本当はね



小さい頃から、レッドの笑顔はアタシのものだった
他の人には見せない暖かくて、安心したような微笑みを向けてくれるのはアタシだけだった
それが嬉しくて、アタシも妹みたいに、時には姉のようにぴっとりくっつくように一緒にいた
嫌がられないことを良いことにずっとレッドにくっついて甘えていた

回りから中が良いね、とか言われるのが嬉しかった
ムカつく男子が「付き合ってるのか」ってからかってきても平気だった
レッドも付き合うならブルーしか考えれないって言ってくれた
もっとレッドが好きになった
いつかそんな未来が来るのかなって、心の中では期待に満ち溢れていた
でも、その期待は意外な形で幕を下ろす


小等部3年、同じクラスにグリーンがいた
アタシは興味本位で話しかけた
意外に人と関わりを持ちたがらないレッドはあまり乗り気じゃなかった
だから、その時レッドを気にかけて止めておけばよかったのかな

アタシ達はたちまち学園内でも有名な親友トリオになった
でも、実はアタシはグリーンの事を嫌っていた
レッドの笑顔はいつもアタシだけに注がれていた
なのに今はグリーンにも向けられている、それが面白くなかった
バトルの話になれば完全にアタシは蚊帳の外
いつの間にか一線を引かれていた
だから、アタシは一方的にグリーンに敵対心を抱いていた

でも、それも馬鹿だったなって気づいた


アタシは一度誘拐にあったことがある
犯人はもう捕まったけど、アタシはどこかに閉じ込められていた
もう帰れないのかな、って泣いていた
でも、そんなアタシを見つけてくれたのはグリーンだった
必死に探してくれて、見つけた瞬間安心した顔をしていた
無事で良かった、って撫でてくれた手はとても優しくて涙が出た、なんでアタシこの人を嫌っていたんだろうって

帰ったらレッドが抱き締めてくれた、これでもかってくらい強く
それで耳元で何度も謝ってきた「守るって言ったのに、一人にしてごめん、ごめんね」って
レッドが泣いていた、今まで泣くことなんてなかったレッドが
アタシも一緒に泣いた
そして思ったんだ、やっぱりアタシはこの人が好きだって

それからアタシ達は本当の親友トリオになれた気がした


そして中等部、レッドがグリーンと付き合いだした
悔しくないなんて言ったら嘘になるけど、心は晴れていた
二人に幸せになってもらいたい、それがアタシの一番の願いだから


でも本当はね

二人だけずるいって思ってるよ
『でも、二人はどんなことがあってもアタシを一人にしないって確信はあった』




緑赤←青好きです
幼少期考えるの楽しい(´∀`*)


prev next
- ナノ -