ログホラ封神パロディ







ドドメ色チーム

「シロエち、まだ時間はありますから今の内に腹拵えといきますにゃ」

グリフォンを降りたにゃん太に誘われ、シロエもまた地に降りる。戦時の最中というのに一本の木を背にして穏やかな草原に脚を伸ばすとまるでただのピクニックのようだった。手慣れたにゃん太から弁当箱とお茶を渡される。こんな時にだが、シロエの好物を弁当に仕込んでくれるにゃん太の心遣いには頭が下がる。
二人並んで食べながら、ぽつりぽつりと話をした。茶会の頃のこと、大災害直後、円卓会議を作ってからのこと。楽しかったね、と言えばそうですにゃあと穏やかな笑みが返る。
「僕たちで守ろう、みんなの、……え?」
ぐらり、唐突な目眩にシロエは倒れ込んだ。芝生が頬をかすめ、土の匂いが強くなる。
シロエは呆然とにゃん太を見上げた。
「安心するですにゃ、ただの睡眠薬ですからにゃ」
言いながらひょいと抱えあげられ、くるりと毛布を巻かれて横たえられる。
「シロエち」
優しい声。優しい笑み。いつもと変わらない。暖かな手が頬を撫でる。
「ここで幕を引くのは大人の役割なのですにゃ。シロエちは、まだ」
班長。呼んだつもりの声は出ず。
「シロエちにはまだまだやることがいっぱいですにゃ。みんながシロエちを待っているのにゃ。だから…行ってきますにゃあ」
しっかり食べて、いっぱい寝て、元気でいるですにゃあ。笑うにゃん太の声が反響する。くるくると視界が回り暗くなっていく。班長、待って。言いたい言葉はただひゅうと空気の音に変わり、伸ばしたい指はぴくりとも動かず。
──嫌だよ、班長。班長がいないと。僕は。
告げられない言葉を胸に詰まらせて、意識は黒く塗り潰された。




手に突き刺した小刀から血が滴る。
間一髪、間に合ったと思ったのに。
それでも彼は逝ってしまった。
…僕の為に、と逝ってしまった。

勝利とは一体なんなのか。
夕暮れが血潮を隠す丘で、シロエは顔を覆って座り込んだ。
乾ききった手にもう傷はない。
それでも、










ということで封神パロ
仙人界決着編で太公望と普賢をシロエとにゃん太で。






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