探検、墓の中



※相互記念に頂きました。神音様宅のキャラと「月と星」キャラが共演です。


繰り返す3日の
ほんの一時。

思い出には儚いが
記憶には深い





三日目の、夜。
とある四人組(とはいっても二人は妖精)は、イカーナの墓場に来ていた。
紅茶色の瞳を持つ青年、ゼロが、辺りをキョロキョロと見回している。余りの忙しなさに、むしろ彼が怪しく見える。
緑色の不思議な服を着た少年、リンクが、足を止めた。それに倣い、全員の足が止まる。
視線の先には、骸骨がいた。

「うわ、沢山いるね…」

ゼロが怖々と言う。リンクはそれを背に、とある仮面を取り出した。三人はそれに見覚えがあった。そう、それはスタルベビーに話し掛ける為のもの。
それを被り、リンクはスタルベビー達へ向かって行った。

「リンク、気をつけてね」
「ああ」

ここに来た理由、それはハートのかけらだった。それは彼らに必要であり、滅多に手に入る物ではない。
とある噂によると、あるらしいとの事で、四人はここへやってきたのだ。
その為には、スタルベビーに墓を掘ってもらう必要がある。そのやり方は、一日目に一度来ている彼らなので、既に知っていた。

「…?」
「どうかしたの?」
『ゼロさん、誰かいます。』

途端、緊張が走った。何故だか、スタルベビー達は談笑していた。
しかし、彼らは墓に近づく者がいれば襲い掛かり、話すにはこの仮面が必要で、生者が話し掛けるなど、まず不可能。
なら、この気配は誰のものか。

『私が、見てきましょうか…?』
「アリス、危険だよ!」
「いや、その方がいいかも知れない。チャットは行かないだろ」
『当たり前。ニンゲンの為に何でそこまでしなきゃいけないの』

ゼロが行けば襲われるし、リンクが行っても生者に気づかれれば危ういかも知れない。チャットは行かないし、残る所、妖精のアリスしかないのだ。

「…気をつけて、行ってきてくれ」
『はい。』

離れているため、全く話しは聞き取れないが、スタルベビー達は警戒していないようだ。
アリスは、慎重に近寄った。

『…』
「いやいや俺もさー、大変だった訳だよ。分かってもらえて良かった!」

アリスは唖然とした。その人は、スタルベビーと分かり合っていた。むしろ、仲間のように接している。
どうすればいいか、アリスは迷ったが、何もしない訳にもいかないので、とりあえず様子を探る事にした。
その時。

「…そこの妖精は、俺に何か用か?」
『!』

アリスは焦った。しかし今戻れば、彼らの存在もばれてしまう。

『はい、話を聞きたいのですが…』

物陰から出て、アリスは少年に答えた。少年は、闇に紛れてよくは見えないが、少し驚いたような雰囲気を見せた。

『あの…』
「驚いた、君、俺と話せるんだな!あ、もしかして、彼らも仲間?」

少年は、視線を木陰に移した。そこは、リンク達が隠れている場所。
気づいていた、らしい。
それに答える様に三人は姿を現した。それに少年は「案外沢山いた!」と嬉しそうに笑っている。

「やあ、俺レオンって言うんだ!君らは?」
『何だ貴様ら!墓に近寄るな!』
「ちょ、落ち着けって」

レオンは苦笑いしながら、スタルベビー達を宥めた。彼らを従わせるとは、レオンは何者なのか、とリンクは警戒した。

「お前は、何なんだ?」
「何なんだって言われてもな…旅人125くらいのレベルしかないよ俺」
「旅人125!?それってどんななの?」

ゼロが素で聞き返した。流されそうなゼロを、リンクは視線で制し、話を進めた。

「…君らってもしかして、ここに用有り?」

そう言って、ニヤリと笑うレオン。リンクは警戒しながら、静かに頷く。それにレオンは「おおー」と返し、立ち上がった。

「なあなあ、一緒に行かしてくんないか?俺道に迷ってさあ」
「えっとレオン、さん?どこに行くつもりだったんですか?」
「サコンのアジト」

余りにも飄々と返されるので、四人は呆気にとられたが、彼は雰囲気から本当に無害なようであるため、話を聞く事にした。
内容は至って簡単。
アジトが近くにあると聞いた為、興味本位で訪ねようとしていたらしい。

「それで迷ってここに…」
『馬鹿なニンゲンね』
「いやー、全くだよねー。あ、俺敬語いらないよ」

レオンは終始ニコニコしていた。何が楽しいんだか分からない。しかし、不思議と、彼に対する警戒が多少薄れていた。

「…いいんじゃない?リンク。一緒に行っても、悪い人じゃなさそうだし…」
「根拠は?」
「うっ、多分だけど…」

リンクがじろりと見るので、思わずゼロはたじろいだ。レオンはまた可笑しそうに見ながら、「仲いいねー」と呟いた。

「まあまあ、お二人さん。俺も頑張るし、旅は楽しい方がいいじゃん!」
『アンタといて楽しいの?』
「人が多けれりゃ、楽しいんじゃね?」

何とも人の戦意を削ぐ…とリンクは思った。先頭にいることを条件に、共に行くことに。仮面で指示を出し、五人はその穴に落ちていく。三日目の夜は、もう深い。


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