組分け帽子の気まぐれ  [ 4/31 ]







「んん〜?ふ〜む・・・さてこれは・・・どうするべきか・・・むむう・・・」
「・・・・・・何?」
「いや…どこの寮でもいいのだが・・・うぅむ・・・ミス・ベルヴィーナ、どこがいいかね?」
「どこでもいいよ、早く決めて」
「そうかそうか、では・・・・・・スリザリン!」

スリザリンの席から大きな歓声が上がる。
スリザリン・・・か。やっぱり運命には逆らえないのね。
ドラコが憎たらしい顔でこちらを見ている。気にしない気にしない。
それにしても、なんで組分け帽子はあんなに悩んでいたんだろう。
まあ本当にどこでもよかったんだけど・・・
ドラコが手招きをしている。ドラコの隣に座ると次いでクラッブとゴイルも
スリザリンに配属され、私達の目の前に座った。

「ハリー・ポッター!」

組分け帽子がそう呼ぶとさっきまで騒がしかった大広間が一気にしんと静まった。
私も名前なら聞いたことがあった。

”ハリー・ポッター”

ヴォルデモートから死の呪文を受けても生き残った、と魔法界では英雄扱いされている。
ひいお婆ちゃんとほとんどこもりきりの生活をしていても
日刊預言者新聞はちゃんと読んでいたし、そのくらいのことは私でも知っている。
当のハリー・ポッターは周りを見回しながら組分け帽子へと座った。
横からドラコの舌打ちが聞こえた。どうやら先程少々言いあったらしい。

「グリフィンドール!」

長い言い合いの末、組分け帽子は叫んだ。
グリフィンドールの席はお祭り騒ぎとなった。
そりゃそうだ、魔法界の英雄が自分たちの寮に来るのだから。

「あら、久しぶりね」

寮について一番に話しかけてきたのは、パンジー・パーキンソンだった。
ドラコの腕にがっしりと捕まって私を撫でまわすように見た。

「あんまり変わってないのね、ちんちくりんのまんま」
「あなたこそ、そのパグ顔全く変わってないじゃない、整形したら?ついでに声帯も」

パンジーは何だかよくわからないけど昔からやたらと私につっかかってくる。
パーキンソン家もマルフォイ家や私の家系と友好がある一つの家系だ。
幼馴染で同い年、普通なら仲の良いはずなのに
こうやって嫌味ったらしく私につっかかってくる。
それは何年振りかに話した今でも変わらなかった。
そのパグ犬みたいな顔と高いキーキー声は昔と何ら変わってない。
何か捨て台詞を吐いてドラコと寮の奥へと去って行った。

翌日から早速授業が始まった。しかし私が気付くと授業は終わっていた。
どうやら私は寝てしまっていたみたいだった。起こしてくれたのはドラコ。

「おい」
「・・・んー」
「お前、まさかずっと寝てたのか?」
「・・・そうみたい」
「スリザリンが減点されたらどうするんだ!スリザリンの恥だぞ!」

そう言って教室を去っていったドラコの後をゆっくりと追った。
教科書がやたらと重く感じる。そして私はダンブルドアに呼び出された。

「君に約束のものを用意した」
「え、もうですか?」
「ああ、好きに使ってもらってかまわない」
「・・・ありがとうございます!」

やった、やったやったやった!
ダンブルドアは優しく微笑んで研究室まで連れて行ってくれた。
約束のもの、とは研究室のことだった。私だけの、研究室。
研究室にいるだけで時間の流れがとても早く感じた。
もちろんそんな魔法はかかっていないのだけれど。
夕食も食べずに研究に没頭していたら寮の就寝時間が過ぎてしまった。
もちろん監督生に怒られた。けど、私はそんなこと全く気にしなかった。
私の好きなことが本当に出来るんだ・・・!
ワクワクして、ドキドキしてその日の夜は全く眠れなかった。


  


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