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夢も僕のもの





それは、突然の事である


「ななし1、悟空なんてやめて俺にしとけよ…」

悟浄はななし1を見つめたかと思いきや、そのまま唇を近づけた
こちらの意思構わずな悟浄の行動に、ななし1の背筋がゾクリと凍る

「え?いや、あのッ………?!ちょ、ちょっと、待って!………いやああぁああぁあ!!!」



――――――――――――


―――――――


――――



「………ぉ、…おぃ、……ななし1!」

「え………ぁ、悟空…。」


ガクガク、と揺さぶられてななし1が目を開けば、そこには心配そうにこちらを覗き込んでいる悟空の姿
どうやらななし1は、汗をかきながらうなされていたらしい
トイレに行こうと起きた悟空が何事かと、ななし1を揺さぶり起こしたのだった


「大丈夫か?すっげーうなされてたぞ!?」

「はぁ、っ…びっくりした、」

荒い呼吸とボサボサの髪の毛を整えながら、頬を赤く染めるななし1
そんなななし1を心配そうに見つめる悟空

「どんな夢見てたんだ?」

「いやっ、……えっと、………悟浄に告白されて…キスされる夢を………、」




「…………はぁ?」


思わず悟空からは、素っ頓狂な声が出た
自分の大切な彼女が、違う男(しかも相手はエロガッパ)にキスをされる夢を見た?

しかも、その彼女は眉を八の字にまげ、頬を赤く染めている
いくら夢であっても、悟空にとっては面白い事とは言えなかった



一方で、頬を染めているななし1はとても気まずい空気を感じていた

(なんであんな夢見ちゃったの!?)

大好きな彼氏が隣で寝ているにも関わらず、違う男にキスを迫られる夢を見るなんて

(しかも、相手が悟浄とか…すごくリアルで…、)

ななし1と悟浄の間には、特別にやましい事など何も無い
しかし、先ほど見た夢がとてもリアルで、思い返すだけで顔が赤くなる

罪悪感を感じながら悟空を見れば、心配そうな顔はどこえやら、今はムスッとした顔でななし1を見ていた

「ご、悟空、ゆ、夢だよ?!私はごくっ……!!」

ななし1が喋り終わらない内に、ななし1の唇を口で塞ぐ悟空
噛みついたと思えば優しく舌を絡めてくる、乱暴で強引だけど、どこか不安そうなキス

「………っ、ん……はぅっ、……」

スキを与えない悟空のキスに、ななし1の息が上がる
お互いの唇が離れれば、2人を銀色の糸が繋いだ

眉間にシワを寄せ、真剣な顔の悟空
めったに見る事の無いその表情に、ななし1の胸が高鳴った

「夢でも、ななし1が他の男とキスするだなんて許せない!」

「悟空…、」

「しかも、エロガッパが相手とか…ななし1はオレのだから、悟浄なんかに絶対渡さねーから!」

バッサリとそう言い切る悟空がとても頼もしく見え、ななし1の顔はより赤く染まっていく
悟空はその表情を見るや否や、ななし1に覆い被さった

ボスン、とベットに二人が沈む
スイッチの入ってしまった悟空の顔を見たななし1
つい先ほどまで赤く染まっていた顔が、だんだんと青ざめていく

「えっ?ちょっ、ちょっと?!悟空、明日も朝早いよ?三蔵からハリセンがくるよっ!?」

「ごめんななし1、優しく出来ないかもしんない…」

「〜〜〜悟空!!??」






――――――――――――



「ハックションッ!……風邪か?」

豪快なクシャミをした悟浄は、鼻をズズッとすすった
体調管理があーだこーだと八戒からそれはとても長い小言を言われる前に、寝よう。

悪寒を感じた悟浄は触覚を揺らしながら、もぞもぞと布団に入っていった



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