終わりのセラフ8巻ドラマCDトラック2を銀剣変換
グレン(中村悠一)→ウィリアム
深夜(鈴木達央)→プロメシュース
シノア(美少女)→ディンクロン





「ウィリアムー!ウィリアムーいるー?」

こんこんと扉を叩く音にウィリアムは息を潜める。厄介な奴が来た。このまま帰れと念じるウィリアムの願いとは裏腹に「まぁでも、いるのは分かってるから勝手に開けちゃうんだけどね」と軽い調子が続く。

「バッ…!いねぇから開けるなよ!」
「なんだよりいるんじゃないか。ま、やっぱり勝手に開けちゃうんだけどね」

ハァイ、貴方の参謀です。笑うプロメシュースが颯爽と入ってくる。なにが貴方の参謀だ、馬鹿野郎。入るな。消えろ。邪魔だ。顔がうざい。

「やだなぁそんなこと言ったって会えて嬉しいって顔してるよ?」
「はぁ?誰が」
「ウィリアムが」
「ふっざけんな。よく俺の顔を見てみろよ。すっげぇうざそうな顔してんだろ」

言われてプロメシュースはウィリアムの顔をまじまじと覗き込んだ。相変わらずの眉間のシワと、相変わらずの綺麗な瞳。そして、ふと首を傾げる。

「いつもと同じ顔してるけど?」
「ああ、そうだ。つまりお前はいつもうざいんだ」

真面目腐ったウィリアムのそれにプロメシュースは目を丸くして「ウッソ。そうなの?」と笑う。言いながらさっさかと部屋の奥まで進むとどっかりとソファに座り込む。よーいしょっと。

「勝手に座るな」
「あ、黒薔薇茶でいいから」
「ふざけんなぶっとばすぞ」
「あっは。怖い声出すなよぉ」

けたけた笑うプロメシュースはソファにゆるりと背をつける。横に。膝を肘置きに掛け長い髪が散らばり、毛先は床に落ちている。

「で、なんの用だよ」
「暇だなぁって」
「帰れ」
「ウソウソ。今、ウィリアムが黒剣とどうなのかなー?って思って」
「ブフォ」

唐突に突き付けられたそれにウィリアムは飲んでいた黒薔薇茶を噴き出した。

「は!?な、」
「なんでも仲が良すぎて毎晩一緒に抱き合って寝てるとか」
「んっな訳あるか!」
「だよねぇーどこでもドアないと無理だよねぇ。ススキノとアキバだもん」

けたけた笑うプロメシュースにウィリアムは顔を赤くしたまま呻いた。この野郎。
と、その時またコンコンと扉が叩かれる。続く涼やかな声は花冠の騎士様か。信頼の置ける副官であるが、この暇をもて余してウィリアムで遊ぶ気満々の参謀で手一杯なのに、かの生真面目でド天然な男が混ざった時の厄介さはフルレイドよりも勝るとウィリアムは知っている。というかこいつら放ってレイドに行きたい、今すぐに。

「おおーナイスタイミング!ディン、入ってー!」
「ディンクロン。悪いが出直してくれ」

重なるふたりの声にミスリルアイズと慧眼が交わる。しかしウィリアムの願いとは裏腹に優美な騎士はその顔を扉から覗かせる。
思わず溜め息を吐いたウィリアムにディンクロンは苦笑いした。

「なんだ、人の顔を見るなり溜め息を吐いて」
「嫌な奴が部屋にいるのに笑顔でいられるか」
「…帰ろうか?」

しゅんと垂れた眉に雨に打たれる子犬の幻影がちらつく。「お前じゃねぇよ」と思わず返せば、濡れた子犬の毛並みはふっわふわに手入れされ、190cmを超える男は千切れんばかりに尻尾を振って背景に花を散らす。

「じゃあつまり俺のことが好きってことだな!」

にっこりと笑う男にウィリアムは頭を抱えた。言ってねぇだろ。勿論ディンクロンのことは嫌いではないが、こういうところが厄介で面倒なのだ。プロメシュースは「ひどいなぁ」と全然堪えもせず笑っている。

「プロメ、またウィリアムで遊んでいたのか」
「うん」

うん。じゃねぇだろ。ウィリアムの突っ込みはふたりの耳には入らないらしい。というかディンクロンも俺「で」遊ぶとか普通に言うなよ。

「あんまりからかうんじゃないぞ」
「はぁい」
「なぁ、俺もう疲れたんだけど」

全く信用できない軽い返事にウィリアムはとうとう机に突っ伏した。




ここら辺で打ち止めかな。



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