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そして次の日。

エステルは馬で、指定された大聖堂に向かった。

教皇と会う時間まで、エステルは大聖堂の礼拝堂にお邪魔した。
礼拝堂はステンドグラスに太陽の光が差して、きらきらとした光に見える。
幻想的な雰囲気のある、素敵な大聖堂だと思った。


礼拝堂の、十字架の前で今回の戦で亡くなった兵の冥福と鎮魂を祈った。


15分くらいたったくらいか、一人の女性…修道女がエステルに声をかけた。
エステルは自分がシェーンブルー王であること、教皇に会う約束をしていることを伝える。

「伺っております。どうぞ。」


修道女はエステルを、とある小さな部屋に案内した。
部屋の中に入ると、目に飛び込んできたのは、ステンドグラスの一面の窓。
礼拝堂と同様、キラキラとした宗教画が書かれてある。言葉を失うほど、とても素敵な宗教画だった。

エステルの好きな、聖母の宗教画。
その表情はとても優しげで、見るものすべてを癒してくれるような…そんな表情だった。


そして部屋の端にある机と椅子。そこに座っている男性。

真っ白な髪と緑色の優しげな瞳。
一滴の染みもないほどの綺麗な服と手袋。
司教の服を着ているが、その尊いオーラは隠しようがない。

例えるなら童話とかに出てくる優しいおじいさん。
という感じの目元の笑い皺が印象的な方だ。
ニコニコと笑顔を絶やさない人なのだろう。

エステルは少し緊張した表情を崩し、その男性に声をかけた。


「ベネディクト…教皇聖下でございましょうか」
「ええ。初めてお目にかかりますね。エステル様。ユーグ様からお話は色々と聞いております。どうぞ、お座りください」


教皇はエステルに椅子を勧めた。
エステルは改めて教皇に挨拶をした。教皇はニコニコとエステルの話を聞く。
そして、教皇は口を開いて戴冠式のことを打ち合わせする。


「戴冠式のことを伺いました。
例年通りここの大聖堂でお願いします。それと、日程は…」
「聖下。戴冠のことでちょっとやりたいことがあるんですが…聞いてもらえますか?」


エステルの申し出に、教皇は驚きの顔を見せた。
その理由をエステルは話す。相手に伝わるようにしっかりと。

そしてバルト公同様…微笑ましい表情に変わって。
了承してくれた。


そしてエステル『皇帝』の戴冠式は、来週になった。

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