になった分、少し笑ってみせると、レンは何故か泣きそうな顔になった。
「兄さん、好き。大好きなんだ。」
切なげに囁かれ、心臓がどきどきと脈を上げ始めた。
今までに見たことのない表情。聞いたことのない声。
目の前にいるのは見慣れた可愛い弟のはずなのに、好き、と言われただけで頬が熱くなった。
「なげく痛くないようにするから。」
「んっ・・・」
鼓動のうるささに動揺して油断していた体に、妙な刺激が走る。
中の指が内壁を押す度、感じた事のない圧迫感が体中に響いて気持ち良いのか良くないのかよく分からない。
よく分からないけどじっとしていられないような感覚が体中を駆け巡る。
蕾や中をぐりぐりと弄くられる感覚に身悶えていると、レンが驚いた顔で呟いた。
「カイト兄って、後ろでも感じるんだ。」
「え、なん・・・ぅ」
レンの視線は先走りをたらたらと垂らす俺の中心に注がれている。
「みな、いで・・・あっ」
レンの指が少し乱暴に中を抉った瞬間、ひくんと蜜をこぼす自分自身を目撃してしまった。
気まずい思いでレンに視線を戻すと、さっきまでの大人びた表情はどこへやら、いたずらっ子の笑みが張り付いている。マズい。
「なぁんだ。これならぜんっぜん問題ないな。」
いや、ある。俺的には問題あるよ。
「レ、ン、あ・・・っ」
俺が異議を唱える間も無くさっそく指が増やされる。
増した違和感を体は快感と認識しているようで、前を弄くられるより広範囲に射精感が広がり、自分の体なのにコントロールが効かなくなってゆく。
「ゃっ・・・はぅ・・・んん、やっ」
「カイト兄、エロい。」
「あっ」
中を大きくかき回しながら硬く尖っていた胸の飾りを口に含まれ、目の前がちかちかと明滅する。
緩んだ蕾からはぐちゅぐちゅとイヤらしい音が零れ、舌で押し潰される果実は刺激を欲して赤く熟れた。
「カイト兄の中、ひくひくしてすっげぇ物欲しそう。」
「バカ・・・ああっ・・・」
「もっと気持ちよくなりたくない?」
滲む視界の中でもレンがニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべているのが分かる。
考えが読めてしまって泣きたくなった。
「レン!」
「このままでいいの?」
「う・・・」
中をいじめていた指が引き抜かれ、入れ替わりに熱いものが蕾にあてがわれる。
何も言えない俺を焦らすようにつついてくる熱に、体が疼いて仕方ない。それでなくても欲で火照らされた体は達したくて我慢がきかない状態なのに。
「にーいさん。」
見下ろすレンを上目遣いに見上げると、早く言え、と言わんばかりの笑顔が輝いていた。
黒い笑顔が眩しい。でも、俺も楽になりたい。少し躊躇った後、俺は意を決して口を開いた。
「・・・入れて。レン。」
「・・・超クるんですけど。」
自分が言わせたくせに!
悔しくて、最高って笑いながら腰を進め出したレンから顔を背ける。だけど顔を背けた所で今更なにも変わらない。
「んあぁ・・・あ」
押し開かれる感覚を中を擦られる強い刺激から逃れようと身を捩ったが、両脚をしっかり抱え込まれているから逃げられなくて苦しい。
あまりの刺激にイってしまうんじゃないかってくらい。
「やば、これすぐイくかも。」
「れん、俺、むり、」
中に埋め込まれた雄の感触に体が震える。
「抜いて・・・っ」
深く折り曲げられた足で圧迫される体が苦しい。
喘ぎ喘ぎ首を振ってレンに助けを求めるけど、レンも苦しそうな顔をしていて気遣いどころじゃなさそう。
「ムチャ言うなよ・・・感じてるくせに。」
次の瞬間、中を強く穿たれて俺は堪らずのけ反った。
確かに気持ちいい。気持ちいいけど、感じすぎて怖い。
「あっ、やめ・・・レンっ」
「めちゃくちゃヨさそうに見えるけど?」
間違ってないけど、無理なものは無理。
腰を動かされる度に痺れが足の先まで波のように広がっておかしくなりそう。
「んっ・・・ヨすぎ、て、ムリ・・・」
もう首を振る事すら難しくなってきた。
ぜいぜいと吸い込む息が熱くて苦しいし、暴れまわる心臓がうるさい。その上甘い声が浴室に反響してもう何がなんだかわからない。
「あっんぁ・・・ぁ、は、ダメ」
「俺も、ヤバ・・・一緒にイこ」
痙攣を始めた脚を細い肩に担ぎ上げ、より深く突き上げ始めるレンも気持ち良さそう。
気持ち良さそうに顔を歪めるレンに煽られて、中がきゅうきゅうとレンの形に歪んだ。締め付けては貫かれ、貫かれてはすがりついて、こねられる粘膜が生き物の様に踊る。
「レンっ・・・ああっ、イ、く・・・っ」
「カイト兄、好き・・・イって」
囁きとともに一際強く奥を穿たれて、頭の中が真っ白になった。
快感が頭の先からつま先まで包み込む。
「あ・・・んっあ・・・ふ」
絶頂感に包まれる中、レン自身がどくんどくんと中で脈打ち、熱いものが注ぎ込まれるのが分かった。
「ぁん・・・レン・・・」
「ぁ・・・カイト兄・・・」
気持ちよくて思わず腰を揺すると、脱力したレンが俺の上に倒れ込んできた。
俺も力が入らないけど、壁とレンに挟まれていて体勢が変えられない。
「この体勢、苦しいんだけど。」
「ごめん、もうちょっとこのまま・・・」
甘える様に俺の胸に懐くレンの頭を撫でて、ぼんやりと考える。
なんでこうなったんだろう。
「レンー。」
「なに?」
「ちゅーして。」
一瞬間が空いて、がばっと顔が上がる。
滑らかな頬を撫でてもう1回催促すると、レンの頬が赤く染まった。なんか可愛い。
「いいの?」
「いい、じゃなくて、してって言ったんだけど。」
「する、します!」
急いでキスしようとするけど、繋がっているせいで届かずに慌ててるレンに、してくれないの?って意地悪を言うと膨れっ面に睨まれてしまった。
「そんな事言うんだったらもっかいヤるよ。」
「すみません。」
改めて体勢を整えてキス。
やっぱりレンの唇は甘い。
「ふふっ」
「兄さん?」
なんかくすぐったくて笑ってしまった。訝しげな顔のレンの唇に掠める程度にキスを返して、俺は可愛い弟を抱き締めた。
「な、なに?」
「レンとのキス、結構好きだなーと思って。」
腕の中のレンの耳が真っ赤だ。
恋かどうかは分からないけど、愛おしいなって思う。
今はそれでいいよね。
「お湯につかろっか。」
「・・・うん。」
可愛い君への気持ち、今は不安定だけど、多分悪い方にはいかないよ。
だから今はもう少しの間、可愛い「弟」でいてね。
FIN.
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