罰ゲームと本音
「うしっ、次、3番が口説き文句を言う、ってのはどーだ?」
野宿になった夜。
一行は起こした火を囲みながら、王様ゲームで暇を潰していた。
パチパチと燃える木を囲んで座る5人。
先が赤く塗られた箸、王様を引いたのは悟浄。冒頭に口にした様に、口説き文句の罰を言い渡した。
「おや、僕が当たってしまいました。」
3番を引いたのは八戒。やれやれ、眉尻を下げて笑う。
「八戒って、どんな口説き文句言うの!?悟浄だったらいつものフラレたやつ、想像できるけど!」
「なんだとぉ?このバカ猿!!テメェ等知らねぇだけで俺だって本気出してねぇだけでやる時はやるんだっつの!!」
「フッ…お前が本気出した所で結果は一緒だろうが。」
皆のエロ河童こと悟浄のフラレ癖を皮肉りながらも、ケラケラと笑う一行。
たしかに、八戒が女性を口説く、だなんて一行の中で誰も見たことの無いシチュエーションなのだから、誰しもが若干興味が湧く内容ではあった。
「まぁまぁ、悟浄のフラレパターンはもう十八番ですからね。」
「クッソー!!言いたい放題言いやがって!!おい、ななし1!お前、八戒の相手役やれ!八戒だってスゲーダッセぇ口説き文句かも知れねーだろ?!」
「え!?……八戒、口説くの下手なの??」
「まぁ…普段悟浄と違って口説く事が無いんですが…笑わないで下さいよ、皆さん…」
急遽当て馬にされたななし1は驚きながら、罰だと分かっていながらも久々にされる異性の告白に、少し緊張していた。
一方、コホン、と小さく咳払いをした八戒は、隣で暖を取るななし1に向かって小さく深呼吸をする。
その姿勢を見たななし1は、少し背を伸ばして八戒の方を向く。
そっと八戒はななし1の手を取り、瞳を見つめる。
ななし1の瞳が、揺れる。
「…貴女の事を一生守る事を誓います。だから、側に居てください……愛しています。」
間。
「………ヒュー♪やっぱり八戒はさすがテンプレートってカンジ。まぁ…フツーだな。」
「……等の本人達は満更でもないみたいだがな…。」
「あー!!八戒もななし1も顔が真っ赤ー!!!」
「……あー、ダメだこりゃ、フリーズしてるわ。」
「………放っておけ、そろそろ寝るぞ。」
「なぁー、寝る前に何か食わねぇ?俺、腹減っちまった!」
ぞろぞろと、ジープに戻る三人。
しばし、手を取り合ったまま赤面の二人は空気を読んだ三人放置された。
パチン、と枝が大きな音を立てて燃えている。
end
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