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「#エロ」のBL小説を読む
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とばっちり


ーバンッ!ー

「!!」
「ーっ!」


『ででで、出たっ!アツイがっ!』

勢いよく三蔵と悟浄が相部屋の扉を開けて叫ぶななし1
二人は肩をビクっと震わせる
三蔵は飲んでいたお茶をこぼしそうになり
悟浄は吸っていたタバコを落とした



「〜っビックリすんだろ!!アホ女!!」

三蔵は扉に近づき勢いよくハリセンでななし1の頭を叩く

「あぁー焦った!
ななし1チャン、ビックリすんだろ」

椅子に座ったままこっちを見る悟浄に
妖怪かと思ったーと言われたが、
ななし1はお構い無しに三蔵の腕を掴み引っ張る

『そ、そんな事より早く!
アツイを何とかしてよっ!お風呂に入れない!』
「オイ、ちょっと、待て!」

アイツって何だ、といつも以上に険しい顔をする三蔵が聞くと

『……ご、ごじょ……悟浄が、出たの!!』

ななし1は少し考えるチラッと悟浄を見た
悟浄は自分に指を指して頭に?を浮かべる

だから、何とかしてよ!と言い放つと
三蔵が悟浄に銃を突きつける

「…はあ?!待て待て!三蔵サマ?
オレはずっとココに居たつーの!」
三蔵の銃に焦る悟浄は両方を上げて降参ポーズを取る

銃を下ろしてベッドに座る三蔵はタバコに火を付けて悟浄に目をやる

「…チッ、テメェーの友達だろ?行ってやれ」
「だーかーら!何でそうなるんだよォ!?」
「メスかも知れんぞ」
「興味あるかァ!ふざけてんのか?この生臭坊主!」
「なンだと?!モッペン言ってみろォ!!このエロ河童!」

『もぉー!!喧嘩してないで何とかして来てよ!!』

二人の言い争いに痺れを切らして声を上げる
二人の背中を押して部屋を追い出す

『この際、生臭坊主だろが、エロ河童でもいいから、ゴジョウをやっつけて来て!ちゃんと始末するまで戻ってこないでね!』

二人を部屋から追い出しカギを掛けた
扉の向こうからは
私、お風呂入ってくるからよろしくと、
聞こえて来た

三蔵と悟浄は顔を見合わせて
同時に舌打ちをした


――――――


「とは言ったものの…どこに出たんだ?」

悟浄はななし1の部屋を見回すが奴の姿はなかった
ベッドの下や机の裏まで見ても居る気配すらない

「三蔵サマー?そっちはどうよ?」

部屋のどこを見てもいないので
悟浄は三蔵のいるシャワー室へ向かう

「お、オイ!それ以上、来る……な」

三蔵の少し慌てた声が気になり、一歩足を前に出した瞬間



―グチャ、―


「ヒィヤァァー!!」

悟浄の叫び声が部屋中に響き渡った

「……フンッ、馬鹿な奴だ」

三蔵は手で額を抑えた
だか、三蔵の方は小刻みに震えていた



『ご、悟浄!?…大丈夫?!』

お風呂から上がったばかりなのか、髪がまだ乾いていないななし1が
悟浄の悲鳴を聞いて飛んで来た

「あ、あぁ…何とか退治は出来たぜ!」

引きつった顔でななし1に親指を立てた

『ありがとう、悟浄!これで…』
「ななし1、こっちに来い!」

ななし1が喋り終わる前に三蔵が割って入って来る

どうしたの?と三蔵の元へ行く
私の耳元で先程の事を話してくれた

『……うっ、…汚い…悟浄、ちゃんと足は洗ってね!
あ、今日はココ使っていいよ!
私は三蔵の所行くから!』

話を聞いたななし1はだんだん顔が青くなる
そして逃げるようにその場を離れた

「……嘘だろ、サ…三蔵サマ?」
「知らんッ!」

三蔵までも悟浄をその場に残して
自分の部屋へ戻って行ってしまった

「ふざけるなぁぁあーー!!」



――――――



『やっぱり、可哀想だった、かな?』

部屋に戻ったななし1はベッドの上に寝転んで三蔵に聞いた

「放っておけ、俺は寝る」

三蔵はぶっきらぼうにそう言ってもう一つのベッドにななし1に背中を向けて横なった

『ねー三蔵、私もそっち行ってもいい?』

そう言いながら三蔵の寝ているベッドに近づく

『三蔵?もう寝ちゃったの…?』

後ろから三蔵のほっぺをプニプニと突く、
突いていた方の手を取られ
バランスを崩しベッドに落ちた

『もぉー…何するの』

鼻打ったじゃん…と言うななし1に

「いつまで黙っておくつもりだ」

目を瞑っていた筈の三蔵が真っ直ぐ私を見ていた

『ん〜って、三蔵が喋るなって言ったんじゃん!
俺は仮にも玄奘三蔵なんだからって!
いつの間に、私のせいになってるの?』

ぷぅーっと口を膨らます

きっと三蔵の優しさだろ…妖怪たちは三蔵と経文を狙う
そこに恋人の私がいたら狙われ兼ねない


「そうだったな…ななし1は嫌か?」

隠れて俺と居るのは辛いか?なんて
ななし1の髪に触れてらしくも無く聞いてくる

『秘密ってドキドキするよね!
私は好きだよ、三蔵も秘密も』

と言ってななし1は軽いキスをした
三蔵は少し驚いてたけど、すぐにいつもの顔になってななし1を抱きしめた

「今日は疲れた、寝るぞ」
『うん、おやすみ』


――――――

―――――

――――


ーコンコンー

「三蔵、悟浄、朝ですよ?
………あれ?僕、部屋間違えちゃいました?」



END

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