アイスブルーの瞳に映る
[ 13/31 ]
「こんなところで何をやってるんだ?フられたのか?」
見なくても、憎たらしい顔で私を嘲笑っているのが分かる。
でも、どこか声色に優しさが宿っていた。
「・・・笑いに来たんでしょ、どっか行ってよ」
「嫌だね」
「・・・来ないで」
「・・・・・・」
「来ないでってば」
「こっち向いて」
私は首を横に振った。
涙が止まらなかった。
どうしてそんな優しい声で私を呼ぶの?
パンジーはどうしたの?
なんでここにいるの?
オーケストラや人の声が聞こえるはずなのに、不思議なほど周りは静かになった。
「僕と、踊ってくれないか」
突然の発言に私は驚き、振り向くとドラコは優しい表情で膝まづいて手を差し出していた。
私は一瞬迷ったが、そのまま震える手をドラコの手に重ねた。
するとそのままぐいっと引っ張られ、体が密着した。ドラコの家の懐かしい匂いがした。
「どうして、いきなり、」
「君が泣いてる気がしたから」
ドラコが優しく答えると、遠くから聞こえるオーケストラに合わせてステップを踏み出した。
私は視界がぼやけてドラコに倒れこんでしまった。
「ご、ごめん」
「・・・あー、やっぱりだめだ」
そのまま私を抱き締めるとドラコはそう呟いた。
「・・・・・・パンジーは?」
「・・・知らない」
「ふふ、何それ」
「・・・やっと笑った」
ドラコは今までに見たことがないくらい優しく微笑んで、私の涙を指で拭いた。
その後、真面目な顔になってお互い向き合った。
アイスブルーの真っ直ぐな瞳には私が映っていた。
「好きだ」
時が、止まったような気がした。
ドラコの言葉が耳の奥でまだ響いている。
私が固まっているとドラコが眉をひそめておい、と言ってきた。
「・・・聞いてるのか?」
「ちょ、ちょっと待って、いきなりすぎて訳が分からない」
「そう何度も言わないぞ・・・アルディス、君のことが好きだ」
全身が熱を帯びてまた泣きそうになった。
まさかドラコも同じ気持ちでいてくれたなんて――。
「・・・嘘じゃないよね」
「こんな嘘、僕がつく訳ないだろ」
「・・・・・・」
「で、返事は?」
自信たっぷりの憎たらしい笑みで私を捉えた瞳から逃げられないまま、私はyesと返答した。
「私も、私も好き」
「・・・愛してる、アルディス」
私達は優しい口付けを交わして、微笑み合った。
ダンスパーティーの終わりを告げる鐘が鳴る。
「「Merry Christmas!!」」
私達は、苦しくなるほど強く抱き締め合った。