仕事を再開して一ヶ月も経てば、病み上がりということで調整されていた仕事の量も徐々に以前のように増え始め、二人が揃って家にいるということはめっきり減った。主に黄瀬が家にいる時間が減ったためだ。
初回があれだったせいか、黄瀬が黒子を仕事場に誘うようなことはその後一切なかった。
黄瀬は一人でも仕事が出来ているし、家事だって問題ない。となれば、いよいよ黒子の存在意義もわからなくなってきていて、別段自分がいる必要性を感じなくなってきていた。
そもそも世話をしてくれというのは、怪我が治るまでという意味だったのか、記憶が戻るまでという意味だったのか。そこのところが曖昧なのだ。
けれど、ほとんど別々の生活を送っている今なら、どのみち黒子はもうお役御免だろう。
いつまでも無職のままこうしているわけにもいかないし、いい頃合いではないだろうか。
そうなれば、次に黄瀬と顔を合わせた時にでも話を切り出そうと結論付け、黒子は洗濯の終わりを知らせる機械音に呼ばれるようにして少し軽くなった心持ちで脱衣所へ向かった。



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